自治体別 / 中核市
金沢市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
金沢市の平均給与月額409,816円は、富山市411,122円、福井市413,552円とほとんど並びます。最大でも3,736円差です。
ところが国ベースに直すと、金沢市353,398円、福井市374,322円。20,924円離れます。
総額でほぼ同じ2市が、基準を変えると5倍以上の差になる。
金沢市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、金沢市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 金沢市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.2 |
| 平均年齢 | 41.4歳 |
| 平均給料月額 | 321,100円 |
| 諸手当月額 | 88,716円 |
| 平均給与月額 | 409,816円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 353,398円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
北陸3市を並べる
| 項目 | 金沢市 | 富山市 | 福井市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.2 | 100.0 | 99.5 |
| 平均年齢 | 41.4歳 | 41.8歳 | 43.9歳 |
| 平均給料月額 | 321,100円 | 330,800円 | 339,500円 |
| 諸手当月額 | 88,716円 | 80,322円 | 74,052円 |
| 平均給与月額 | 409,816円 | 411,122円 | 413,552円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 353,398円 | 370,495円 | 374,322円 |
| 地域手当 | 3% | 3% | 3% |
地域手当が3市とも同率なので、残る変数は年齢と諸手当だけです。
金沢市と福井市を比べると、平均年齢は2.5歳若く、給料月額で18,400円下回り、諸手当で14,664円上回ります。
若い組織が、手当で押し返して総額を揃えている形です。そして押し返した結果、総額の差は3,736円まで縮みます。
諸手当の比率で見る
| 市 | 諸手当月額 | 総額に占める割合 |
|---|---|---|
| 金沢市 | 88,716円 | 21.6% |
| 富山市 | 80,322円 | 19.5% |
| 福井市 | 74,052円 | 17.9% |
北陸3市のなかでは、金沢市がいちばん厚い。そして国ベースで金沢市だけ低く出るのは、この構成と対応しています。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は石川県職員の転職に、隣県の県庁所在地は富山市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 観光の受入と回遊の設計 | 観光事業企画、集客企画 |
| 宿泊・飲食の事業者との調整 | パートナー開拓、アライアンス |
| 混雑や騒音など受入側の負担の管理 | リスク管理、CS企画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「来る人と、住んでいる人の両方を見る」実務
金沢市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
観光立国推進基本法第1条は、この法律が、二十一世紀の我が国経済社会の発展のために観光立国を実現することが極めて重要であることにかんがみ、その実現に関する施策に関し基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、国民経済の発展、国民生活の安定向上及び国際相互理解の増進に寄与するものだとしています。
読んでほしいのは、目的に「国民生活の安定向上」が入っていることです。
来訪者を増やすことだけが書かれているわけではありません。受け入れる側の生活も、同じ条文のなかに目的として並んでいます。
そして実務では、この2つが日常的にぶつかります。
- 人が増えれば、店も宿も潤う
- 同時に、道も交通機関も混む
- 住んでいる人の生活の速度が落ちる
- 短期の貸出が増えれば、住む人の選択肢は減る
- ごみ、騒音、夜間の人通り。負担は分散しない
増やす側の指標と、受け入れる側の負担は、別々に動きます。そして増やす側の指標だけを見ていると、ある時点で受け入れる側が耐えられなくなります。
企業でも、まったく同じ構造があります。
顧客が増えるほど、現場の負荷は上がります。新規獲得の数字だけを見ていると、サポートも物流も配送も先に限界が来る。そして限界が来たときには、評判が落ちたあとです。
そして多くの企業で、ここを見ている人がいません。営業は新規の数、マーケティングは流入、現場は目の前の処理。「受け入れ側があと何割の増加に耐えられるか」を測って、増やす側にブレーキをかける役割が、誰にも割り当てられていません。
求人票では、事業企画、CS企画、オペレーション企画、リスク管理、パートナー開拓といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業の名前を出さないことです。受け入れ側の負担を何で測ったか、どの水準を超えたら手を打つと決めたか、実際に何を制限したか、そして制限したときに増やす側をどう説得したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
金沢で、どの経験が値になるか
1. 受け入れ側の負担を数字で測った経験
混雑、苦情、処理量。感覚ではなく数字で測った経験は、企業のオペレーション企画でそのまま必要とされます。
2. 増やす側にブレーキをかけた経験
止める側に回るのは、社内でも歓迎されません。それでも止めた判断を説明できる人は、そう多くありません。
3. 事業者を集めて条件を揃えた経験
宿泊、飲食、交通。利害が違う事業者に同じ条件を守らせた経験は、パートナー管理と直結します。
4. 古い市街地を使いながら維持した経験
道の幅、建物、水路。使われている状態のまま直すという条件での実務は、改修や施設更新で効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
金沢市は北陸新幹線で首都圏とつながっており、北陸3県を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。何を指標にして、どの水準を超えたら手を打つと決め、実際に何を制限したか。
制限した話を書く
伸ばした話は誰でも書きます。制限した話のほうが、基準を持っていた証明になります。
規模を必ず書く
市の人口、来訪者数、事業者の数、対象区域。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
狭い道と古い建物を残したままの工事は、扱える人が限られる
資材の搬入、仮設の置き場、振動の管理、工期の制約。普通のやり方が使えない場所で工程を組む経験は、都市部の改修工事で直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。観光や施設の運営に関わったなら、来訪者数、事業者の数、苦情の件数、負担の指標と実績で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 金沢市の一般行政職はラスパイレス指数99.2、平均給与月額409,816円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 北陸3市は地域手当が全部3%。残る変数は年齢と諸手当だけになります
- 福井市より年齢が2.5歳若く給料月額で18,400円下回り、諸手当で14,664円押し返しています
- 総額の差は3,736円。ところが国ベースでは20,924円離れます
- 諸手当は総額の21.6%で北陸3市では最も厚い水準。3年ぶん並べてぶれ幅を確認してください
- 受け入れ側の負担を測って、増やす側にブレーキをかけた経験は、企業でほぼ空いています(観光立国推進基本法1条)
よくある質問
総額は富山市・福井市とほぼ同じなのに、国ベースだけ2万円以上低いのはなぜですか
見ている範囲が違うからです。総額では最大3,736円差、国ベースでは福井市と20,924円差。金沢市は諸手当が総額の21.6%で北陸3市のなかでは最も厚く、その構成が国ベースでの出方と対応しています。同じ3市が、どの数字で並べるかで差の幅が変わります。自分の実額は、源泉徴収票で確かめるほうが確実です。
平均年齢が若いと、給与は低くなりますか
給料月額は低くなりますが、総額はそうとは限りません。金沢市は福井市より2.5歳若く給料月額で18,400円下回りますが、諸手当で14,664円押し返して総額は3,736円差です。そして年齢が若いことは、転職では条件がよくなる側に働きます。いま受け取っている額が低いぶん、求人票の想定年収と比べて上がる幅が出やすくなります。
数字は伸ばしたのに、苦情ばかり受けていました
それは両方を見ていた証拠です。増やす側の指標と受け入れる側の負担は別々に動くので、片方だけを見れば必ず破綻します。企業でも新規獲得だけを追ってサポートや物流が先に限界を迎える、という形で同じことが起きています。負担を何で測ったか、どの水準で手を打つと決めたか、実際に何を制限したか、増やす側をどう説得したかを書いてください。