財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

制度とお金 / 退職手当

会計年度任用職員の退職手当

会計年度任用職員として働いている方から、「自分にも退職手当はあるのか」という相談を受けることがあります。答えは、「フルタイムかパートタイムかで違う」です。

会計年度任用職員は、法律上、2つの種類に分かれています。そして、退職手当を含む「手当」を条例で支給できるのは、そのうち一方だけです。ここを知らないまま「非常勤だから退職手当はない」と決めている方も、「会計年度任用職員も職員だから退職手当がある」と思っている方もいます。どちらも、半分だけ正しい。

この記事では、会計年度任用職員の2つの種類と、退職手当の扱いの違いを、地方公務員法と地方自治法の条文で整理します。仕組みの全体は退職手当の仕組み|何で金額が決まるのかで扱っています。

会計年度任用職員は2種類ある——第1号と第2号

地方公務員法第22条の2第1項は、会計年度任用職員を2つに分けて定義しています。

> 一 一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職(中略)を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるもの> 二 会計年度任用の職を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間と同一の時間であるもの

区分1週間の勤務時間通称
第1号常勤の職員より短いパートタイムの会計年度任用職員
第2号常勤の職員と同一フルタイムの会計年度任用職員

自分がどちらに当たるかは、任用の辞令か、1週間の勤務時間で分かります。常勤の職員と同じ時間なら第2号、それより短ければ第1号です。1日でも、1週間で数時間でも短ければ、第1号です。

退職手当を条例で支給できるのは、第2号(フルタイム)だけ

ここが、この記事の中心です。地方自治法は、第1号と第2号で、支給できる給付を分けています。

第2号(フルタイム)——第204条

第204条第1項は、普通地方公共団体が給料と旅費を支給しなければならない者を列挙し、その中に「地方公務員法第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員」を含めています。そして第2項が、その者に対して条例で支給できる手当を列挙し、その中に「退職手当」が含まれています。

つまり、フルタイムの会計年度任用職員は、常勤の職員と同じ「給料」の体系に入り、条例で定めれば退職手当を支給できます。

第1号(パートタイム)——第203条の2

第203条の2第1項は、普通地方公共団体の非常勤の職員に「報酬」を支給すると定め、その非常勤の職員から「短時間勤務職員及び地方公務員法第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員」を除いています。第1号の職員は、ここに残ります。そして第4項は、第1号の職員に対して条例で支給できるものを「期末手当又は勤勉手当」と定めています。

つまり、パートタイムの会計年度任用職員は「報酬」の体系で、条例で支給できる手当は期末手当と勤勉手当まで。退職手当は、この条に書かれていません。

区分給付の体系条例で支給できる手当退職手当
第2号(フルタイム)給料・旅費(第204条)退職手当を含む各種の手当条例で定めれば支給できる
第1号(パートタイム)報酬・費用弁償(第203条の2)期末手当・勤勉手当対象外

なお、第204条の2は、法律または条例に基づかない給付を禁じています。フルタイムであっても、自治体の条例が退職手当の対象として定めていなければ、支給されません。「支給できる」であって「支給しなければならない」ではない、という点も押さえてください。

フルタイムの場合の要件——条例で「在職期間」の要件があるのが一般的

フルタイムの会計年度任用職員が退職手当の対象になる場合、条例で在職期間などの要件を置いているのが一般的です。国家公務員退職手当法第2条第2項は、職員以外の者で勤務の形態が職員に準ずるものを政令で職員とみなすと定めており、自治体の条例もこれに準じて、「引き続き一定期間以上勤務した者」といった要件を置くことが多くあります。

要件の中身——何か月以上か、任期の更新をまたいで「引き続き」と数えるか、1日の勤務時間の要件があるか——は条例ごとに違います。自分の自治体の退職手当条例の適用範囲の条と、会計年度任用職員に関する条例を、両方読んでください。分からなければ、人事の担当課に「フルタイムの会計年度任用職員は退職手当の対象か、要件は何か」を制度の照会として聞いてください。

支給される場合の計算——常勤の職員と同じ骨

対象になる場合、計算の骨は常勤の職員と同じです。退職日の給料月額に、勤続期間の区分ごとの割合を乗じた額の合計が基本額で、自己都合の場合は乗率がかかります。勤続期間は、任用の初日の属する月から退職の日の属する月までの月数で数え、任期の更新を「引き続き」と扱うかどうかは条例によります。

ただし、会計年度任用職員は任期が1会計年度以内で、更新を重ねて勤続する形なので、勤続期間の数え方が常勤の職員と同じかどうかは、条例で確認する必要があります。更新の間に空白があれば、引き続きにならないことがあります。

転職するとどうなるか

会計年度任用職員から民間に転職する方にとって、効いてくる点は3つです。

1. 自分が第1号か第2号かを確かめる

1週間の勤務時間が常勤と同じなら第2号(フルタイム)です。辞令か勤務の条件の通知で確かめてください。

2. 第2号なら、条例の対象と要件を確かめる

条例が対象としているか、在職期間の要件を満たしているか。この2つで、支給の有無が決まります。

3. 任期の更新の空白を確かめる

更新の間に空白があると、勤続が引き続きにならないことがあります。任用の履歴を月単位で書き出してください。

なお、会計年度任用職員も地方公務員なので、雇用保険の扱いは常勤の職員と異なる場合があります。パートタイムの会計年度任用職員は雇用保険の被保険者になることがあり、フルタイムは退職手当の対象になる場合に雇用保険の適用が除外される形が一般的です。ここは任用の形態と自治体の扱いで違うので、人事の担当課に確認してください。制度の背景は公務員に雇用保険がない理由に書いています。

手続きと期限

フルタイムの会計年度任用職員で退職手当の対象になる場合、請求の手続きは常勤の職員と同じです。退職の辞令、請求の書類、「退職所得の受給に関する申告書」の提出。任期の満了による退職と、任期の途中の自己都合の退職とで、退職の理由の区分が変わることがあるので、条例の区分を確かめてください。

対象かどうか分からない段階で確認できることは、次の2つです。

誤解されやすい点

「会計年度任用職員は全員、退職手当がない」と思い込む

フルタイム(第2号)は、条例で定めれば対象です(地方自治法第204条)。

「会計年度任用職員は全員、退職手当がある」と思い込む

パートタイム(第1号)は、条例で支給できる手当が期末手当と勤勉手当までです(第203条の2第4項)。退職手当は書かれていません。

「フルタイムなら必ず出る」と思い込む

条例が対象として定め、在職期間などの要件を満たす必要があります。「支給できる」であって「しなければならない」ではありません。

「任期の更新をまたいでも、必ず勤続が続く」と思い込む

更新の間に空白があると、引き続きにならないことがあります。条例の勤続期間の数え方を確かめてください。

財政・会計の経験が効く求人を見てみる

まとめ

よくある質問

週30時間で働いています。退職手当の対象になりますか

常勤の職員の1週間の勤務時間より短ければ、第1号(パートタイム)です。地方公務員法第22条の2第1項第1号は、1週間の通常の勤務時間が常勤の職員より短いものを第1号と定めています。第1号の職員に条例で支給できる手当は、地方自治法第203条の2第4項で期末手当と勤勉手当とされており、退職手当は対象外です。常勤の職員の勤務時間と同一なら第2号(フルタイム)で、条例で定めれば退職手当の対象になります。自分の自治体の常勤の職員の1週間の勤務時間と、自分の勤務時間を、辞令で比べてください。

フルタイムで5年働きました。退職手当はいくらになりますか

まず、自治体の条例がフルタイムの会計年度任用職員を退職手当の対象としているか、在職期間の要件を満たしているかを確かめてください。対象であれば、計算の骨は常勤の職員と同じで、退職日の給料月額に勤続期間の区分ごとの割合を乗じた額の合計に、自己都合の場合は乗率がかかります。ただし、任期の更新をまたいだ勤続の数え方と、更新の間の空白の扱いは条例によります。額そのものは、条例の別表と自分の給料月額で決まるので、ここでは書けません。人事の担当課に、制度の照会として「対象か、要件は何か、勤続はどう数えるか」を聞いてください。条例の読み方は退職手当条例の読み方に整理しています。

会計年度任用職員から民間に転職するとき、経歴はどう書けばよいですか

任用の名前ではなく、担当した業務の中身で書いてください。「会計年度任用職員」という言葉は、民間の読む側には伝わりません。どの部署で、何を、どのくらいの量で担当したか。窓口なら年間の件数、事務なら処理した書類の種類と量、相談なら件数と種別。常勤と同じ仕事を任期つきで回してきたことは、民間でいえば契約社員として実務を担った経歴で、業務の中身で読まれます。任期の更新を重ねてきたことは、同じ職場で続けて任用されてきたという形で書けます。部署ごとの言い換えは、部署別の記事で扱っています。財政課なら財政課の経験は民間で何と呼ばれるかから入ってください。

出典

  1. 地方公務員法 第22条の2(会計年度任用職員の採用の方法等)|e-Gov法令検索
  2. 地方自治法 第203条の2(非常勤の職員の報酬等)/第204条(給与その他の給付)/第204条の2|e-Gov法令検索
  3. 国家公務員退職手当法 第2条(適用範囲)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。