自治体別 / 市
豊川市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
豊川市と安城市は、どちらも愛知県で、同じ類似団体類型区分。地域手当の実際の支給割合も、どちらも6%です。
ところが平均給料月額は330,200円と305,600円で、24,600円も違います。
それでも平均給与月額の差は1,565円しかありません。この回で、その仕組みを開きます。
豊川市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、豊川市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 豊川市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.8(同じ類型の72団体で2番目に高い) |
| 平均年齢 | 41.5歳 |
| 平均給料月額 | 330,200円(72団体で9番目) |
| 諸手当月額 | 94,371円 |
| 平均給与月額 | 424,571円(72団体で6番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 379,443円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% |
諸手当は総額の22.2%を占めます。
安城市と並べる
| 項目 | 豊川市 | 安城市 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.8 | 98.9 |
| 平均年齢 | 41.5歳 | 40.2歳 |
| 平均給料月額 | 330,200円 | 305,600円 |
| 地域手当(実支給) | 6% | 6% |
| 諸手当月額 | 94,371円 | 117,406円 |
| 地域手当以外(概算) | 74,559円 | 99,070円 |
| 平均給与月額 | 424,571円 | 423,006円 |
給料月額では豊川市が24,600円上回ります。ところが諸手当では安城市が23,035円上回ります。
結果として、総額の差は1,565円です。
1,565円の中身を分解する
| 内訳 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 給料月額の差 | 24,600円 | 豊川市が多い |
| 地域手当の差(概算) | 1,476円 | 豊川市が多い |
| 地域手当以外の手当の差(概算) | 24,511円 | 安城市が多い |
| 差し引き | 1,565円 | 豊川市が多い |
豊川市が26,076円多く取り、安城市が24,511円取り返して、残ったのが1,565円。
給料月額の差24,600円が、地域手当以外の差24,511円でほぼそのまま打ち消されています。
県内の数字は愛知県職員の転職に、同じ類型の市は安城市職員の転職と鈴鹿市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
豊川市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 駐車場の整備、附置義務の指導 | 施設運営、用地開発、規制対応 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 観光の誘客と受入環境の整備 | 販促企画、店舗開発 |
| 公共施設の再編、統廃合の調整 | 拠点再編、固定費削減 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「止める場所を作って、流れを良くする」実務
豊川市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
駐車場法第1条は、この法律が、都市における自動車の駐車のための施設の整備に関し必要な事項を定めることにより、道路交通の円滑化を図り、公衆の利便に資するとともに、都市の機能の維持及び増進に寄与することを目的とすると定めています。
注目してほしいのは、手段と目的の関係です。
手段は「駐車のための施設の整備」。目的は「道路交通の円滑化」。
止める場所を作ることで、流れを良くする、と書かれています。
道路を広げるとは書いていません。
理由ははっきりしています。行き場のない車は、道路の上で止まります。止まった車が1台あるだけで、その車線は使えなくなる。流れが悪い原因が、道路の幅ではなく、道路の外にないことのほうにある場合がある。
だから、道路ではないところに手を打ちます。
実務は、次のような形になります。
- 流れが悪い場所を調べる
- 原因が、その場所にあるとは限らない
- どこに、どれだけ止められる場所を用意するかを決める
- 建物を建てる側に、駐車場の設置を求める
- 作ったあと、実際に流れが変わったかを測る
「詰まっている場所の外に、手を打つ」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
工程の遅れ、問い合わせの滞留、承認の待ち行列、在庫の欠品。どれも、詰まっている場所が目につきます。
そして多くの企業で、こうなります。詰まっている場所に人を足すか、その工程を速くしようとします。ところが原因が上流の入り方や、下流の受け取り方にあると、そこを速くしても列は消えません。
「置き場を作る」「順番を変える」「上流で絞る」といった、詰まっている場所の外への手は、発想として出てきません。
求人票では、オペレーション改善、生産管理、業務設計、施設運営、需給計画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、場所の名前を書かないことです。詰まりの原因をどう調べたか、どこに手を打つと決めたか、その理由をどう説明したか、そして打ったあと実際に変わったかをどう測ったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
豊川で、どの経験が値になるか
1. 詰まりの原因を、別の場所に見つけた経験
目につく場所に手を打たなかった経験は、企業でほとんど誰も持っていません。
2. 打った手の効果を測った経験
作って終わりにしない。測った経験が値になります。
3. 建てる側に条件を課した経験
自分では作らず、作る人に求める。規制対応の実務と同じ構造です。
4. 観光や催しの人の流れを設計した経験
同じ時間に集まる人を、どう散らすか。需給計画でそのまま使われます。
県内・県外の求人を見るときに
豊川市は愛知県の東三河地域にあり、豊橋市や名古屋圏を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「駐車場の整備を担当」では読み手に何も残りません。詰まりの原因をどう調べ、どこに手を打つと決めたか。
効果が出なかった場面を書く
打った手が外れることはあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域や台数、整備した施設の数、通行量の変化。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、建築士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
交通量を測って設計できる技術者は、限られる
流入、滞留、ピーク、動線。実測をもとに設計した経験は、施設を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。整備や許認可に関わったなら、対象となる台数、整備した施設の数、通行量や滞留の変化、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 豊川市の一般行政職はラスパイレス指数101.8、平均給与月額424,571円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数は同じ類型の72団体で2番目に高い数字です
- 同じ愛知県・同じ類型・地域手当も同率6%の安城市とは、給料月額が24,600円違います
- ところが地域手当以外の手当の差24,511円がそれをほぼ打ち消し、総額の差は1,565円です
- 総額はほぼ同じでも中身は逆で、豊川市は給料月額が高く給料表の外側が薄い(総額の17.6%)
- 「詰まっている場所の外に、手を打つ」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(駐車場法1条)
よくある質問
給料月額が24,600円違うのに、総額が1,565円差なのはなぜですか
打ち消し合っています。給料月額では豊川市が24,600円上回り、地域手当以外の手当では安城市が24,511円上回ります。その差は89円。地域手当の割合が同じなので、総額の差は1,565円まで縮みます。なぜそうなるのかは、この統計だけでは分かりません。
総額が同じなら、どちらでも同じですか
中身が違います。豊川市は給料月額が高く、給料表の外側が薄い(総額の17.6%)。安城市はその逆です。給料表に乗る部分は年齢と経験年数でほぼ決まり、外側は人ごとに違います。豊川市は団体の平均と自分の額が近くなりやすく、求人票と比べやすい側です。
諸手当22.2%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当6%ぶんのおよそ19,812円を除いた、74,559円の部分です。総額に占める割合でいうと17.6%。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに違います。まず複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べてください。