自治体別 / 市
大崎市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
前回とりあげた国分寺市は、総額6番目で国ベース2番目。外側が薄いので落ち幅が小さく、国ベースの順位が上がる形でした。
大崎市も同じ形です。ただし位置が違います。
総額50番目、国ベース41番目。
「外側が薄いので落ち幅が小さい」は、上位の団体だけの性質ではありません。
大崎市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、大崎市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 大崎市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.2 | 36番目 |
| 平均年齢 | 43.5歳 | 20番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 319,000円 | 33番目 |
| 諸手当月額 | 50,470円 | 55番目 |
| 平均給与月額 | 369,470円 | 50番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 344,843円 | 41番目 |
| 地域手当以外 | 50,470円 | 53番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。だから諸手当50,470円のすべてが人ごとに違う部分になります。総額の13.7%です。
落ち幅24,627円は、101団体で54番目です
国ベースは、総額から「国の制度に合わせ直したときに落ちる分」を引いた数字です。
大崎市の落ち幅は24,627円。
101団体で54番目。小さいほうです。
だから、総額50番目より国ベース41番目のほうが上に来ます。
落ち幅が小さいのは、地域手当以外が53番目と薄いからです。
国分寺市は総額6番目・国ベース2番目・地域手当以外50番目でした。位置はまったく違いますが、形は同じです。
「外側が薄い団体は、国の制度に合わせ直しても落ちる部分が少ない」。これは、上でも下でも同じように働きます。
年齢が20番目でも、給料月額は33番目です
平均年齢43.5歳は101団体で20番目。高いほうです。
それでも給料月額は33番目。
理由は指数36番目。給料表の水準が真ん中あたりだからです。
年齢が押し上げ、指数が押し下げる。その合成が33番目という数字になります。
そして地域手当0%と諸手当55番目で、総額は50番目まで下がります。
県内の数字は宮城県職員の転職に、同じ県の市は石巻市職員の転職に、同じ形の市は国分寺市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
大崎市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 米・農産物の生産と流通の支援 | 生産管理、需給計画、商品企画 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 温泉・観光の振興 | 販促企画、施設運営 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「余らせても困る。足りなくても困る」実務
大崎市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律第1条は、この法律が、主要な食糧である米穀及び麦が主食としての役割を果たし、かつ、重要な農産物としての地位を占めていることにかんがみ、米穀の生産者から消費者までの適正かつ円滑な流通を確保するための措置並びに政府による主要食糧の買入れ、輸入及び売渡しの措置を総合的に講ずることにより、主要食糧の需給及び価格の安定を図ることを目的とすると定めています。
「需給及び価格の安定」。
安くすることでも、高くすることでもありません。
安定させることです。
安すぎれば作る人がいなくなり、高すぎれば買えない人が出ます。
どちらも困る。
だから、政府が買い、輸入し、売り渡す。
多いときに引き取り、足りないときに出す。
実務は、次のような形になります。
- 作る量は、1年前に決まる
- 食べる量は、直前まで分からない
- だから、必ずずれる
- ずれを吸収する誰かがいないと、価格が振れる
- そして、吸収する側は、持っているあいだ費用がかかります
企業でも、まったく同じ問題があります。
在庫、生産計画、人員の配置、サーバーの容量。どれも「先に決めるもの」と「あとで分かるもの」の間にずれがあります。
そして多くの企業で、こうなります。ずれを吸収する在庫は、削減の対象になります。
「持っているだけで費用がかかる」からです。
そのとおりです。ただし、削ると振れます。
足りなくなったときの損失は、在庫費用より大きいことがあります。
ところが、在庫費用は毎月の数字に出て、足りなかったときの損失は数字に出ません。
出る数字だけを見ると、削るのが正しく見えます。
求人票では、生産管理、需給計画、購買、物流企画、経営企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、在庫を減らしたと書かないことです。先に決めるものとあとで分かるもののずれをどう見積もったか、吸収する量をどう決めたか、削ったときの損失をどう数字にしたか、そして振れが実際に収まったかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
大崎で、どの経験が値になるか
1. ずれの大きさを見積もった経験
必ずずれる、を前提に量を決める。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 数字に出ない損失を出した経験
足りなかったときに何が起きるかを金額にした経験は、強く読まれます。
3. 減らさない判断をした経験
削るのが正しく見える場面で、残した経験は、めったにありません。
4. 作る側と使う側の両方を見た経験
生産と消費の両端を知っている人は、企業にほとんどいません。
県内・県外の求人を見るときに
大崎市は宮城県の北部にあり、仙台方面にも出やすい位置です。県北全域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「農業振興を担当」では読み手に何も残りません。ずれをどう見積もり、吸収する量をどう決めたか。
足りなくなった話を書く
見積もりを外して不足が出ることがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象の面積、生産者の数、扱った量。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
水田と用水を見てきた技術者は、扱える人が限られる
用水路、排水、湛水、圃場の整備。面で水を管理してきた経験は、建設コンサルタントや農業関連の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。農業や施設に関わったなら、対象の面積、生産者の数、扱った量、予算の規模で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 大崎市の一般行政職はラスパイレス指数98.2、平均給与月額369,470円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 総額50番目、国ベース41番目。落ち幅24,627円は101団体で54番目と小さいほうです
- 落ち幅が小さいのは、地域手当以外が53番目と薄いから
- 国分寺市(総額6番目・国ベース2番目)と位置はまったく違いますが、形は同じです
- 平均年齢43.5歳は20番目と高いのに、給料月額は33番目。指数36番目が押し下げています
- 地域手当0%なので、諸手当50,470円(総額の13.7%)のすべてが人ごとに違う部分
よくある質問
総額50番目なのに国ベース41番目なのはなぜですか
国の制度に合わせ直したときの落ち幅が24,627円と小さいからです。落ち幅は団体ごとの手当の付け方の違いを映すので、地域手当以外が薄い団体は落ちる部分が少なくなります。
年齢が20番目なのに給料月額が33番目なのはなぜですか
指数98.2が101団体で36番目だからです。年齢が押し上げ、指数が押し下げる。その合成が33番目という数字になります。
諸手当50,470円のうち、自分に関係するのはどこですか
全部です。地域手当が0%なので、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。ただし総額に占める割合は13.7%で、この連載では25%を超える団体も見てきました。