選考対策 / 面接
チームで成果を出した経験の話し方
面接で、答えが主語のないまま終わりやすい質問です。
「チームで成果を出した経験を教えてください」
公務員の方の答えは、多くがこの形になります。
「係で◯◯に取り組み、課全体で◯◯を達成しました」
誰が何をしたのかが、読めません。
チームの成果を聞かれていますが、確認されているのは「その中であなたが何をしたか」です。
この記事では、切り出し方を扱います。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。
「自らの判断と責任において」
組織で動いていても、判断はあります。
地方自治法第138条の2の2です。
> 普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。
「自らの判断と責任において」。
組織として事務を執行する場合でも、判断と責任が伴うことが、条文に明記されています。
「係でやったこと」の中に、必ず「自分が判断した部分」があります。それを切り出すのが、この質問の答えです。
結論:3点を明示する
| 点 | 内容 |
|---|---|
| ① 構成 | 何人で、どういう役割分担だったか |
| ② 自分の役割 | その中で、自分が何を担当していたか |
| ③ 自分が動かした範囲 | 自分が判断し、動かした部分(ここが核心) |
③を話すことは、手柄を主張することではありません。判定の材料を渡すことです。
役所では、成果を個人に帰属させない文化があります。その習慣のまま面接に臨むと、材料が渡せません。
4つの役割の型
自分がどの型だったかを先に決めると、話しやすくなります。
| 型 | 内容 | 話すこと |
|---|---|---|
| まとめ役 | 全体の進行と分担を決めた | 分担の設計、期限の管理、遅れへの対処 |
| 実務の中心 | いちばん重い部分を担当した | 担当した範囲、判断した内容、処理の量 |
| 橋渡し | 他部門や外部との調整を担った | 協議の相手、論点、合意の内容 |
| 記録と進行 | 資料と記録を整え、会議を回した | 作成した資料、決めた事項、確認の仕組み |
4つとも、立派な役割です。「まとめ役でないと話せない」ということはありません。
むしろ、「橋渡し」と「記録と進行」は、話す人が少ないぶん印象に残ります。
答え方の例
悪い例
> 係5名で滞納整理に取り組み、収納率を前年度より◯ポイント改善しました。係全体で協力した結果だと考えています。
③がありません。
良い例
> 係5名で滞納整理を担当していました。担当を地区で分けていたのですが、着手の時期が担当者ごとにばらついていて、対応が遅れる案件が出ていました。>> 私は、着手の基準を金額と経過月数で整理する案を作り、係長と協議したうえで係の運用として提案しました。具体的には、◯万円以上かつ◯か月経過の案件を優先する区分です。あわせて、担当者間で引き継ぐときの様式を作りました。>> 運用を変えた年度は、早期に着手する案件が増え、収納率は前年度より◯ポイント上がっています。ただ、要因は複数あるので、運用の変更だけの効果とは考えていません。>> 私が担当したのは、基準の設計と、係内での合意を取る部分です。
最後の1文で、自分の範囲を明示しています。
「効果の全部が自分のもの」と言っていない点も、この答えの信頼性を高めています。
使える材料
| 場面 | 自分の役割として切り出せること |
|---|---|
| 係の事務の見直し | 手順の整理、様式の作成、合意の取りまとめ |
| 全庁の計画の策定 | 担当した章、指標の設計、関係課との協議 |
| システムの更改 | 業務側の要件の整理、例外の洗い出し、手順書の作成 |
| 災害・感染症の対応 | 担った機能、体制の設計、記録の様式 |
| 議会や審議会の対応 | 資料の作成、論点の整理、質問への回答 |
| 新任の育成 | 指導した人数、作った資料、確認の仕組み |
6つとも、「係でやったこと」として語られがちな場面です。
そのうち、自分が設計した部分を1つ選んでください。
「チーム」の単位を、相手に合わせて説明する
役所の「係」「課」「部」は、外の読み手には規模が伝わりません。人数を添えてください。
| 役所の単位 | 説明の仕方 |
|---|---|
| 係 | 「係◯人のチーム」 |
| 課 | 「◯係、計◯人の部署」 |
| 全庁の会議体 | 「◯課、計◯人が参加する横断の体制」 |
| 委員会・審議会 | 「外部の委員◯人を含む会議体」 |
4つ目は、民間では経験しにくい単位です。外部の専門家や住民の代表が入る会議を、事務局として回した経験は、そのまま話す価値があります。
加えて、指揮命令の関係があるかどうかも添えてください。「係の中(上下の関係あり)」と「他課との協議(指揮命令の関係なし)」では、求められる進め方が違います。後者のほうが、民間の部門横断の仕事に近い構造です。
話すときの注意
| ✕ | ○ |
|---|---|
| 「係全体で取り組みました」だけ | 構成 → 自分の役割 → 自分が動かした範囲 |
| 効果を全部自分のものにする | 要因は複数あると認めたうえで、自分の範囲を述べる |
| 他の人の貢献を語らない | 分担を説明すると、構成が伝わる |
| 役職で役割を説明する | 何をしたかで説明する |
| 抽象的な「協力」「連携」 | 誰と、何について、どう決めたか |
2つ目が大事です。効果を全部自分のものにすると、面接で「他の要因は考えられませんか」と確認されます。
先に「要因は複数ある」と述べておくと、その確認が不要になります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 主語が「係」のまま終わる
自分の担当範囲を明示してください。
2. まとめ役でないと話せないと思う
4つの型のどれでも話せます。
3. 役職で説明する
何をしたかで説明してください。
4. 効果を全部自分のものにする
要因は複数あると認めるほうが信頼されます。
5. 「協力しました」で終える
誰と、何について、どう決めたかを述べてください。
6. 他の人の貢献に触れない
分担を説明すると、構成が伝わります。
まとめ
- 聞かれているのは、チームの成果ではなく、その中で自分が何をしたかです
- 地方自治法第138条の2の2は、執行機関が自らの判断と責任において事務を管理し執行する義務を負うとしています
- 答えは、①構成 ②自分の役割 ③自分が動かした範囲の3点。③が核心です
- 役割の型は、まとめ役・実務の中心・橋渡し・記録と進行の4つ。どれでも話せます
- 「私が改善した」ではなく「私の担当範囲は」と言えば、事実の説明として述べられます
- 効果を全部自分のものにしない。要因は複数あると認めたうえで、自分の範囲を述べてください
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よくある質問
1人で担当していた業務が中心で、チームの経験が薄いです
1人係でも、関係する相手はいます。他課、事業者、住民、上司。その相手との協働を、チームの経験として話せます。「担当は自分1人でしたが、◯◯の処理では◯課と◯課の確認が必要で、役割分担と期限を決めて進めていました」という形です。また、後任への引継ぎや、新任の指導も、人と関わる経験として使えます。加えて、1人で回していたこと自体が、自律的に処理できる証明になります。チームの経験が薄いことを弱点として述べるより、関係者との協働の具体を出すほうが有効です。
若手で、リーダーの経験がありません
リーダーである必要はありません。4つの型のうち、「実務の中心」や「記録と進行」で話してください。「係の中で、◯◯の処理を担当していました。手順が人によって違っていたので、自分の担当分について確認の項目を一覧にして、後から入った方にも渡せる形にしました」という形です。この話は、年次に関係なく成立します。むしろ、若手でこの話ができる人は多くありません。リーダーの経験が求められる求人であれば、応募条件に明記されています。記載がなければ、気にする必要はありません。
管理職ですが、部下の成果をどう話せばよいですか
部下の成果は、部下の成果として述べたうえで、自分が設計した部分を話してください。「係が◯件を処理できたのは、担当者の働きによるものです。私が担当したのは、繁忙期の応援の枠組みを課内で整えた部分と、処理の順番の基準を決めた部分です」という形です。管理職の成果は、人を通じて出るので、自分が変えた仕組みで語るのが自然です。書き方は管理職経験の書き方|部下の人数と権限の示し方にも整理しています。部下の成果を自分の成果として述べると、面接で切り分けを求められます。