自治体別 / 中核市
函館市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
函館市の諸手当は月額56,183円で、平均給与月額に占める比率は15.0%です。
23区の中央区が33.5%だったことを思えば、半分以下。総額のうち条件で動く部分が、それだけ小さいということになります。
地域手当も0%。総額のほとんどを、給料表そのものが決めている構造です。まず数字を確認してください。
函館市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、函館市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 函館市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.6 |
| 平均年齢 | 43.4歳 |
| 平均給料月額 | 317,500円 |
| 諸手当月額 | 56,183円 |
| 平均給与月額 | 373,683円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 348,847円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
中核市のなかでの位置
中核市62市は、これまで見てきたどの集団よりもばらつきが大きい集団です。
| 項目 | 中核市62市の分布 | 函館市 |
|---|---|---|
| 地域手当 | 0%が24市、3%が10市、6%が12市、10%が8市、12%が4市、15%が3市、16%が1市 | 0% |
| ラスパイレス指数 | 93.3〜102.7 | 97.6 |
| 諸手当月額 | 49,341円〜133,290円 | 56,183円 |
| 平均給与月額 | 353,951円〜460,090円 | 373,683円 |
地域手当が0%の市は24あり、62市の約4割を占めます。函館市もそのひとつ。そして諸手当56,183円は、中核市のなかでも薄いほうです。
道内の旭川市と比べると、平均年齢は函館市43.4歳、旭川市43.9歳とほぼ同じ。それでも平均給料月額は函館市317,500円、旭川市331,700円で14,200円開きます。
地域手当も年齢もそろえても、給料表の水準そのものが違うということです。中核市どうしを比べても、前提はそろいません。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、道内の数字は北海道職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 景観計画の策定・建築の誘導 | ブランド管理、店舗開発、規制対応 |
| 歴史的建造物の保存と活用 | 文化事業企画、施設企画 |
| 観光の誘客・受入環境整備 | 観光事業企画、インバウンド事業 |
| 水産業の振興・販路開拓 | 事業開発、産地開発、調達 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 人口減少を前提にした施設再編 | 拠点戦略、事業再編 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「見た目を、他人の負担でそろえる」実務
函館市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
景観法第1条は、この法律が我が国の都市、農山漁村等における良好な景観の形成を促進するため、景観計画の策定その他の施策を総合的に講ずることにより、美しく風格のある国土の形成等を図るものだと定めています。
景観は、公共のものでありながら、実際に作っているのは個々の建物です。
そして建物は私有財産です。「まち並みをそろえてください」と求めることは、他人の財産の使い方に条件を付けることを意味します。
実務としては、次のような場面が続きます。
- 色、高さ、素材、看板。どこまで求めるかを決める
- 建てる側の費用が増えることを、どう納得してもらうか
- 既存の建物に、どこまで遡って求めるか
- 基準を厳しくすれば建たなくなり、緩めれば意味がなくなる
- 守っている人と守らない人の差を、どう扱うか
「見た目という、数字で測れない価値のために、他人に費用を出させる」という仕事です。
これは、企業のブランド管理と店舗開発でそのまま起きます。
店舗の外観、什器、サイン、接客。本部が基準を決め、加盟店や現場に守ってもらう。費用を負担するのは現場のほうで、守らなければブランドは崩れ、厳しすぎれば出店が進まない。
この折り合いを実際に付けた経験は、外から採用しにくいものです。多くの企業では、基準は作ったが現場で守られていない、という状態が続いています。
求人票では、ブランド管理、店舗開発、規制対応、施設企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、景観の理念を語らないことです。扱った件数、どこまで求めてどこから緩めたか、建てる側にどう納得してもらったか、そして守らない相手にどう対応したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
函館で、どの経験が値になるか
1. 他人の財産に条件を付けた経験
色、高さ、看板、素材。費用を負担するのは相手という条件で基準を守らせた経験は、ブランド管理や店舗開発で必要とされます。
2. 観光と住民生活の両立
来訪者が集中する都市です。誘客だけでなく、受入環境の整備や地域との調整まで担当していれば、それは観光事業企画の中核です。人が集まりすぎたときに何をしたかまで書けると、いま企業が求めている経験に重なります。
3. 水産業を支えてきた経験
資源管理、加工、販路開拓、輸出。調達の持続可能性は、いま食品と流通の企業が最も詰められている論点です。
4. 人口減少を前提に、施設を再編した経験
統廃合、転用、廃止。「全部は残せない」という前提で順番を決めた経験は、企業の拠点戦略と同じです。書くときは「衰退した」ではなく、判断の基準と合意の作り方を書いてください。
5. 保健所を持つ市としての実務
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
道内・道外の求人を見るときに
函館市で職種を絞って求人を探すと、市内の件数は限られます。ここで諦めてしまう方が多いのですが、探し方を変えると結果が変わります。
近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。担当エリアが道南や北海道全域という求人であれば、住む場所は必ずしも本社の近くである必要がありません。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
どこで緩めたかを書く
基準を守らせる仕事では、厳しくした話より、どこで緩めたかのほうが読まれます。そこに判断の質が表れるからです。
規模を必ず書く
市の人口、事業者の数、年間の処理件数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
歴史的建造物の保存と改修は、希少な経験になる
構造の補強、意匠の維持、現行基準との折り合い。古い建物を使い続けられる形にする設計を扱える人は限られます。設計事務所と、歴史的な建物を活用する事業者の両方から求められます。件数と、判断が割れた事例で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 函館市の一般行政職はラスパイレス指数97.6、平均給与月額373,683円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 諸手当の比率15.0%は薄いほう。総額のうち条件で動く部分が小さく、去年の源泉徴収票が物差しになります
- 中核市62市のうち24市が地域手当0%。函館市もそのひとつです
- 旭川市とは年齢がほぼ同じでも、給料月額が14,200円開きます。中核市どうしは前提がそろいません
- 見た目という測れない価値のために他人に費用を出させた経験は、ブランド管理と同じです(景観法1条)
- どこまで求めてどこから緩めたか。緩めた判断のほうが読まれます
よくある質問
諸手当の比率が低いことは、転職で不利になりますか
むしろ扱いやすい条件です。総額のうち条件で動く部分が小さいので、業務や役職が変わっても総額が大きく振れません。去年の源泉徴収票の支払金額が、そのまま自分の実額の目安として使えます。諸手当が3割を超える団体では「どの年を基準にするか」で見積もりがぶれますが、函館市ではそれが起きにくくなります。
お願いベースの仕事が多く、強制力がありませんでした
企業のブランド管理は、まさにその形です。本部が基準を決め、加盟店や現場に守ってもらう。費用を負担するのは現場で、契約上は求められても実際には守られないことが多い。多くの企業が、基準を作ったところで止まっています。なぜ守れないのかを聞き、どこまで緩めれば守れるようになるかを設計した経験は、そのまま通用します。
市内に希望する職種の求人が見当たりません
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