自治体別 / 中核市
富山市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
富山市のラスパイレス指数は100.0。国とちょうど同じ水準です。
中核市62市のうち、指数が100.0ちょうどなのは山形市と富山市の2市だけです。
そして北陸3県の県庁所在地は、富山市・金沢市・福井市とも地域手当が3%で同率。条件が揃っているので、差の出どころがはっきり見えます。
富山市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、富山市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 富山市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.0 |
| 平均年齢 | 41.8歳 |
| 平均給料月額 | 330,800円 |
| 諸手当月額 | 80,322円 |
| 平均給与月額 | 411,122円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 370,495円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
北陸3市を並べる
| 項目 | 富山市 | 金沢市 | 福井市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.0 | 99.2 | 99.5 |
| 平均年齢 | 41.8歳 | 41.4歳 | 43.9歳 |
| 平均給料月額 | 330,800円 | 321,100円 | 339,500円 |
| 諸手当月額 | 80,322円 | 88,716円 | 74,052円 |
| 平均給与月額 | 411,122円 | 409,816円 | 413,552円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 370,495円 | 353,398円 | 374,322円 |
| 地域手当 | 3% | 3% | 3% |
総額は411,122円、409,816円、413,552円。最も離れている福井市と金沢市でも3,736円差です。
ところが中身は、ほとんど逆を向いています。
- 平均年齢は、福井市43.9歳と金沢市41.4歳で2.5歳差
- 給料月額は、福井市が金沢市を18,400円上回る
- 諸手当は、金沢市が福井市を14,664円上回る
福井市は年齢が高く給料表で積み上げ、金沢市は年齢が若く手当で埋めている。そしてその2つがほぼ相殺して、総額はほとんど並びます。
国ベースにすると、金沢市だけ離れる
国ベースの数字は、富山市370,495円、金沢市353,398円、福井市374,322円。
総額ではほぼ並ぶ3市が、国ベースでは金沢市だけ20,924円低くなります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は富山県職員の転職に、隣県の県庁所在地は金沢市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 薬事・医療機器に関する許認可と監視 | 薬事管理、品質保証、規制対応 |
| 製造所・販売所の立入検査 | 監査、品質監査、内部統制 |
| 公共交通の計画と沿線の土地利用 | モビリティ事業企画、用地開発 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「記録が残っていることが、品質の前提」という実務
富山市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第1条は、この法律が、医薬品等の品質、有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医薬品等の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図るものだとしています。
読んでほしいのは、規制と促進が同じ条文に入っていることです。
止めることと、進めることが、一つの法律の目的として並んでいます。
そして実務では、この2つが同じ現場でぶつかります。
- 製造所を検査し、手順どおりに作られているかを見る
- 記録が残っているか、後から追えるかを確認する
- 不備があれば止める。止めれば供給が滞る
- 供給が滞れば、必要としている人に届かない
- それでも記録がなければ、品質は証明できない
「作れているかどうか」ではなく「作れていたと証明できるかどうか」を見る仕事です。
企業でも、この見方がそのまま必要とされています。
品質保証、内部監査、情報管理、取引先の監査。現場は「ちゃんとやっている」と言います。ところが記録がなければ、やっていたことを後から示せません。そして問題が起きたときに求められるのは、やっていたという主張ではなく、やっていたと示せる記録です。
そして多くの企業で、ここを設計できる人がいません。現場は作業を優先し、管理部門は書式を配るだけ。「後から追えるようにするには、どの時点で何を残しておく必要があるか」を設計した人がいない。だから監査のたびに、過去を遡って書類を作り直すことになります。
求人票では、品質保証、薬事管理、内部監査、規制対応、サプライヤー監査といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度の名前を出さないことです。何件を、どの観点で見たか。止めた事例では何が決め手だったか。止めずに条件を付けた事例では何を求めたか。そして記録の残し方をどう改めさせたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
富山で、どの経験が値になるか
1. 記録から遡れるかどうかを見た経験
「やっている」と「やっていたと示せる」は別だという前提で見る目は、企業の監査部門でそのまま必要とされます。
2. 止める判断をした経験
止めれば供給が滞ります。それでも止めた判断と、その理由を説明できる人は多くありません。
3. 止めずに条件を付けた経験
全部を止めるのは、実は簡単です。どこまでなら続けさせるかを決めたほうが、難しい。
4. 公共交通を軸にした都市計画
路線、沿線、施設の配置。人の動きを前提に土地の使い方を決めた経験は、商業施設と物流の企画で直接効きます。
5. 雪と水を前提にした施設の維持
除雪、消雪、排水。条件が厳しい場所で施設を回した経験は、設備管理でそのまま読み替えられます。
県内・県外の求人を見るときに
富山市は北陸新幹線で首都圏とつながっており、担当エリア型の求人であれば、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○の監視指導を担当」では読み手に何も残りません。何件を、どの観点で見て、どこで止め、どこで条件を付けたか。
止めなかった事例を書く
止めた話だけを並べると、基準の厳しさしか伝わりません。止めずに条件を付けた事例のほうが、判断の幅を示せます。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる施設や事業所の数、検査の件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、薬剤師、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
寒冷地・積雪地の設備設計は、扱える人が限られる
凍結、融雪、荷重、排水。冬を前提に設計と点検を組んだ経験は、同じ条件の地域を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。監視や許認可に関わったなら、件数、処理期間、不備が見つかった割合、是正までの期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 富山市の一般行政職はラスパイレス指数100.0、平均給与月額411,122円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数100.0ちょうどは、中核市62市で山形市と富山市の2市だけです
- 北陸3市は地域手当が全部3%。残る変数は年齢と諸手当だけになります
- 福井市は年齢が高く給料表で積み上げ、金沢市は年齢が若く手当で埋める。相殺して総額は3,736円差です
- 国ベースにすると金沢市だけ20,924円低くなります。見る数字を変えると並び方も幅も変わります
- 記録から遡れるかを見た経験は、企業の監査・品質保証でそのまま必要とされます(薬機法1条)
よくある質問
ラスパイレス指数が100.0ちょうどというのは、どういう意味ですか
国家公務員と同じ水準の給料表だ、ということです。年齢と学歴の構成を国に合わせて補正したうえで比べた数字なので、100.0は「同じ」を意味します。中核市62市で100.0ちょうどなのは山形市と富山市の2市だけです。ただし指数は給料表の話で、地域手当も諸手当も含んでいません。総額とは別の数字として読んでください。
金沢市・福井市と総額がほとんど同じなのに、中身が違うのはなぜですか
年齢と諸手当が逆を向いているからです。福井市は平均年齢43.9歳で給料月額339,500円、金沢市は41.4歳で321,100円。18,400円の差を、金沢市が諸手当14,664円ぶんで押し返しています。地域手当は3市とも3%で同率なので、この2つだけが変数になります。同じ総額に、別の道筋で到達している形です。
監視や検査の仕事が、民間で評価されるとは思えません
評価されるのは「記録から遡れるかを見る目」です。企業では現場が「ちゃんとやっている」と言い、管理部門は書式を配るだけで、後から追えるようにするにはどの時点で何を残すべきかを設計した人がいません。何件をどの観点で見たか、止めた事例の決め手、止めずに条件を付けた事例で求めたこと、記録の残し方をどう改めさせたかを書いてください。