自治体別 / 中核市
下関市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
下関市の平均給料月額338,800円は、中核市62市のなかで4番目に高い数字です。
ところが平均給与月額402,809円は、上位ではありません。
理由は諸手当です。64,009円は、中核市62市のうち下から7番目。総額に占める割合は15.9%です。
下関市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、下関市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 下関市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.1 |
| 平均年齢 | 44.8歳 |
| 平均給料月額 | 338,800円(中核市62市で4番目) |
| 諸手当月額 | 64,009円(中核市62市で下から7番目) |
| 平均給与月額 | 402,809円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 366,566円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
給料月額が高い中核市
| 市 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|
| 郡山市 | 341,400円 | 70,672円 | 412,072円 |
| 福井市 | 339,500円 | 74,052円 | 413,552円 |
| 長野市 | 339,300円 | 73,906円 | 413,206円 |
| 下関市 | 338,800円 | 64,009円 | 402,809円 |
| 倉敷市 | 336,800円 | 83,071円 | 419,871円 |
上位5市のなかで、下関市の諸手当がいちばん薄い。
給料月額では郡山市と2,600円しか違わないのに、総額では9,263円下回ります。そして給料月額が2,000円低い倉敷市には、総額で17,062円下回ります。
同じ年齢の3市を並べる
平均年齢44.8歳の中核市は、長野市・明石市・下関市の3市です。
| 市 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 地域手当 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 長野市 | 44.8歳 | 339,300円 | 73,906円 | 3% | 413,206円 |
| 明石市 | 44.8歳 | 332,900円 | 84,076円 | 6% | 416,976円 |
| 下関市 | 44.8歳 | 338,800円 | 64,009円 | 0% | 402,809円 |
年齢が完全に一致した3市です。給料月額では下関市が長野市に次ぐ2番目。それでも総額では最下位になります。
差は諸手当です。明石市とは20,067円、長野市とは9,897円の開きがあります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は山口県職員の転職に、年齢が一致する市は長野市職員の転職と明石市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 港湾・水産関係の調整 | 事業開発、渉外、調達 |
| 水産物の取扱いと衛生管理 | 品質保証、規制対応 |
| 海峡を挟んだ広域の連携 | アライアンス、渉外 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「混んでいる場所だけ、別のルールにする」実務
下関市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
海上交通安全法第1条は、この法律が、船舶交通がふくそうする海域における船舶交通について、特別の交通方法を定めるとともに、その危険を防止するための規制を行なうことにより、船舶交通の安全を図ることを目的とすると定めています。そして同条第2項で、適用する海域を具体的に区切っています。
注目してほしいのは「ふくそうする海域」だけを取り出していることです。
海のどこでも同じルール、ではありません。混んでいる場所に限って、特別の交通方法を定める。しかもどこからどこまでが対象かを、条文と政令で細かく区切っています。
つまり、この法律の設計はこうです。
- 全体に厳しいルールをかけると、動きが止まる
- 危ないのは、混んでいる場所と時間帯だけ
- だからそこだけを切り出して、別の規律を当てる
- 切り出すには、境界をはっきり決めなければならない
- そして境界のすぐ外側では、ルールが変わります
「全体ではなく、危ない場所だけを特定して、そこだけ変える」という考え方です。
企業でも、この設計がそのまま必要とされています。
承認のルール、点検の頻度、監査の対象、在庫の管理水準。全部に同じ基準をかければ、現場は回りません。かといって緩めれば、事故が起きます。
そして多くの企業で、基準が一律のままです。管理部門は例外を作りたがらず、現場は全部に同じ手間をかけることになる。ところが「どこが本当に危ないのか」を特定して、そこだけ厳しくした人がいません。だから重要でない場所にも同じ手間がかかり、重要な場所には手が回らなくなります。
求人票では、内部統制、業務設計、品質保証、リスク管理、購買といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度や海域の名前を出さないことです。どこが危ないと判断したか、その根拠は何か、境界をどこに引いたか、そして境界の外側をどう扱ったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
下関で、どの経験が値になるか
1. 一律のルールを、場所ごとに切り分けた経験
全部に同じ基準をかけない。どこを厳しくし、どこを緩めるかを決めた経験は、企業の内部統制でそのまま必要とされます。
2. 境界を決めた経験
切り分けるには、線を引く必要があります。線の根拠を説明できる人は多くありません。
3. 県境や海峡をまたぐ連携の実務
指揮命令の関係がない相手と、同じ枠組みで動く。この調整は、企業のアライアンスと同じ構造です。
4. 水産物の取扱いと衛生の実務
扱う量、温度、時間、記録。傷みやすいものを大量に動かす現場を知っていることは、食品の品質部門で直接効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
下関市は北九州市に隣接し、福岡県内の求人が現実的な通勤圏に入ります。山口県西部を担当エリアとする求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。県境をまたぐ求人は、県名で絞ると視界から外れます。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○の許認可を担当」では読み手に何も残りません。どこが危ないと判断し、境界をどこに引いたか。
境界の外側の扱いを書く
線を引けば、すぐ外側に「ぎりぎり対象外」が生まれます。そこをどう扱ったかを書くと、設計したことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域や事業所の数、処理した件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
潮流の速い海域での工事は、扱える人が限られる
作業できる時間帯、船の手配、仮設の固定、天候の判断。海の条件に工程が支配されるという現場は、経験者が多くありません。海洋土木を扱う企業から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。港湾や水産に関わったなら、取扱量、事業者の数、処理した件数、事業費で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 下関市の一般行政職はラスパイレス指数98.1、平均給与月額402,809円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 給料月額338,800円は中核市62市で4番目に高い数字です
- ところが諸手当64,009円は下から7番目。総額は上位に入りません
- 平均年齢が完全に一致する3市(長野市・明石市・下関市)でも、給料月額2番目・総額最下位になります
- 諸手当は総額の15.9%。去年の数字が翌年もほぼそのままで、求人票と並べて比べられます
- 「どこが本当に危ないのか」を特定してそこだけ厳しくした経験は、企業で空いています(海上交通安全法1条)
よくある質問
給料月額が中核市で4番目に高いのに、総額が上位でないのはなぜですか
諸手当です。下関市64,009円は中核市62市で下から7番目、総額の15.9%にとどまります。給料月額が2,600円低い郡山市には総額で9,263円、2,000円低い倉敷市には17,062円下回ります。給料表の上で高い位置にいても、総額が上位になるとは限りません。
諸手当が薄いことは、不利になりますか
比較の基準としては、むしろ使いやすいほうです。下関市の諸手当は総額の15.9%。去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのままなので、求人票の想定年収とそのまま並べて比べられます。諸手当が総額の4分の1を超える団体では、1年ぶんだけ見ても高い年か低い年かが分かりません。
県境をまたぐ地域にいることは、転職で不利ですか
探し方を変えるだけで、条件になります。下関市は北九州市に隣接していて、福岡県内の求人が通勤圏に入ります。ところが県名で絞って検索すると、その求人は視界から外れます。職種で絞ってから勤務形態と担当エリアを見る順序に変えてください。