自治体別 / 中核市
一宮市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
一宮市のラスパイレス指数100.2は、国を上回る水準です。中核市62市のなかでも上位に入ります。
それでも平均給与月額391,183円は、62市のうち48番目です。
指数は上位、総額は下位。この開きがどこから来るのかを、先に確認してください。
一宮市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、一宮市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 一宮市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.2 |
| 平均年齢 | 41.3歳 |
| 平均給料月額 | 317,200円 |
| 諸手当月額 | 73,983円(中核市62市で下から24番目) |
| 平均給与月額 | 391,183円(中核市62市で48番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 362,446円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
指定基準を下回っている3市
| 市 | 国の指定基準 | 実際の支給割合 | 差 |
|---|---|---|---|
| 岡崎市 | 10.5% | 6% | 4.5ポイント |
| 川口市 | 9% | 6% | 3ポイント |
| 一宮市 | 6% | 3% | 3ポイント |
中核市62市のうち、この3市だけです。残りの59市は、指定基準と実際の支給割合が一致しています。
給料月額317,200円に対し、3ポイントはおよそ9,516円。基準どおりなら、月額はもう9千円ほど高い計算になります。
岡崎市と並べる
同じ愛知県内で、どちらも指定基準を下回っている2市です。
| 項目 | 一宮市 | 岡崎市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.2 | 99.7 | 0.5ポイント |
| 平均年齢 | 41.3歳 | 40.3歳 | 1.0歳 |
| 平均給料月額 | 317,200円 | 308,000円 | 9,200円 |
| 諸手当月額 | 73,983円 | 105,001円 | 31,018円 |
| 平均給与月額 | 391,183円 | 413,001円 | 21,818円 |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% | 6% | 3ポイント |
指数、年齢、給料月額。3つとも一宮市が上回っています。
それでも総額では21,818円下回ります。諸手当31,018円の差が、3つの差を全部ひっくり返しています。
諸手当の比率で見る
一宮市の諸手当73,983円は、総額391,183円の18.9%。岡崎市は25.4%です。
同じ県内で、同じく指定基準を下回っている2市でも、諸手当の構成はまったく違います。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は愛知県職員の転職に、同じく指定基準を下回る市は岡崎市職員の転職と川口市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 再開発事業の権利調整 | 用地開発、アセットマネジメント |
| 地権者・借家人との交渉 | 渉外、用地取得、法務 |
| 駅周辺・中心部の整備 | 都市開発、開発企画 |
| 繊維など地場産業の支援 | 技術営業、調達、商品企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「持っているものを、別の形に変えてもらう」実務
一宮市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
都市再開発法第1条は、この法律が、市街地の計画的な再開発に関し必要な事項を定めることにより、都市における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とすると定めています。
短い条文ですが、この仕組みの特徴は中身にあります。
市街地再開発事業では、いま持っている土地や建物の権利を、新しい建物の床に置き換えるという方法がとられます。買収して立ち退いてもらうのではなく、持ち分の形を変えて、そのまま残ってもらうわけです。
実務は、次のような形になります。
- 一人ひとりの権利を、金額に評価する
- 評価額に応じて、新しい建物のどの床に換えるかを決める
- 土地を持つ人、建物を持つ人、借りている人で立場が違う
- 商売をしている人は、工事の期間どこで営業するのか
- そして全員の合意が揃わないと、一歩も進みません
「いま持っているものを手放して、まだ存在しない床を受け取ってもらう」交渉です。
企業でも、まったく同じ構造の場面があります。
事業の統合、会社の分割、拠点の再編、株式の交換。いま持っている部門、いまの席、いまの取引先。それを、まだ形になっていない新しい体制の中の何かと交換してもらう。
そして多くの企業で、この交換が説明されません。経営は統合後の絵を描き、人事は制度を整えます。ところが「いまの自分が、新しい体制のどこに対応するのか」を一人ひとりに示す役割が、誰にも割り当てられていません。だから決まったはずの再編が、現場で止まります。
求人票では、事業再編、PMO、アセットマネジメント、用地開発、人事企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業の名前を出さないことです。何人の、どういう立場の相手を扱ったか。評価の根拠を何に置いたか。反対した相手に何を示したか。そして合意できなかった相手をどう扱ったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
一宮で、どの経験が値になるか
1. 権利を別の形に換えてもらった経験
土地から床へ。まだ存在しないものと交換してもらう交渉は、企業の事業再編でそのまま必要とされます。
2. 立場の違う相手を同時に扱った経験
所有者、借家人、商売をしている人。同じ事業でも、立場ごとに失うものが違う。この区別ができる人は多くありません。
3. 合意できなかった相手を扱った経験
全員が納得することは、まずありません。そこをどう扱ったかが、実務の中身です。
4. 繊維の分業構造を知っている
紡ぐ、織る、染める、仕上げる。工程ごとに別の会社が担う構造を知っていることは、調達とサプライチェーンで直接効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
一宮市は名古屋圏にあり、愛知県内や岐阜県南部を担当エリアとする求人が現実的な選択肢に入ります。名古屋市内への通勤も日常的な距離です。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○再開発事業を担当」では読み手に何も残りません。何人の、どういう立場の相手を扱い、評価の根拠を何に置いたか。
合意できなかった相手を書く
全員が納得した事例はありません。そこをどう扱ったかを書くと、交渉の実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域の面積、権利者の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員、不動産の鑑定に関わる資格。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
権利の評価と建物の設計を両方見た経験は、扱える人が限られる
従前の資産をどう評価し、それを新しい建物のどの位置に割り付けるか。評価と設計の両方がわかる人は、再開発を扱うコンサルタントとデベロッパーの双方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。再開発や用地に関わったなら、権利者の数、評価額の総額、事業費、合意までの期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 一宮市の一般行政職はラスパイレス指数100.2、平均給与月額391,183円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数は国を上回る一方、総額は中核市62市で48番目です
- 地域手当は国の指定基準6%に対し、実際の支給割合が3%。基準を下回る中核市は62市中3市だけです
- 岡崎市とは指数・年齢・給料月額の3つで上回りながら、総額では21,818円下回ります
- 諸手当は総額の18.9%と薄く、去年の支払金額が翌年もほぼそのままという読み方がしやすい水準です
- いま持っているものを、まだ存在しないものと交換してもらう説明は、企業の再編で空いています(都市再開発法1条)
よくある質問
指数が国を上回っているのに、総額が中核市で48番目なのはなぜですか
指数は給料表の水準だけを補正して比べた数字だからです。地域手当も、時間外も、住居も、扶養も、管理職手当も入っていません。一宮市は諸手当73,983円で総額の18.9%。同じ県内の岡崎市(105,001円・25.4%)と比べると31,018円薄く、指数・年齢・給料月額の3つで上回りながら総額では21,818円下回ります。
地域手当が国の指定基準より低いのは、どう考えればいいですか
この記事では理由に踏み込みません。確認できる事実は、国の指定基準6%に対し実際の支給割合が3%であること、基準を下回る中核市が62市のうち一宮市・岡崎市・川口市の3市だけであることです。給料月額317,200円に対し3ポイントはおよそ9,516円。求人票の想定年収と比べるときは、いま受け取っている実額を基準にしてください。
用地や権利の交渉ばかりで、成果と言えるものがありません
やっていたのは、いま持っているものを手放して、まだ存在しないものを受け取ってもらう説明です。企業でも事業の統合や拠点の再編で、「いまの自分が新しい体制のどこに対応するのか」を一人ひとりに示す役割が空いています。何人のどういう立場の相手を扱ったか、評価の根拠、反対した相手に示したもの、合意できなかった相手の扱いを書いてください。