自治体別 / 施行時特例市
茨木市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
茨木市の平均給料月額313,200円は、同じ大阪府の岸和田市314,100円より900円低い数字です。
ところが平均給与月額は420,636円と402,563円で、茨木市が18,073円多くなります。
給料月額でほぼ並んでいる2市が、総額では18,073円離れる。この回で、その中身を分解します。
茨木市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、茨木市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 茨木市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.3 |
| 平均年齢 | 40.8歳(施行時特例市23市で5番目に若い) |
| 平均給料月額 | 313,200円(23市で19番目) |
| 諸手当月額 | 107,436円(23市で7番目) |
| 平均給与月額 | 420,636円(23市で10番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 370,179円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
諸手当は総額の25.5%を占めます。
岸和田市と並べる
大阪府にある施行時特例市は、茨木市と岸和田市の2市です。
| 項目 | 茨木市 | 岸和田市 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.3 | 98.9 |
| 平均年齢 | 40.8歳 | 41.3歳 |
| 平均給料月額 | 313,200円 | 314,100円 |
| 地域手当(実支給) | 10% | 6% |
| 諸手当月額 | 107,436円 | 88,463円 |
| 平均給与月額 | 420,636円 | 402,563円 |
給料月額は岸和田市のほうが900円多い。それでも総額は茨木市が18,073円多い。
18,073円の中身を分解する
| 内訳 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 給料月額の差 | 900円 | 岸和田市が多い |
| 地域手当の差(概算) | 12,474円 | 茨木市が多い |
| 地域手当以外の手当の差(概算) | 6,499円 | 茨木市が多い |
地域手当は給料月額×割合です。茨木市は313,200円の10%でおよそ31,320円、岸和田市は314,100円の6%でおよそ18,846円。差は12,474円で、総額差18,073円の69.0%を占めます。
残る6,499円が、地域手当以外の手当の差です。
そして給料月額の差900円は、総額差の5.0%にすぎず、しかも向きが逆です。
府内の数字は大阪府職員の転職に、地域手当以外の手当が23市で最も厚い市は四日市市職員の転職に整理しています。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。茨木市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 地域防災計画、避難体制の整備 | 事業継続計画、危機管理、運用設計 |
| 危険区域の周知、住民への説明 | リスク広報、渉外、顧客説明 |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 大学・研究機関との連携事業 | 産学連携、事業開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「危ないまま、助かるようにする」実務
茨木市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第1条は、この法律が、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、当該区域における警戒避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害のおそれがある区域で一定の開発行為を制限し、建築物の構造の規制に関する措置を定め、急迫した危険がある場合に避難に資する情報を提供することなどを目的とすると定めています。
注目してほしいのは、「区域を明らかにし」と「警戒避難体制の整備を図る」が並んでいることです。
危険をなくす、とは書いていません。
危険がある場所を、危険があるとはっきりさせたうえで、そこで人が助かるようにする。それがこの法律の設計です。
手続きも、役割がきれいに分かれています。第7条で、都道府県知事が警戒区域を指定します。このとき、あらかじめ関係のある市町村の長の意見を聴かなければならないと書かれています。そして第8条で、指定があったときは、市町村防災会議が、市町村地域防災計画のなかに、その区域ごとに情報の収集と伝達の方法などを定めるものとするとされています。
線を引くのは県。線の内側で人をどう動かすかを決めるのは市です。
実務は、次のような形になります。
- 区域の指定について、市として意見を出す
- 指定された区域ごとに、情報をどう伝えるかを決める
- 誰が、いつ、どこへ逃げるかを決めておく
- 区域に入ったことを、そこに住んでいる人に伝える
- そして、伝えたあとも人はそこに住み続けます
「危険を消せない前提で、それでも助かる手順を用意する」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
すぐには直せない不具合、入れ替えられない古い設備、代わりの効かない取引先、止められないシステム。「直します」と言えるうちはまだ楽です。ところが直るまでに何年もかかるもの、そもそも直せないものが必ず残ります。
そして多くの企業で、こうなります。対策として出てくるのは「更新計画」だけで、更新されるまでの間どう運用するかを、誰も決めていません。危ないと分かっている状態のまま、何も手順がないまま動き続けます。
求人票では、事業継続計画、危機管理、運用設計、保守計画、リスク管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、区域や地名をそのまま書かないことです。消せない危険をどう洗い出したか、消せない前提で何を用意したか、それを関係する人にどう伝えたか、そして伝えたあと実際に動くかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
茨木で、どの経験が値になるか
1. 消せない危険を前提に設計した経験
「直します」で終わらせなかった経験は、企業の危機管理でそのまま使われます。
2. 悪い知らせを伝えた経験
「あなたの土地は危険区域です」と伝える。この経験は、顧客説明と渉外の実務と同じ構造です。
3. 手順が実際に動くかを確かめた経験
決めただけでは動きません。訓練や点検まで作った経験が値になります。
4. 開発許可と建築確認の実務
審査する側にいた経験は、そのまま職種になります。
府内・府外の求人を見るときに
茨木市は大阪市と京都市の間にあり、両方の都市圏を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「防災を担当」では読み手に何も残りません。消せない危険に対して、何を用意したか。
伝えたあとを書く
伝えて終わりではありません。実際に動くかを確かめた話があると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域の数、対象世帯の数、説明会の回数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、防災士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。防災や許認可に関わったなら、対象となる区域の数、対象世帯の数、説明会の回数、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 茨木市の一般行政職はラスパイレス指数100.3、平均給与月額420,636円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 給料月額313,200円は、同じ大阪府の岸和田市より900円低い数字です
- それでも総額は18,073円多く、差の69.0%は地域手当(10%と6%の違い)です
- 給料月額の差900円は総額差の5.0%にすぎず、しかも向きが逆です
- 地域手当は、国が地域ごとに示した基準をもとに、団体が条例で支給率を決める手当です
- 「消せない危険を前提に、それでも助かる手順を用意する」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(土砂災害防止法1条・7条・8条)
よくある質問
給料月額が低いのに総額が多いのは、どういうことですか
地域手当です。茨木市は10%、岸和田市は6%。給料月額に割合を掛けるので、茨木市はおよそ31,320円、岸和田市はおよそ18,846円になり、差は12,474円。総額差18,073円の69.0%を占めます。給料月額の差900円は総額差の5.0%にすぎず、しかも岸和田市のほうが多いという逆向きです。
地域手当10%は、団体が決めているのですか
国が地域ごとに示した基準をもとに、団体が条例で支給率を決めます。基準どおりの団体が多数ですが、上回る団体も下回る団体もあります。そのうえで、総額の差の7割近くは、その市がどう給与を決めたかとは別のところで決まっています。団体どうしの総額比較が、給与の決め方の比較にならないのはこのためです。
諸手当25.5%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当10%ぶんのおよそ31,320円を除いた、76,116円の部分です。総額に占める割合でいうと18.1%。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに違います。求人票の想定年収と比べるときは、ここがどれだけ自分に付いているかが効きます。