自治体別 / 施行時特例市
つくば市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
つくば市の地域手当は16%。施行時特例市23市のなかで、厚木市と並んで最も高い水準です。
そして諸手当116,403円は、総額424,103円の27.4%。4分の1を超えます。
この構成が、比較のしかたを決めます。
つくば市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、つくば市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | つくば市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.1 |
| 平均年齢 | 42.8歳 |
| 平均給料月額 | 307,700円 |
| 諸手当月額 | 116,403円(総額の27.4%) |
| 平均給与月額 | 424,103円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 387,597円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 16% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 16% |
諸手当から地域手当を引いてみる
給料月額307,700円の16%は、およそ49,232円。これが諸手当116,403円に含まれています。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 諸手当月額 | 116,403円 |
| うち地域手当(概算) | 約49,232円 |
| 地域手当以外 | 約67,171円 |
諸手当の4割強が、地域手当です。残りの約67,171円が、時間外・住居・扶養・管理職手当などにあたります。
施行時特例市23市のなかでの位置
| 項目 | つくば市 | 23市の最高 | 23市の最低 |
|---|---|---|---|
| 平均給与月額 | 424,103円 | 厚木市 467,495円 | 長岡市 377,007円 |
| 地域手当 | 16% | 厚木市・つくば市 16% | — |
総額424,103円は、23市のなかでは上位です。そしてその位置は、地域手当16%によるところが大きい。
給料月額307,700円は、決して高い数字ではありません。中核市62市の平均的な水準より下にあります。
県内の数字は茨城県職員の転職に整理しています。中核市の分布は旭川市職員の転職を参照してください。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。つくば市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 研究機関・大学との連携 | 産学連携、オープンイノベーション |
| 実証実験の受入と調整 | 事業開発、PMO、渉外 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「街を、目的から逆算して作った」実務
つくば市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
筑波研究学園都市建設法第1条は、この法律が、筑波研究学園都市の建設に関する総合的な計画を策定し、その実施を推進することにより、試験研究及び教育を行なうのにふさわしい研究学園都市を建設するとともに、これを均衡のとれた田園都市として整備し、あわせて首都圏の既成市街地における人口の過度集中の緩和に寄与することを目的とすると定めています。
街の名前が、法律の題名に入っています。
そして目的が3つ書かれています。研究と教育にふさわしい都市を作ること。均衡のとれた田園都市にすること。そして首都圏の集中を緩和すること。
つまり、先に目的があって、そこから街を設計しました。
この成り立ちは、実務に独特の条件を作ります。
- 計画があって人が来た。順序が逆の都市とは違う
- 想定した用途と、実際の使われ方がずれてくる
- 作られてから半世紀が経ち、施設が一斉に更新期を迎える
- 研究機関は市の組織ではないので、命令できない
- そして、当初の目的自体が古くなることがあります
「何のために作られたか」を知っている人が、更新の判断をしなければなりません。
企業でも、同じ構造があります。
創業時の理念で作られた制度、特定の事業のために建てた拠点、ある目的のために導入したシステム。作られた理由を知る人がいなくなると、「なぜこうなっているのか」が分からないまま運用が続きます。
そして多くの企業で、ここを引き受ける人がいません。現場は今のやり方で回します。経営は新しい方針を出します。ところが「当初の目的は何で、それはまだ有効か」を確かめる役割が、誰にも割り当てられていません。だから、目的が古くなった仕組みが、形だけ残り続けます。
求人票では、経営企画、事業企画、業務改革、PMO、産学連携といった名前で書かれています。
書くときのこつは、施設や計画の名前を出さないことです。当初の目的は何だったか、いまの実態とどこがずれていたか、目的のほうを見直したのか運用を変えたのか、そして見直せなかった部分はどこか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
つくばで、どの経験が値になるか
1. 当初の目的と現状のずれを扱った経験
「なぜこうなっているのか」を調べ直して判断した経験は、企業の経営企画でそのまま必要とされます。
2. 命令できない相手と組んだ経験
研究機関、大学、国の施設。指揮命令の関係がない相手をまとめた経験は、アライアンスに直結します。
3. 実証実験を受け入れた経験
まだ制度が追いついていないものを、現実の場所で動かす。この調整は、経験者が多くありません。
4. 一斉に更新期を迎える施設を扱った経験
一度に作ったものは、一度に古くなります。平準化の設計は、企業の設備投資計画で直接効きます。
5. 開発許可と建築確認の実務
発注者側・審査側の経験は、そのまま職種になります。
県内・県外の求人を見るときに
つくば市は東京への通勤圏にあり、都内の求人が現実的な選択肢に入ります。茨城県内や県南を担当エリアとする求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○計画を担当」では読み手に何も残りません。当初の目的と現状がどこでずれていて、何を変えたか。
見直せなかった部分を書く
全部は見直せません。どこが残り、なぜ残ったかを書けると、構造を見ていたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域や施設の数、処理した件数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
審査する側の経験は、そのまま職種になる
開発許可、建築確認、完了検査。出す側ではなく見る側にいた経験は、設計事務所とデベロッパーの双方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。許認可や事業に関わったなら、処理した件数、処理にかかった期間、対象の規模、事業費で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- つくば市の一般行政職はラスパイレス指数98.1、平均給与月額424,103円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当16%は、施行時特例市23市のなかで厚木市と並んで最も高い水準です
- 諸手当116,403円のうち、およそ49,232円が地域手当。残りの約67,171円が他の手当です
- 諸手当は総額の27.4%で4分の1超。年によって動くので、3年ぶん並べてから比べてください
- 施行時特例市は、中核市と違って保健所を設置しません。開発許可や建築確認が中心の事務です
- 当初の目的に戻って確かめる役割は、企業でいちばん引き受け手がいません(筑波研究学園都市建設法1条)
よくある質問
施行時特例市とは、どういう市ですか
特例市の制度は2015年(平成27年)4月1日に廃止され、そのときに特例市だった市が「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。中核市との最大の違いは、保健所を設置しないことです。処理している事務は、都市計画法の開発許可、建築基準法の特定行政庁としての事務、騒音・振動・悪臭の規制、屋外広告物の規制など。「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
総額が23市で上位なのは、給料表が高いからですか
違います。給料月額307,700円は高い数字ではありません。効いているのは地域手当16%(およそ49,232円)です。諸手当116,403円のうち4割強が地域手当で、残りの約67,171円が他の手当にあたります。総額の高さがどこから来ているのかを、分けて見てください。
諸手当が総額の4分の1を超えていると、どう考えればいいですか
年による振れ幅が大きい、ということです。地域手当は割合が決まっていますが、時間外、住居、扶養、管理職手当は担当業務と家族構成と役職で変わります。1年ぶんだけを見ると、高い年を基準にして「下がる」と判断してしまうことがあります。複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べて、自分の実額の幅を確かめてください。