選考対策 / 面接
PCスキル・ITリテラシーを問われたとき
事務系の職種に応募すると、必ず確認される項目です。
「表計算は、どの程度お使いになれますか」
「一通りは使えます」と答える方が多いのですが、これでは何も伝わりません。
聞かれているのは、道具の操作だけではありません。その道具を使って、何を作ってきたかです。
この記事では、3つの層に分けた答え方を扱います。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。
結論:3層で答える
| 層 | 内容 | 評価のされ方 |
|---|---|---|
| ① 操作 | 表計算、文書の作成、資料の作成 | できて当然として扱われる |
| ② 業務の設計 | 集計の仕組みを作った、様式を統一した | 差が付く部分 |
| ③ 情報の取扱い | 個人情報の管理、権限の設定、持ち出しの制限 | 役所の経験が最も効く部分 |
①だけを答えると、「一通り使えます」で終わります。②と③を足してください。
情報の取扱いは、自治体の責務です
③が効く理由は、自治体が負っている責務にあります。
サイバーセキュリティ基本法第5条です。
> 地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、サイバーセキュリティに関する自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
自治体は、情報の安全の確保について責務を負っています。
この責務の下で、情報セキュリティの方針が定められ、職員はその運用の中で仕事をしてきたはずです。
| 実際にやってきたこと | 民間での対応 |
|---|---|
| 端末の持ち出しの制限、記録媒体の管理 | 情報の持ち出しの管理 |
| 権限に応じた情報の閲覧の範囲 | アクセス権限の設計と運用 |
| 個人情報を含む資料の保管と廃棄 | 文書の管理、保存期間の運用 |
| 研修の受講と、庁内の手順の遵守 | 社内の規程の遵守と教育 |
| 事故が起きた場合の報告の手順 | 情報の事故への対応 |
この5つを実務として回してきた経験は、民間でそのまま評価されます。
個人情報を扱う事業をしている会社では、この部分が採用の判断に影響します。
②の材料——何を作ってきたか
操作ではなく、作ったものを話してください。
| 作ったもの | 言い方の例 |
|---|---|
| 集計の仕組み | 手作業で集計していた月次の報告を、表計算で自動化し、担当者◯人の作業を不要にした |
| 様式の統一 | 係ごとに異なっていた◯種類の様式を統一し、集計できる形に変更した |
| 管理の表 | 進捗を一覧で管理する表を作成し、遅れのある案件を色分けで把握できるようにした |
| 資料の型 | 議会や審議会の資料の型を作り、毎回の作成の時間を短縮した |
| 手順書 | 操作の手順を文書化し、異動の際の引継ぎに使える形にした |
どれか1つでも、具体的に話せれば足ります。
「関数が使えます」よりも、「手作業の集計を自動化しました」のほうが、情報量が多いです。
システムに関わった経験は、独立して話す
基幹システムの更改や、電子申請の導入に関わった経験がある方は、②とは別の項目として話してください。
> 基幹システムの更改にあたり、業務側の担当として現行の帳票◯種類を棚卸しし、要件の一覧を作成しました。稼働後は職員向けの手順書を作成し、問い合わせ約◯件に対応しています。
この経験は、「システムを使う側」ではなく「導入する側」の経験です。書き方はシステム導入の経験の書き方に整理しています。
紙と電子の両方を回してきたこと
もう1つ、書き落とされやすい経験があります。紙の手続きと、電子の手続きを並行して回してきたことです。
役所では、同じ業務について、窓口の紙の申請と、電子の申請の両方が動いていることが珍しくありません。受付の経路が2つあり、最終的に同じ処理に合流させる必要があります。
| 経験 | 民間での対応 |
|---|---|
| 紙と電子の受付を同じ処理に合流させる | 複数の経路のデータを統合する運用 |
| 電子化の対象と対象外を区分する | 業務のどこを自動化するかの判断 |
| 電子化しても残る例外の処理 | 標準の処理から外れる案件の扱い |
3つ目が、とくに実務的な経験です。電子化して終わりではなく、例外が必ず残る。その処理をどう設計したかを話せると、導入の支援やシステムに関わる職種で読まれます。
苦手な場合の答え方
操作に自信がない場合もあります。その場合は、正確に述べたうえで、習得の見込みを添えてください。
> 表計算は、集計と簡単な関数までです。データベースや、複雑な集計は経験がありません。必要な範囲は、入社までに学習します。
できないことを「できる」と答えると、入社後に確認されます。
そのうえで、③の情報の取扱いのほうを話してください。操作は習得できますが、情報の扱いの規律は、習慣として身についているかどうかです。後者のほうが、採用の側にとっては重要な場合があります。
学習の材料
応募の前に、少し触れておくと会話が具体的になります。
| 対象 | 優先度 |
|---|---|
| 表計算の集計(合計、条件付きの集計、表の結合) | 高い。事務系の職種では日常的に使います |
| 文書の作成(体裁の統一、目次、差し込み) | 中 |
| 資料の作成(図表の作り方) | 中 |
| 情報の共有の道具(社内の連絡の仕組み) | 会社によって異なるため、入社後で足ります |
表計算の集計だけは、触れておく価値があります。面接で具体的に話せるようになるほか、入社直後の立ち上がりが変わります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 「一通り使えます」で終える
何を作ったかを話してください。
2. 操作の話だけをする
②の業務の設計と、③の情報の取扱いを足してください。
3. 「庁内のシステムしか」と前置きする
複数の業務システムを使い分けてきた事実です。
4. できないことを「できる」と答える
入社後に確認されます。
5. 情報の取扱いの経験を話さない
いちばん評価される部分が抜けます。
6. 製品の名前で説明する
何を処理してきたかで話してください。
まとめ
- 答えは、①操作 ②業務の設計 ③情報の取扱いの3層。①だけでは伝わりません
- サイバーセキュリティ基本法第5条は、地方公共団体にサイバーセキュリティに関する自主的な施策を策定し、実施する責務を課しています
- 持ち出しの制限、権限の範囲、保管と廃棄、事故の報告の手順は、民間でそのまま評価されます
- ②では、作ったものを話してください。集計の仕組み、様式の統一、管理の表、手順書です
- 「庁内のシステムしか」と前置きしない。複数の業務システムを使い分けてきた事実です
- できないことは、できないと答える。そのうえで③を話してください
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よくある質問
資格を取ったほうが有利になりますか
職種によります。情報システムに関わる職種であれば、情報処理に関する国家試験の区分は、実務の裏づけとして読まれます。一方、一般の事務や営業の職種では、資格より実務の具体のほうが効きます。判断の目安は、求人票の応募条件に記載があるかどうかです。「あれば尚可」とされている資格は、無くても応募できます。なお、取得を検討している場合は、「◯年◯月受験予定」と伝えて構いません。ただし、資格の取得を待って応募を遅らせる必要はありません。実務の経験と組み合わせたときに効く、という位置づけです。
年齢的に、若い人に比べて不利ではないですか
操作の速さで比較されることは、あまりありません。中途採用で見られているのは、業務の処理の設計と、情報の扱いです。若手と比較されるとすれば、新しい道具への適応の部分ですが、これは「新しいシステムに切り替わったときにどう習得したか」を話せば足ります。役所では、システムの更改や制度の改正のたびに、新しい手順を覚え直してきたはずです。その経験そのものが、適応の実績です。むしろ、年数のある方のほうが、業務の設計の経験が厚いことが多く、そちらを前に出すほうが有効です。
在宅勤務で使う道具に慣れていません
入社後に習得できる範囲です。会議の道具も、情報の共有の仕組みも、会社によって使うものが違うため、入社後に覚えるのが通常です。面接で聞かれた場合は、「使用した経験はありませんが、必要な操作は入社までに確認しておきます」と答えれば足ります。なお、オンラインの面接そのものが、この確認を兼ねている面があります。接続、画面の共有、音声の設定。面接の場で問題なく対応できていれば、それが実績です。事前に接続の確認をしておくことが、この質問への準備にもなります。