自治体別 / 中核市
長野市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
長野市の平均年齢は44.8歳。中核市62市のなかでは、呉市45.7歳に次ぐ高さです(明石市と並びます)。
同じ長野県内の松本市は42.8歳。地域手当はどちらも3%で同率です。
条件が揃っているのに、総額は21,932円離れます。前回まで見てきた3市組とは、逆の形になりました。
長野市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、長野市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 長野市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.1 |
| 平均年齢 | 44.8歳(中核市62市で2番目に高い) |
| 平均給料月額 | 339,300円 |
| 諸手当月額 | 73,906円 |
| 平均給与月額 | 413,206円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 387,941円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
松本市と並べる
| 項目 | 長野市 | 松本市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.1 | 99.4 | 0.7ポイント |
| 平均年齢 | 44.8歳 | 42.8歳 | 2.0歳 |
| 平均給料月額 | 339,300円 | 321,600円 | 17,700円 |
| 諸手当月額 | 73,906円 | 69,674円 | 4,232円 |
| 平均給与月額 | 413,206円 | 391,274円 | 21,932円 |
| 地域手当 | 3% | 3% | 同率 |
地域手当が同率なので、残る変数は年齢と諸手当だけです。
ここまで見てきた組み合わせでは、年齢が高い側は給料月額で上回り、そのぶん諸手当で押し返されていました。北陸3市がその典型で、給料月額18,400円の差が諸手当14,664円で相殺され、総額の差は3,736円まで縮みました。
長野市と松本市は、そうなりません。
年齢が高い長野市が給料月額で17,700円上回り、諸手当でもさらに4,232円上回ります。2つが同じ方向に効いて、総額の差は21,932円まで開きます。
相殺する場合と、重なる場合がある
| 組み合わせ | 給料月額の差 | 諸手当の差 | 総額の差 |
|---|---|---|---|
| 福井市 − 金沢市 | +18,400円 | −14,664円 | 3,736円 |
| 長野市 − 松本市 | +17,700円 | +4,232円 | 21,932円 |
給料月額の差はほぼ同じ(18,400円と17,700円)です。違うのは諸手当の向きだけ。それだけで、総額の差が6倍近く変わります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は長野県職員の転職に、同じ県内の中核市は松本市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 健診・保健指導の設計と運用 | 健康経営、人事企画、CS企画 |
| 生活習慣の改善に向けた働きかけ | 行動変容設計、事業企画 |
| 医療費・介護費の分析 | データ分析、事業企画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「本人がやらなければ変わらない」ものを動かす実務
長野市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
健康増進法第1条は、この法律が、我が国における急速な高齢化の進展及び疾病構造の変化に伴い、国民の健康の増進の重要性が著しく増大していることにかんがみ、国民の健康の増進の総合的な推進に関し基本的な事項を定めるとともに、国民の栄養の改善その他の国民の健康の増進を図るための措置を講ずるものだとしています。
この分野には、他の行政の仕事と決定的に違う点があります。
行政が何をしても、本人が動かなければ結果が出ません。
道路は作れば通れます。許可は出せば効きます。ところが健康は、本人の生活が変わらないかぎり数字が動きません。
実務は、次のような形になります。
- 受けてほしい人ほど、健診に来ない
- 来ない理由は、知らないからではないことが多い
- 案内を増やしても、受診率はある水準で頭打ちになる
- そこから先は、案内の中身ではなく届け方を変えるしかない
- 変えたかどうかは、数年たたないと数字に出ない
「知らせた」ことと「変わった」ことは別だ、という前提で設計する仕事です。
企業でも、この構造がそのまま存在します。
研修を実施する、制度を周知する、マニュアルを配る、システムを導入する。やった記録は残ります。ところが現場の行動が変わっていなければ、何も起きていません。
そして多くの企業で、ここを見ている人がいません。人事は実施率を報告し、事業部門は日々の業務を回す。「実施したかどうか」ではなく「行動が変わったかどうか」を測って、変わっていなければ届け方を作り直す役割が、誰にも割り当てられていない。だから毎年、同じ研修を同じやり方で繰り返すことになります。
求人票では、健康経営、人事企画、組織開発、事業企画、CS企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業の名前を出さないことです。何をもって「変わった」と測ったか、届かなかった層をどう特定したか、届け方をどう変えたか、そして変えたあと数字がどう動いたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
長野で、どの経験が値になるか
1. 「実施した」と「変わった」を分けて測った経験
実施率ではなく、行動の変化で見る。この区別ができる人は、企業の人事にも事業部門にもほとんどいません。
2. 届かない層を特定した経験
来ない人、読まない人、使わない人。誰に届いていないかを特定した経験は、そのまま顧客分析の技術です。
3. 数年単位で結果を追った経験
すぐには出ない数字を、追い続ける。短期の指標しか見ない組織で、これができる人は貴重です。
4. 医療費や介護費を分析した経験
支出の構造を分解して、どこに手を打つかを決めた経験は、企業の経費管理と同じ構造です。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
長野市は北陸新幹線で首都圏とつながっており、長野県内や北信地域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○健康づくり計画を担当」では読み手に何も残りません。何をもって変わったと測り、届かない層をどう特定し、届け方をどう変えたか。
動かなかった数字を書く
やっても変わらなかったものが、必ずあります。そこを書くと、測っていたことが伝わります。やった話だけを並べると、実施の記録にしか読めません。
規模を必ず書く
市の人口、対象者数、受診者数、実施した回数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、保健師、管理栄養士、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
寒冷地・積雪地の設備設計は、扱える人が限られる
凍結、融雪、荷重、排水。冬を前提に設計と点検を組んだ経験は、同じ条件の地域を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。保健や医療の事業に関わったなら、対象者数、受診率、変化した割合、費用と効果の関係で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 長野市の一般行政職はラスパイレス指数100.1、平均給与月額413,206円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均年齢44.8歳は、中核市62市で呉市に次ぐ2番目の高さです(明石市と並びます)
- 松本市とは地域手当が同率3%。残る変数は年齢と諸手当だけです
- 給料月額で17,700円上回り、諸手当でもさらに4,232円上回る。同じ方向に効いて総額は21,932円差
- 北陸3市では諸手当が相殺して3,736円差でした。向きが変わるだけで、差は6倍近く動きます
- 「実施した」と「変わった」を分けて測った経験は、いま企業でいちばん足りていません(健康増進法1条)
よくある質問
同じ県内で地域手当も同率なのに、松本市と2万円以上違うのはなぜですか
年齢と諸手当が同じ方向に効いているからです。長野市は平均年齢が2.0歳高く給料月額で17,700円上回り、さらに諸手当でも4,232円上回ります。北陸3市では、年齢が高い福井市が給料月額で18,400円上回る一方、諸手当で14,664円押し返されて総額の差は3,736円でした。給料月額の差はほぼ同じでも、諸手当が相殺するか重なるかで総額の差は6倍近く変わります。
平均年齢が高い組織にいると、転職で不利になりますか
年齢そのものより、何を書けるかで決まります。年齢が上がっているということは、前任から引き継ぎ、次に渡した経験があるということです。これは若い人には書けません。数字の面では、諸手当が総額の17.9%と薄いので、去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのままという読み方がしやすく、求人票の想定年収と比べやすい水準です。
健康づくりの仕事は、民間と関係がないように思えます
いちばん関係があるのは「実施した」と「変わった」を分けて測る力です。企業でも研修、制度の周知、システムの導入は、やった記録だけが残って現場の行動が変わっていません。行動が変わったかを測って届け方を作り直す役割が空いています。何をもって変わったと測ったか、届かない層をどう特定したか、届け方をどう変えたかを書いてください。