選考対策 / 面接
目標未達の経験を聞かれたとき
営業や事業に関わる職種の面接で、よく出る質問です。
「目標を達成できなかった経験と、そのときの対応を教えてください」
公務員の方がここで詰まるのは、「目標」という言葉を売上の目標だと受け取るからです。
売上の目標は、確かに持ったことがありません。ただし、目標そのものは経験しています。
この記事では、材料の出し方と答えの組み立てを扱います。失敗した仕事の扱い方はうまくいかなかった仕事を書くべきかにあります。
役所にも、評価と措置の循環があります
前提を、条文で確認しておきます。
地方公務員法第23条の2第1項は、任命権者に定期的な人事評価を義務づけています。そして第23条の3です。
> 任命権者は、前条第一項の人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない。
評価の結果に応じて、措置を講じる。つまり、目標を立て、評価し、その結果を処遇や配置に反映するという循環が、制度として存在します。
「目標管理の経験がない」わけではありません。目標の中身が、売上ではないだけです。
結論:4段で答える
| 段 | 内容 |
|---|---|
| ① 目標 | 何を、どの水準で目標にしていたか(数字で) |
| ② 未達 | 結果がどうだったか(評価語を使わずに) |
| ③ 原因 | 自分の要因と、外部の要因を分けて特定したこと |
| ④ 変えたこと | その後、何を変えたか |
③が、この質問の核心です。
「原因を切り分けられるか」が見られています。全部を自分のせいにする答えも、全部を外部のせいにする答えも、どちらも切り分けができていないと受け取られます。
公務員が持っている目標の材料
| 目標 | 未達が起きる場面 |
|---|---|
| 収納率 | 目標の収納率に届かなかった年度 |
| 事務事業の指標 | 利用の件数、参加の人数が見込みを下回った |
| 計画の進捗 | 予定していた施策が実施できなかった |
| 処理の期間 | 標準の処理期間を超える案件が増えた |
| 予算の執行 | 執行率が低く、不用額が生じた |
| 人事評価の目標 | 年度当初に設定した目標が達成できなかった |
どれか1つは、心当たりがあるはずです。
6つ目は、最も直接的な材料です。人事評価の面談で、自分で目標を設定し、年度末に振り返っているはずです。その内容は、そのまま使えます。
答え方の例
> 事業の利用者数について、年間◯件を目標に設定していました。前年度の実績と、対象となる世帯の数から見込んだ数字です。>> 結果は約◯件で、目標を下回りました。>> 原因を分析したところ、2つありました。1つは、対象者の要件が、類似の事業より狭いことを見込みの算定で考慮していなかったこと。もう1つは、周知の時期が申請の受付の直前になっていたことです。前者は自分の算定の誤りで、後者は年度当初の予算の確定の時期との関係で生じた制約でした。>> 翌年度は、算定の方法を要件ごとの推計に変え、周知については前年度のうちに準備を進める形に変更しました。結果として、見込みと実績の差は約◯割まで縮小しています。
③で、自分の要因と外部の要因を分けています。そのうえで、④では自分が動かせた部分だけを変えています。
この形が、「原因を切り分けられる人」の答え方です。
「未達だが、動かした」話も使える
目標に届かなくても、前年度より改善している場合があります。それは、そのまま話して構いません。
> 収納率の目標は◯%でしたが、結果は◯%で未達でした。ただ、前年度からは◯ポイント上がっています。着手の基準を金額と経過月数で整理し、早期に着手する案件を増やしたことが要因だと分析しています。
未達であることを認めたうえで、動かした部分を出す。この形なら、成果と課題の両方が伝わります。
「達成しました」だけの話より、内容が具体的になることも多いです。
この答えは、1分半程度です。①と②を短く、③と④に時間を使ってください。①の説明が長くなると、肝心の切り分けの話にたどり着く前に終わります。
話し方の注意
| ✕ | ○ |
|---|---|
| 「努力はしたのですが」 | 何をしたかを具体的に |
| 「上司の判断で方針が変わり」 | 他人の判断を原因にしない |
| 「そもそも目標が高すぎて」 | 設定の妥当性は、自分の分析として述べる |
| 「運が悪く」 | 要因を特定する |
| 「今後は気をつけます」 | 何を変えたかを述べる |
3つ目について補足します。目標の設定そのものに無理があった場合、それを原因として述べること自体は問題ありません。ただし、「だから仕方なかった」で終えないでください。
「設定の段階で、根拠となる数字を確認すべきだった」という形にすると、自分の判断の範囲の話になります。
逆に、達成した目標も用意する
この質問の後、「逆に、達成した経験は」と続くことがあります。
セットで用意しておいてください。構成は同じ4段で、②が達成に変わるだけです。
| 段 | 達成した場合 |
|---|---|
| ① 目標 | 何を、どの水準で |
| ② 結果 | 達成した水準 |
| ③ 要因 | なぜ達成できたか(運ではなく、自分が何をしたか) |
| ④ 再現性 | 同じ方法が、他の場面でも使えるか |
④が、達成した話の核心です。「たまたま」ではなく「再現できる」と示せると、入社後の期待につながります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 「目標を持ったことがない」と答える
収納率、指標、進捗、人事評価の目標。目標は経験しています。
2. 「未達はありません」と答える
目標が低かったと受け取られます。
3. 外部の要因だけを挙げる
自分の要因を1つ添えてください。
4. 全部を自分のせいにする
切り分けができていないと受け取られます。
5. 「今後は気をつけます」で締める
何を変えたかを述べてください。
6. 達成した話を用意していない
セットで聞かれることがあります。
まとめ
- 答えは、①目標 ②未達の事実 ③原因の切り分け ④変えたことの4段です
- 地方公務員法第23条の3は、人事評価の結果に応じた措置を講じなければならないとしています。目標と評価の循環は制度として存在します
- 材料は、収納率・事務事業の指標・計画の進捗・処理の期間・執行率・人事評価の目標です
- ③が核心。自分の要因と外部の要因を分けて述べてください
- 外部の要因を1つ述べたら、自分の要因を1つ添える。説明の正確さが強みのまま残ります
- 達成した経験も、セットで用意してください。④は再現できるかです
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よくある質問
数字の目標を持ったことがない部署でした
処理の期間と、量で答えられます。「標準的な処理の期間を◯日以内に保つ」「年間◯件を係◯人で処理する」。これらは、明示されていなくても、実質的な目標です。未達の場面としては、制度の改正で申請が集中し、処理が遅れたといった経験が該当します。答え方は同じ4段で、③で「人員の制約」と「自分が事前に想定できた部分」を分けて述べてください。なお、目標が明示されていなかったこと自体は、正直に述べて構いません。「数値の目標は設定されていませんでしたが、実質的に◯◯を基準にしていました」という形です。
目標が組織のもので、自分の目標ではありませんでした
その場合も、自分の担当部分を切り出してください。「課としての目標は◯◯でしたが、自分が担当していたのは◯◯の部分で、そこでは◯件を目標にしていました」という形です。組織の目標をそのまま自分の目標として話すと、自分の判断の範囲が見えません。加えて、組織の目標に対して、自分が何を提案したかがあれば、それも話してください。目標の設定に関与した経験は、管理の職種では読まれる材料になります。切り出し方はチームで成果を出した経験の話し方にも整理しています。
未達の原因が、明らかに他部署の事情でした
事実として述べて構いませんが、述べ方に注意が要ります。「他部署の対応が遅れたため」と述べると、他人の責任にしていると受け取られます。構造として述べてください。「◯◯の工程が他部署の作業に依存しており、その完了の時期が見込みより遅れたため、全体の期限に間に合いませんでした」。そのうえで、「依存する工程の進捗を、週次で確認する運用に変えました」と、自分が取った対処を添えてください。他部署の事情を、自分が管理できる範囲に変えたという話になります。