自治体別 / 中核市
福山市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
福山市のラスパイレス指数100.3は、国を上回る水準です。倉敷市とまったく同じ数字でもあります。
それでも平均給与月額388,259円は、倉敷市より31,612円下回ります。
地域手当はどちらも0%。指数も地域手当も同じなのに、差はここまで開きます。
福山市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、福山市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 福山市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.3 |
| 平均年齢 | 41.1歳 |
| 平均給料月額 | 321,800円 |
| 諸手当月額 | 66,459円(中核市62市で下から11番目) |
| 平均給与月額 | 388,259円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 344,945円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
倉敷市と並べる(指数が完全に一致)
| 項目 | 福山市 | 倉敷市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.3 | 100.3 | 一致 |
| 平均年齢 | 41.1歳 | 43.6歳 | 2.5歳 |
| 平均給料月額 | 321,800円 | 336,800円 | 15,000円 |
| 諸手当月額 | 66,459円 | 83,071円 | 16,612円 |
| 平均給与月額 | 388,259円 | 419,871円 | 31,612円 |
| 地域手当 | 0% | 0% | 同率 |
指数が完全に一致し、地域手当も同率です。
それでも総額は31,612円離れます。
ラスパイレス指数は、年齢と学歴の構成を国に合わせて補正した数字です。だから2.5歳の差は、補正の過程で消えます。補正前の給料月額では15,000円の差が残り、そこに諸手当16,612円の差が乗ります。
指数100.3の中核市は3市あります
| 市 | ラスパイレス指数 | 地域手当 | 平均年齢 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 倉敷市 | 100.3 | 0% | 43.6歳 | 419,871円 |
| 東大阪市 | 100.3 | 10% | 41.8歳 | 417,479円 |
| 福山市 | 100.3 | 0% | 41.1歳 | 388,259円 |
同じ指数の3市で、総額は31,612円の幅に散らばります。
諸手当が総額の17.1%
福山市の諸手当66,459円は総額388,259円の17.1%。中核市62市のうち、下から11番目の薄さです。
これは条件で動く部分が小さいということでもあります。時間外、住居、扶養、管理職手当。この部分が薄ければ、年ごとの振れ幅も小さくなります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は広島県職員の転職に、指数が一致する市は倉敷市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 下水道の計画・整備・運営 | インフラ運営、事業運営、料金企画 |
| 管渠の更新計画と資産の管理 | アセットマネジメント、設備投資計画 |
| 事業所排水の受入基準の管理 | 品質保証、規制対応 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「使っている人に見えない」ものを維持する実務
福山市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
下水道法第1条は、この法律が、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もって都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とすると定めています。
この事業には、他のインフラと決定的に違う点があります。
使っている人から、まったく見えません。
水道なら蛇口から出ます。道路なら走ります。下水道は、流したあとのことを誰も見ません。
そして見えないので、関心が向くのは、詰まったときと、料金が上がるときだけです。
実務は、次のような形になります。
- 埋まっている管の状態を、掘らずに判断する
- 更新は、壊れる前にやらなければ意味がない
- 壊れる前にやっても、誰にも気付かれない
- 人口が減れば料金収入は減るが、管の長さは減らない
- そして工場が抜ければ、大口の収入がまとめて消えます
「見えない資産の劣化を、見えるようにして予算を取る」仕事です。
企業でも、まったく同じ問題があります。
老朽化した設備、古い配管や配線、保守されていないシステム、更新されていない設計図。今日困っていないので、毎年後回しにされます。
そして多くの企業で、この状態を数字にできる人がいません。現場は「そろそろ危ない」と言います。財務は「今期の効果は」と聞きます。ところが「いま何がどれだけ劣化していて、放置すると何年後にいくらかかるか」を出した人がいません。だから壊れてから対応し、結局高くつきます。
求人票では、アセットマネジメント、設備投資計画、インフラ運営、事業企画、購買といった名前で書かれています。
書くときのこつは、施設の名前を出さないことです。見えない劣化をどうやって把握したか、更新の優先順位を何で決めたか、予算を取るために何を示したか、そして先送りしたものはどう扱ったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
福山で、どの経験が値になるか
1. 見えない劣化を数字にした経験
掘らずに判断し、放置したらどうなるかを金額で示した経験は、企業の設備投資計画でそのまま必要とされます。
2. 効果が見えない投資の予算を取った経験
壊れる前にやれば、誰にも気付かれません。それでも予算を取った経験と、そのときの説明のしかたが値になります。
3. 大口の需要家が抜ける前提で計画した経験
工場が抜ければ、収入がまとめて消えます。この構造を織り込んだ計画は、企業の取引先構成の話と同じです。
4. 公営企業の収支を扱った経験
独立採算が原則です。収入、費用、収支、更新にかかる費用を数字で語れることは、面接でそのまま効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
福山市は備後地域の中心にあり、広島県東部や岡山県西部を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○の整備事業を担当」では読み手に何も残りません。見えない劣化をどう把握し、優先順位を何で決め、予算を取るために何を示したか。
先送りしたものを書く
全部はできません。先送りした判断とその根拠を書くと、順位を付けられることの証明になります。
規模を必ず書く
市の人口、管渠の延長、処理量、更新した延長、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、下水道技術検定、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
埋まっている施設の調査と更新は、扱える人が限られる
管の内部調査、劣化の判定、掘らずに直す工法。見えない状態のものを評価して優先順位を付ける技術は、経験者が多くありません。下水道事業を受託する企業と建設コンサルタントの双方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。公営企業に関わったなら、そのまま収支で答えられます。独立採算が原則なので、収入、費用、収支、更新にかかる費用と料金の関係を数字で語れる公務員は多くありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 福山市の一般行政職はラスパイレス指数100.3、平均給与月額388,259円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 倉敷市とは指数が100.3で完全に一致し、地域手当も同率0%です
- それでも総額は31,612円離れます。平均年齢2.5歳の差と、諸手当16,612円の差です
- 指数100.3の中核市は3市あり、総額は31,612円の幅に散らばります
- 諸手当は総額の17.1%で下から11番目。去年の数字が翌年もほぼそのままという読み方がしやすい水準です
- 見えない劣化を数字にして予算を取った経験は、企業の設備投資計画で必要とされます(下水道法1条)
よくある質問
指数が倉敷市と完全に一致しているのに、総額が31,612円違うのはなぜですか
指数が、補正した給料表の水準だからです。平均年齢は福山市41.1歳、倉敷市43.6歳で2.5歳差。ラスパイレス指数は年齢と学歴の構成を補正するので、この差は補正の過程で消えます。補正前の給料月額では15,000円の差が残り、さらに諸手当で16,612円の差がつきます。諸手当は、そもそも指数に含まれていません。
諸手当が薄いことは、不利になりますか
比較の基準としては、むしろ使いやすいほうです。福山市の諸手当は総額の17.1%で中核市62市の下から11番目。去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのままという読み方がしやすくなります。加えて平均年齢41.1歳は中核市では若いほうで、年齢が上がるほど給料表は勤続で積み上がるため、この位置は条件としては働く側にあります。
壊れる前に直しても、誰にも気付かれませんでした
それが、この仕事の性質です。値が付くのは別の部分で、見えない劣化を見えるようにして予算を取った経験です。企業でも老朽設備や保守されていないシステムは「今日困っていない」ので毎年後回しにされ、「放置すると何年後にいくらかかるか」を出した人がいません。把握のしかた、優先順位、予算を取るために示したもの、先送りしたものの扱いを書いてください。