自治体別 / 市
佐倉市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
佐倉市の地域手当は、国の指定基準が9%、実際の支給割合が10%です。
基準より1ポイント高い。この連載で「基準より高い」例は、習志野市(13%→15%)に続いて2件目です。そして2件とも千葉県の市です。
そのうえで、佐倉市の数字は珍しく素直に並びます。給料月額も、総額も、地域手当を引いた残りの手当も、同じ類型の35団体でそろって3番目です。
佐倉市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、佐倉市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 佐倉市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.2 |
| 平均年齢 | 44.2歳(同じ類型の35団体で2番目に高い) |
| 平均給料月額 | 334,500円(35団体で3番目) |
| 諸手当月額 | 119,627円 |
| 平均給与月額 | 454,127円(35団体で3番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 389,888円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 9% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
諸手当は総額の26.3%を占めます。
3つの指標が、そろって3番目
| 項目 | 佐倉市 | 35団体での位置 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 334,500円 | 3番目 |
| 地域手当以外の手当(概算) | 86,177円 | 3番目 |
| 平均給与月額 | 454,127円 | 3番目 |
この連載で、3つがそろって同じ順位になる団体は珍しい。
これまでの回では、給料月額が上位で総額が下位だったり(宇部市・山口市・東広島市)、給料月額が下位で総額が上位だったり(府中市・鎌倉市)することのほうが多くありました。
佐倉市は、給料表に乗る部分も、その外側も、どちらも厚い団体です。
基準どおりなら、いくらになるか
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 実際の支給割合10%での地域手当(概算) | 33,450円 |
| 国の指定基準9%だった場合(概算) | 30,105円 |
| 差 | 3,345円 |
月におよそ3,345円。基準どおりより多く支給している計算になります。
市川市の回で、全国1,721団体のうち88団体で国の指定基準と実際の支給割合が違い、上に外れる団体も下に外れる団体もあることを書きました。佐倉市は、その「上」の2例目です。
県内の数字は千葉県職員の転職に、基準より高く支給している市は習志野市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
佐倉市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 高齢者施策、措置と入所の調整 | ケース管理、サービス企画 |
| 介護・福祉の事業者指導と監査 | 品質管理、加盟店管理、監査 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 住宅団地の再生、公共施設の再編 | 拠点再編、固定費削減 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「本人が望まなくても、行政の判断で動かす」実務
佐倉市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
老人福祉法第1条は、この法律が、老人の福祉に関する原理を明らかにするとともに、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的とすると定めています。
そして第2条は、基本的理念として、老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする、と定めています。
注目してほしいのは第1条の「措置」という言葉です。
サービスを「提供する」でも「支援する」でもありません。措置を「講じる」。
これは、行政が判断して決める、という言い方です。
介護保険が入ってからは、多くの場面で本人が選び、契約します。ところが選べない状態の人がいます。判断が難しくなっている、身寄りがない、あるいは家族が虐待している。
そういうとき、市が決めて動かします。
実務は、次のような形になります。
- 本人の意向を、できるかぎり確かめる
- それでも確かめきれないとき、市が判断する
- 家族が反対しても、本人の安全を優先する場面がある
- 決めた理由を、記録として残す
- そして、その判断は本人の生活を大きく変えます
「本人の同意を前提にできない場面で、それでも決める」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
顧客の口座を止める判断、取引先との契約を打ち切る判断、従業員を配置から外す判断、不正の疑いがある案件を止める判断。どれも相手の同意は取れません。
そして多くの企業で、こうなります。判断が必要な場面で、決める人が決まっていません。現場は上に上げ、上は「もう少し様子を見よう」と言います。そして、手遅れになってから動きます。
決めた場合も、なぜ決めたかの記録が残りません。あとから問われたとき、その判断が正しかったのかを説明できません。
求人票では、リスク管理、内部統制、与信管理、コンプライアンス、審査業務といった名前で書かれています。
書くときのこつは、個人の情報にあたることを一切書かないことです。同意が取れない場面をどう見極めたか、何を根拠に判断したか、反対する相手にどう説明したか、そして判断の記録をどう残したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
佐倉で、どの経験が値になるか
1. 同意なしで決めた経験
相手の同意を前提にできない判断。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 反対する相手に説明した経験
家族が反対しても動かす場面があります。その説明が値になります。
3. 判断の記録を残した経験
あとから問われたときに説明できるか。ここが強く読まれます。
4. 事業者を指導・監査した経験
契約で動く相手の質を保つ。加盟店管理と品質管理の実務そのものです。
県内・県外の求人を見るときに
佐倉市は千葉県の北部にあり、千葉市や都内を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「高齢者福祉を担当」では読み手に何も残りません。同意が取れない場面を、何を根拠に判断したか。
反対された場面を書く
反対は必ずあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象者の数、相談や通報の件数、事業者の数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、建築士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。同意が取れない場面で判断してきた経験があるなら、それは強い材料です。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。措置や許認可に関わったなら、対象者の数、相談や通報の件数、事業者の数、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 佐倉市の一般行政職はラスパイレス指数98.2、平均給与月額454,127円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当は国の指定基準9%に対して実支給10%。基準より高い例は習志野市に続いて2件目で、2件とも千葉県です
- 給料月額・地域手当以外の手当・総額の3つが、そろって35団体で3番目。この連載では珍しい並びです
- 人によって違う部分は86,177円(総額の19.0%)と大きく、同じ市の職員でもここで差が付きます
- 平均年齢44.2歳は35団体で2番目に高い数字。20代・30代は平均より下にいるのが普通です
- 「本人の同意を前提にできない場面で、それでも決める」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(老人福祉法1条・2条)
よくある質問
地域手当が国の基準より高いのは、なぜですか
国が示すのは基準で、実際に何%支給するかは団体が条例で決めます。その判断の理由は、この調査からは分かりません。分かるのは、全国1,721団体のうち88団体で基準と実支給が違い、上にも下にも外れることです。佐倉市は基準9%に対して実支給10%で、月におよそ3,345円多い計算になります。
3つの指標がそろって3番目なら、分かりやすいということですか
団体としては読みやすい数字です。ただし団体の平均は、あなたの実額ではありません。人によって違う部分が86,177円(総額の19.0%)と大きいので、同じ市の職員でも差が付きます。平均年齢も44.2歳と高いので、若い年代は平均より下にいるのが普通です。
諸手当26.3%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当10%ぶんのおよそ33,450円を除いた、86,177円の部分です。総額に占める割合でいうと19.0%。昇給すると地域手当も自動的に増えるので、去年と翌年で額が変わります。複数年ぶんの支払金額を並べて、動き方も確かめてください。