自治体別 / 施行時特例市
沼津市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
沼津市のラスパイレス指数102.4は、施行時特例市23市のなかで最も高い数字です。
ところが平均給料月額324,900円は、23市のなかで9番目です。
指数が1位で、給料月額は9位。この食い違いには理由があります。この回で、そこを開きます。
沼津市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、沼津市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 沼津市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 102.4(施行時特例市23市で最も高い) |
| 平均年齢 | 40.3歳(23市で3番目に若い) |
| 平均給料月額 | 324,900円(23市で9番目) |
| 諸手当月額 | 93,172円 |
| 平均給与月額 | 418,072円(23市で13番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 366,659円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% |
諸手当は総額の22.3%を占めます。
指数が1位で、給料月額が9位になる理由
ラスパイレス指数は、学歴と経験年数を揃えたうえで国と比べた数字です。年齢構成の影響を、あらかじめ取り除いています。
一方、平均給料月額は実際に在職している職員の平均なので、年齢構成がそのまま残ります。
沼津市の平均年齢40.3歳は、23市で3番目に若い数字です。
| 市 | ラスパイレス指数 | 平均年齢 | 平均給料月額 |
|---|---|---|---|
| 沼津市 | 102.4(1位) | 40.3歳 | 324,900円 |
| 四日市市 | 101.6 | 40.5歳 | 314,700円 |
| 所沢市 | 101.5 | 41.7歳 | 318,600円 |
| 熊谷市 | 101.2 | 42.4歳 | 330,800円 |
| 富士市 | 101.1 | 43.4歳 | 337,500円 |
指数が上から5市を並べると、指数の順と給料月額の順は、まったく一致していません。
むしろ、年齢の低い順と給料月額の低い順のほうが、近い並びになります。
そのなかで沼津市だけが浮きます。5市で最も若いのに、給料月額は3番目です。
つまり沼津市の指数の高さは、年齢構成を差し引いたところで効いています。平均給料月額という「年齢が残った数字」で見ると、その効きが若さに打ち消されて9位に見える、というだけのことです。
同じ静岡県の富士市と並べる
| 項目 | 沼津市 | 富士市 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 102.4 | 101.1 |
| 平均年齢 | 40.3歳 | 43.4歳 |
| 平均給料月額 | 324,900円 | 337,500円 |
| 地域手当(実支給) | 6% | 3% |
| 諸手当月額 | 93,172円 | 94,780円 |
| 平均給与月額 | 418,072円 | 432,280円 |
指数では沼津市が1.3ポイント上。給料月額では富士市が12,600円上。
同じ県の、隣り合う施行時特例市で、どちらの数字を見るかによって上下が入れ替わります。
地域手当を引いてみる
諸手当のなかには、給料月額に割合を掛けて計算される地域手当が含まれています。引いてみます。
| 項目 | 沼津市 | 富士市 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 324,900円 | 337,500円 |
| 地域手当の割合 | 6% | 3% |
| 地域手当の概算 | 19,494円 | 10,125円 |
| 諸手当月額 | 93,172円 | 94,780円 |
| 地域手当以外の手当(概算) | 73,678円 | 84,655円 |
地域手当の割合は沼津市のほうが2倍高いのに、地域手当以外の手当では富士市が10,977円多くなります。
この2市に限れば、地域手当の割合が高いほうが、地域手当以外の手当は薄くなっています。ただしこれは2市を並べたときの形で、23市すべてに広げると成り立ちません(四日市市職員の転職で23市ぶんを並べています)。
県内の数字は静岡県職員の転職に、隣接する施行時特例市は富士市職員の転職に整理しています。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。沼津市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 水産業の担い手支援、販路の開拓 | 産地開発、商品企画、事業開発 |
| 補助金の設計と交付、実績の確認 | 与信審査、投資管理、事業評価 |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 観光の誘客と受入環境の整備 | 販促企画、店舗開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「自分でやる」のではなく「相手の努力を支える」実務
沼津市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
水産基本法第1条は、この法律が、水産に関する施策について、基本理念及びその実現を図るのに基本となる事項を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにすることを目的とすると定めています。
そして第7条は、国及び地方公共団体が施策を講ずるにあたっては、水産業者及び水産業に関する団体がする自主的な努力を支援することを旨とすると定めています。
注目してほしいのは「自主的な努力を支援することを旨とする」という書き方です。
行政が代わりにやる、とは書いていません。主語は事業者の側にあり、行政はそれを支える側に置かれています。
これは、支援という仕事のいちばん難しいところを、法律が正面から書いた条文です。
実務は、次のような形になります。
- 事業者が自分で決めたことに、補助や情報を足す
- 決めていない相手には、決めるための材料を出す
- 代わりに決めてしまうと、続かなくなる
- 支援した結果が出たかを、あとから確かめる
- 出ていないとき、支援のやり方を変える
「手を出しすぎると自立しない、手を引きすぎると何も起きない」という幅のなかで仕事をします。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
代理店や販売店の支援、加盟店の育成、子会社の立て直し、社内の他部署への支援。「こちらでやります」と言えば、その場は早く終わります。ところがやってあげた仕事は、翌年も同じようにやってあげることになります。
そして多くの企業で、二択になります。本部は「やり方を指示する」か「現場に任せる」かのどちらかしか持っていません。ところが指示すれば言われたことしかやらず、任せれば何も起きません。その間にある「自分で決められるようにする」という設計を、誰も担当していません。
求人票では、パートナー支援、加盟店開発、産地開発、事業開発、カスタマーサクセスといった名前で書かれています。
書くときのこつは、補助金や制度の名前をそのまま書かないことです。相手が自分で決めるために、どういう材料を出したか、どこまで手を出してどこから引いたか、その線をどう決めたか、そして結果が出なかったとき支援のやり方をどう変えたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
沼津で、どの経験が値になるか
1. 手を出す線を決めた経験
やりすぎれば自立せず、引きすぎれば何も起きません。その線を意識して決めた経験が値になります。
2. 相手が自分で決めるための材料を作った経験
指示ではなく材料を出す。これは提案営業とカスタマーサクセスの中身そのものです。
3. 支援の結果を確かめた経験
出したあとに何が起きたかを見た経験は、投資管理と事業評価で使われます。
4. 一次産業の事業者と直接やりとりした経験
現場の事情が分かる担当者は、産地を扱う企業で求められます。
5. 開発許可と建築確認の実務
審査する側にいた経験は、そのまま職種になります。
県内・県外の求人を見るときに
沼津市は静岡県東部の中心にあり、県内や静岡県東部を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「補助事業を担当」では読み手に何も残りません。どこまで手を出し、どこから引いたか。その線をどう決めたか。
結果が出なかった場面を書く
支援は、出したら終わりではありません。結果を見て、やり方を変えた話があると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となった事業者の数、交付の件数、支援後の実績。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海と水を前提にした設計は、扱える人が限られる
高潮、津波、塩害、排水。海に面した条件で設計と点検を組んだ経験は、同じ条件の地域を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。支援や許認可に関わったなら、対象となる事業者の数、交付の件数、支援後の売上や出荷の変化、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 沼津市の一般行政職はラスパイレス指数102.4、平均給与月額418,072円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数は施行時特例市23市で最も高い数字です。ところが平均給料月額324,900円は9番目です
- 指数は年齢構成を消した数字、給料月額は年齢構成が残った数字。平均年齢40.3歳という若さが、給料月額の側に出ています
- 隣接する富士市とは、指数では沼津市が1.3ポイント上、給料月額では富士市が12,600円上。どちらを見るかで上下が入れ替わります
- 地域手当を引くと、割合が2倍高い沼津市のほうが、地域手当以外の手当は10,977円薄くなります
- 「相手が自分で決められるようにする」設計は、企業でほとんど誰も担当していません(水産基本法1条・7条)
よくある質問
指数が1位なのに給料月額が9位なのは、どういうことですか
2つの数字が、別の目的で作られているからです。ラスパイレス指数は学歴と経験年数を揃えて国と比べた数字で、年齢構成の影響をあらかじめ取り除いています。平均給料月額は実際に在職している職員の平均なので、年齢構成がそのまま残ります。沼津市の平均年齢40.3歳は23市で3番目に若いので、その若さが給料月額の側に出ています。
地域手当6%は、実際にいくらですか
平均給料月額324,900円に6%を掛けると、およそ19,494円です。諸手当93,172円からこれを引くと、残りは73,678円。この残りの部分が、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所によって人ごとに違います。求人票と比べるときは、この部分がどれだけ自分に付いているかが効きます。
富士市と比べて、沼津市は低いのですか
見る数字によって入れ替わります。指数は沼津市102.4、富士市101.1で沼津市が上。給料月額は沼津市324,900円、富士市337,500円で富士市が上。平均年齢は沼津市40.3歳、富士市43.4歳で3.1歳違います。団体どうしの比較は、どの数字を選ぶかで結論が決まってしまいます。使えるのは自分の実額です。