資格・スキル / 資格
応用情報技術者|SIer・ITコンサルへの転職で
自治体のシステムに関わってきた方から、「支援する側に移れるか」というご相談を伺います。
役割分担の原則が、法律に置かれています。
この記事では、その構造と、資格の位置づけを扱います。
⚠ 試験の内容・区分・実施の方法は、所管するところの公表を確認してください。この記事では、個別の内容には触れません。
民間が主導的役割を担うことが原則です
デジタル社会形成基本法第9条です。
> デジタル社会の形成に当たっては、民間が主導的役割を担うことを原則とし、国及び地方公共団体は、民間の知見を積極的に活用しながら(略)民間の活力が十分に発揮されるための環境整備並びに公共サービス(略)における国民の利便性の向上並びに行政運営の簡素化、効率化及び透明性の向上(略)のための環境整備を中心とした施策を行うものとする。
「民間が主導的役割を担うことを原則とし」と書かれています。
そして、国及び地方公共団体は「民間の知見を積極的に活用しながら」施策を行うとされています。
つまり、行政のシステムは、民間が担うことが前提の構造になっています。
自治体向けのシステムやコンサルティングの事業は、この構造の上にあります。
そして、そこで求められるのは、行政の側の事情を理解している人です。
発注する側の経験が接続する部分
| 経験 | 支援する側での使いどころ |
|---|---|
| ① 業務の理解 | 現場でどう使われるか |
| ② 要件の整理 | 各課からの聞き取り |
| ③ 仕様の作成 | 求める内容の記述 |
| ④ 調達の手続 | 予算、選定、契約 |
| ⑤ 受入れの確認 | 完了の条件 |
| ⑥ 運用の定着 | 手順書、研修、問い合わせ |
①と④が、外から入った人には見えにくい部分です。
④について。
予算の時期、議会の日程、決裁の流れ、年度の区切り。
これらを知らないと、提案の時期を外します。
扱いは営業の基礎|行政営業で公務員経験が効く理由に整理しています。
資格の位置づけ
| 状況 | 扱い |
|---|---|
| ① 応募条件に記載がある | 満たす材料になる |
| ② 技術の実務がない | 到達を示すものが他にない |
| ③ 業務側の経験がある | 経験のほうが具体 |
| ④ 用語を揃えたい | 学ぶ意味があります |
| ⑤ 目的が曖昧 | 優先順位を下げてください |
②と④が、取る理由になります。
④について。
技術の担当者と話す際に、言葉が通じるようになります。
何ができて、何が難しいかの見当がつくと、要件の整理が速くなります。
なお、取れば転職できる、という関係にはありません。
何を担当し、どう進めたかが、評価の対象です。
書き方の例
悪い例
> システムの担当として、業者とのやり取りをしていました。
良い例
> ◯◯システムの更改にあたり、業務側の担当として、関係する◯課・◯名から業務の状況を聞き取り。現行の帳票◯種類を棚卸しし、◯種類に統合。求める機能と性能を仕様に記載し、事業者◯者の提案を評価。受入れの確認の観点を要件ごとに設定。運用の開始後は、手順書の作成と職員◯名への研修を担当。
「立場」「聞き取りの規模」「棚卸し」「評価」「定着」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
職種の選び方
| 職種 | 求められるもの |
|---|---|
| ① 業務側の担当 | 業務と制度の理解 |
| ② 導入の支援 | 要件の整理、合意の形成 |
| ③ 営業 | 予算と時期の理解 |
| ④ 設計・開発 | 技術の実務 |
| ⑤ 運用・保守 | 運用の設計 |
①〜③が、経験と重なります。
④は、技術の実務が要件になることが多いです。
求人票の仕事内容の欄で、どちらを求めているかを確認してください。
読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。
書くときの注意
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| ① 取得の年を書く | いつ取ったか |
| ② 区分を正確に | 段階がある場合 |
| ③ 立場を明記 | 業務側か、技術側か |
| ④ できる範囲を限定 | 設計・開発まで含めない |
| ⑤ 実務と併記 | 業務側の経験と組み合わせる |
③と④が重要です。
資格を書いたことで、開発まで担えると受け取られることがあります。
「業務側の担当として、要件の整理と受入れの確認を担当」と、立場を明記してください。
在職中にできること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当の整理 | 聞き取り、仕様、選定、定着 |
| 規模の確認 | 課の数、帳票の数、職員の数 |
| 用語の学習 | 長く続ける前提で |
| 求人を読む | 週に30分 |
2行目です。
年度の報告や決裁の資料から確認してください。
根拠のない数は書かないでください。
経験の言い換えから相談することもできます。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 担当したシステム | 規模、期間、立場 |
| 要件の整理 | 矛盾する要望の扱い |
| 提案の評価 | 何を見て決めたか |
| 受入れの確認 | 完了の条件 |
| 立場 | 業務側か、技術側か |
3行目です。
選定の理由を整理した経験は、提案する側でも使えます。
なお、特定の事業者が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。
よくある失敗
1. 「業者とのやり取り」と書く
評価した側にいたことを書いてください。
2. 聞き取りの規模を書かない
課の数と人数を書いてください。
3. 棚卸しの結果を書かない
◯種類を◯種類にと数で書いてください。
4. 受入れの確認を書かない
完了の条件を決めた経験です。
5. 立場を書かない
業務側か技術側かを明記してください。
6. できる範囲を広く書く
設計・開発まで含めないでください。
7. 技術の深さで勝負しようとする
行政の事情の理解が求められています。
8. 取れば転職できると考える
何を担当しどう進めたかが評価の対象です。
まとめ
- デジタル社会形成基本法第9条は、民間が主導的役割を担うことを原則とし、国及び地方公共団体は民間の知見を積極的に活用するとしています
- 行政のシステムは、民間が担うことが前提の構造です。そこでは行政の事情を理解している人が求められます
- 接続するのは、業務の理解、要件の整理、仕様の作成、調達の手続、受入れの確認、運用の定着です
- 評価した側にいた経験を書いてください。提案する側でそのまま使えます
- 職種は、業務側・導入の支援・営業が重なります。設計・開発は技術の実務が要件になることが多いです
- 立場を明記し、できる範囲を限定してください
- 製品の理解と、複数団体への対応は、入社後に覚える部分として分けて話してください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
情報政策の部署にいませんでした
書けます。業務の担当として、システムの更改に関わった、帳票を整理した、操作の手順書を作ったという経験があれば、材料になります。書き方は、「◯◯業務の担当として、システムの更改にあたり現行の運用を整理し、要件の確認に参加」という形です。自治体向けのシステムの会社では、現場でどう使われるかを知っている人が求められます。情報政策の部署の経験より、窓口や事務の現場の経験が評価される場面もあります。扱いはノーコードツール|情報政策の経験を実装側へにも整理しています。
資格がないと、応募できませんか
求人の条件によります。「必須」であれば、資格が要ります。一方、「業務側の経験」「行政での実務経験」を挙げる求人では、資格が必須でないことがあります。とくに、自治体を顧客とする事業では、行政の実務経験が要件として挙げられることがあります。判断の目安は、応募条件の欄です。なお、入社後の取得を支援する制度がある会社もあります。求人票や採用のページで確認してください。資格の有無で、候補を狭めないでください。
技術の勉強は、どこから始めればよいですか
目的で分けてください。用語を揃える目的であれば、体系的に学ぶ意味があります。技術の担当者との会話で、何ができて何が難しいかの見当がつくようになります。一方、設計や開発を職務とするのであれば、範囲が異なります。なお、応募の時期が近い場合は、優先順位を下げてください。職務経歴書の作成と、求人を読む作業のほうが、時期に直接効きます。扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。学習は、入社後にも続けられます。