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習志野市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
習志野市の地域手当は、国の指定基準が13%、実際の支給割合が15%です。
基準より2ポイント高い。この連載でこれまで扱ったずれは、三鷹市(15%→10%)、安城市(12%→6%)、市川市(12%→10%)、藤沢市(13%→12%)、流山市(7%→6%)と、すべて基準より低い方向でした。
基準より高い例は、今回が初めてです。
習志野市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、習志野市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 習志野市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.3 |
| 平均年齢 | 41.5歳 |
| 平均給料月額 | 323,700円 |
| 諸手当月額 | 128,174円(同じ類型の35団体で2番目に厚い) |
| 平均給与月額 | 451,874円(35団体で4番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 394,168円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 13% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 15% |
諸手当は総額の28.4%を占めます。
基準どおりなら、いくらになるか
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 実際の支給割合15%での地域手当(概算) | 48,555円 |
| 国の指定基準13%だった場合(概算) | 42,081円 |
| 差 | 6,474円 |
月におよそ6,474円。基準どおりより多く支給している計算になります。
「上にも下にも外れる」という話の、上の側です
市川市の回で、総務省の同じ調査に全国1,721団体の地域手当が「国の指定基準」と「実際の支給割合」の2列で載っていて、そのうち88団体で両者が違うことを書きました。そして上に外れる団体も、下に外れる団体もあるとも書きました。
習志野市は、その「上」の実例です。
つまり、地域手当について正しい言い方はこうなります。国は地域ごとに支給率の基準を示す。実際に何%支給するかは、団体が条例で決める。基準どおりの団体が多数ですが、上回る団体も下回る団体もあります。
総額のどこが厚いのか
| 項目 | 習志野市 | 35団体での位置 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 323,700円 | 中位 |
| 地域手当(概算) | 48,555円 | ー |
| 地域手当以外の手当(概算) | 79,619円 | 10番目 |
地域手当以外の79,619円は、総額の17.6%。35団体のなかでは中位です。
総額が4番目なのは、地域手当15%がそれだけ大きいからです。
県内の数字は千葉県職員の転職に、地域手当を基準より低く支給している市は市川市職員の転職と三鷹市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
習志野市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 自然環境の保全、モニタリング | 環境管理、サステナビリティ推進 |
| 水辺・緑地の管理と利用調整 | 施設運営、用地開発、渉外 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 公共施設の再編、統廃合の調整 | 拠点再編、固定費削減 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「どの制度にも当てはまらないもの」を拾う実務
習志野市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
自然環境保全法第1条は、この法律が、自然公園法その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まつて、自然環境を保全することが特に必要な区域等の生物の多様性の確保その他の自然環境の適正な保全を総合的に推進することにより、広く国民が自然環境の恵沢を享受するとともに、将来の国民にこれを継承できるようにすることを目的とすると定めています。
注目してほしいのは「その他の自然環境の保全を目的とする法律と相まつて」という一句です。
自然を守る法律は、ほかにもあります。国立公園や国定公園を扱う法律、森林を扱う法律、鳥獣を扱う法律。
それでも、どれにも当てはまらない場所が残ります。
公園に指定するほどの景勝地ではない。森林でもない。それでも、そこにしかない環境がある。
この法律は、そういう場所を拾うために置かれています。
実務は、次のような形になります。
- 既存の制度で守られている範囲を、まず確かめる
- どの制度にも当てはまらない場所が見つかる
- 「担当する法律がない」ので、誰も動かない
- 別の枠組みを探すか、市の条例で受ける
- そして、守る根拠が弱いぶん、説明が要ります
「制度の網の目からこぼれたものを、誰かが拾う」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
どの規程にも当てはまらない案件、どの部署の所管でもない業務、分類されていない費目、既存のカテゴリに入らない問い合わせ。どれも、必ず出てきます。
そして多くの企業で、こうなります。担当が決まっていないので、「該当なし」として処理されるか、たらい回しになります。拾った人が損をするので、誰も拾いません。そして同じものが、翌年また出てきます。
新しい種類の案件は、たいてい「どこにも当てはまらないもの」として現れます。拾う仕組みがない組織は、変化に気づくのが遅れます。
求人票では、業務設計、内部統制、事業開発、リスク管理、サステナビリティ推進といった名前で書かれています。
書くときのこつは、場所や案件を特定できる形で書かないことです。既存の枠に当てはまらないものをどう見つけたか、拾うと決めた理由をどう説明したか、根拠が弱いなかで何を用意したか、そして次から拾える仕組みにどう変えたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
習志野で、どの経験が値になるか
1. どこにも当てはまらないものを拾った経験
担当が決まっていないものを引き受ける。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 根拠が弱いなかで説明した経験
「守る法律がない」状態で説明を通す。この経験が値になります。
3. 次から拾える仕組みに変えた経験
その場だけで終わらせない。ここがいちばん強く読まれます。
4. 水辺や緑地の利用を調整した経験
守る側と使う側が同じ場所を求めます。施設運営と渉外の実務と同じ構造です。
県内・県外の求人を見るときに
習志野市は千葉県の北西部にあり、千葉市や都内を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「環境保全を担当」では読み手に何も残りません。既存の枠に当てはまらないものを、どう見つけて、どう拾ったか。
拾わなかったものを書く
全部は拾えません。拾わないと決めた理由を書けると、判断があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域や面積、調査の回数、関係した団体の数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
水辺の環境を測れる技術者は、限られる
水位、塩分、底質、生物。同じ方法で継続して測った経験は、環境部門を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。保全や許認可に関わったなら、対象となる面積、調査の回数、関係した団体の数、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 習志野市の一般行政職はラスパイレス指数100.3、平均給与月額451,874円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当は国の指定基準13%に対して実支給15%。基準より2ポイント高く、この連載で初めての「上に外れる」例です
- 基準どおりより、月におよそ6,474円多く支給している計算になります
- 総額が35団体で4番目なのは、地域手当15%がそれだけ大きいからです。地域手当以外の79,619円は10番目で中位です
- 地域手当の割合が高い団体では、昇給すると地域手当も自動的に増えます。去年と翌年で額が変わるので、比べるときに手間がかかります
- 「制度の網の目からこぼれたものを、誰かが拾う」経験は、企業でほとんど誰も評価していません(自然環境保全法1条)
よくある質問
地域手当が国の基準より高いことは、あるのですか
あります。総務省の同じ調査に載っている全国1,721団体のうち88団体で、国の指定基準と実際の支給割合が違います。上に外れる団体も、下に外れる団体もあります。習志野市は基準13%に対して実支給15%。この連載で扱った三鷹市・安城市・市川市・藤沢市・流山市は、いずれも基準より低い側でした。
総額が4番目なら、自分の額も高いですか
そうとは限りません。総額の高さは地域手当15%から来ています。地域手当は給料月額に割合を掛けるだけなので、役職にも時間外の量にもよりません。引いた残りの79,619円(総額の17.6%)は35団体で10番目、中位です。
諸手当28.4%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当15%ぶんのおよそ48,555円を除いた、79,619円の部分です。総額に占める割合でいうと17.6%。昇給すると地域手当も自動的に増えるので、去年と翌年で額が変わります。複数年ぶんの支払金額を並べて、動き方も確かめてください。