選考対策 / 面接
ストレス耐性の質問への答え方
面接で、答え方を間違えやすい質問です。
「ストレス耐性はありますか」
「あります」と答えると、根拠がありません。「強いほうだと思います」も同じです。
一方で、「あまり強くありません」と答えると、その先の話が続きません。
この質問は、耐性の強さを聞いているのではありません。負荷がかかったときに、どう処理するかを聞いています。
この記事では、その組み立てを扱います。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。
心理的な負担は、制度として把握される対象です
前提を、条文で確認しておきます。
労働安全衛生法第66条の10第1項です。
> 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。
心理的な負担の程度を、事業者が把握する。これが、事業者の義務として定められています。
つまり、心理的な負担は、個人の根性の問題として扱われていません。制度として把握し、対応する対象です。
この前提に立つと、答え方が決まります。「耐えられます」ではなく、「どう処理してきたか」を話す。それが、この質問に対する実務的な答えです。
結論:3段で答える
| 段 | 内容 |
|---|---|
| ① 場面 | 負荷がかかった具体的な場面を1つ(1文) |
| ② 個人の対処 | そのとき、自分がどう処理したか |
| ③ 組織の対処 | 仕組みとして何を変えたか(あれば) |
③まで話せると、この質問は終わります。
耐えた話ではなく、処理の方法の話になるからです。
公務員が持っている材料
| 場面 | 内容 |
|---|---|
| 苦情や要望への対応 | 長時間化しやすい相談、強い口調の相手への対応 |
| 災害・感染症の発生時 | 通常の業務と並行した対応、先の見えない状況 |
| 議会の時期 | 短い期限、確認の量、緊張の伴う説明 |
| 年度末・年度初め | 処理の集中、制度の改正への対応 |
| 制度の改正の施行 | 窓口の混乱、問い合わせの集中 |
どの部署にいても、1つは該当します。
ただし、話し方に注意が要ります。
「耐えた」ではなく「処理した」で話す
悪い例
> 苦情の対応で、長時間にわたって厳しいお言葉をいただくこともありましたが、我慢して最後まで対応しました。
耐えた話になっています。次も同じ負荷がかかったら、また我慢するのかという受け取られ方をします。
良い例
> 窓口で、制度の要件に該当しない方からのご相談が長時間になることがありました。>> 個人としては、その場で結論を出そうとせず、確認が必要な点を整理して、期限を決めて折り返すという進め方に変えました。その場で押し切ろうとすると、かえって長くなるためです。>> あわせて、係として、一定の時間を超えた場合は複数名で対応し、記録を残す運用を整えました。担当者が1人で抱える状態を減らすことが目的です。
①②③が揃っています。
③の「仕組みを作った」という部分が、この質問でもっとも評価される部分です。
話してはいけないこと
| ✕ | 理由 |
|---|---|
| 健康上の問題の詳細 | 業務の遂行に支障がなければ、述べる必要はありません |
| 特定の相手が識別できる事例 | 守秘に関わります |
| 上司や同僚への不満 | 人間関係が理由と受け取られます |
| 「気にしない性格です」 | 対処の方法が示せません |
| 我慢の量を競う話 | 評価の対象になりません |
1つ目について補足します。過去に体調を崩した経験がある場合でも、回復していて業務に支障がなければ、自分から詳細を述べる必要はありません。
聞かれた場合は、「現在は問題なく勤務できる状態です」で足ります。
負荷の種類を、自分で分けておく
答えを作る前に、自分の材料を整理しておくと話しやすくなります。負荷は、種類によって対処が違います。
| 種類 | 内容 | 有効だった対処の例 |
|---|---|---|
| 対立 | 相手と利害がぶつかる | 結論を急がず、確認事項を整理して期限を決める |
| 量 | 処理しきれない件数 | 順番の基準を決める、応援の枠組みを作る |
| 期限 | 動かせない締切 | 逆算して工程を置き、早い段階で見通しを共有する |
| 不確実 | 先が見えない(災害・制度の改正) | 決まっている部分と未確定の部分を分けて進める |
| 責任 | 判断の重さ | 判断の根拠を記録に残し、協議の場に上げる |
自分がどの種類に強く、どれが苦手かを把握しておくと、面接での答えが具体的になります。
そして、応募先でどの種類の負荷が多いかを確認すれば、合うかどうかの判断材料になります。「量」に弱い人が、処理の件数で回る職種を選ぶと、入社後に同じ状況になります。
逆に確認しておくこと
この質問が出たときは、こちらからも確認できます。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 負荷の種類 | 「この職種で、負荷が集中するのはどのような場面ですか」 |
| 支援の体制 | 「困ったときに相談できる体制はどのようになっていますか」 |
| 一人で抱える構造か | 「案件は個人の担当制ですか、チームでの対応ですか」 |
| 離職の状況 | 「このポジションは増員ですか、後任ですか」 |
3つ目は、実態を知るのに有効です。個人の担当制で、相談の相手がいない構造の場合、負荷は個人に集中します。
4つ目も、前の記事で挙げた質問と同じです。後任であれば、前任者がどういう理由で動いたかが話題になります。
経験の言い換えから相談することもできます。
この整理は、面接のためだけのものではありません。応募先を選ぶときの基準にもなります。
よくある失敗
1. 「耐性はあります」と答える
根拠がありません。場面と対処で話してください。
2. 我慢した話をする
次も我慢するのかと受け取られます。
3. ③を話さない
仕組みを変えた経験が、この質問の核心です。
4. 「気にしない性格です」と答える
対処の方法が示せません。
5. 健康上の詳細を自分から述べる
業務に支障がなければ、必要ありません。
6. 確認をしない
負荷の種類と支援の体制は、こちらからも聞けます。
まとめ
- 聞かれているのは耐性の強さではなく、負荷がかかったときの処理の方法です
- 労働安全衛生法第66条の10第1項は、事業者に心理的な負担の程度を把握するための検査を義務づけています。個人の根性の問題として扱われていません
- 答えは、①場面 ②個人の対処 ③仕組みとして変えたことの3段。③が核心です
- 「耐えた」ではなく「処理した」で話す。我慢の量は評価の対象になりません
- 健康上の詳細、特定の相手が分かる事例、人間関係への不満は話しません
- 負荷の種類と支援の体制は、こちらからも確認できます
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よくある質問
「最近、落ち込んだ経験は」と聞かれました
この質問も、対処の方法を聞いています。答え方は同じで、場面を1つ、そのときの処理、その後に変えたことです。注意するのは、深刻すぎる内容を選ばないことです。重い内容を選ぶと、確認の質問が続き、面接の時間がそこで使われます。適度な例としては、仕事で見込みが外れた場面、調整が通らなかった場面があります。うまくいかなかった仕事を書くべきかで挙げた4類型が、そのまま使えます。書類の準備と、面接の準備は同じ材料です。
通院や服薬をしています。伝える必要はありますか
業務の遂行に支障がなければ、自分から述べる必要はありません。採用の選考で収集される情報は、業務の目的の達成に必要な範囲内とされています。ただし、業務に影響する事項(定期的な通院で勤務時間の調整が必要など)がある場合は、伝えておくほうが確実です。伝える内容は、「月に1回、通院のため時間の調整が必要です」といった、調整に関わる事実で足ります。診断の内容まで述べる必要はありません。入社後に配慮が必要な場合は、入社の前後で人事に相談するという進め方もあります。
ストレスチェックの結果は、会社に伝わりますか
制度の運用については、労働安全衛生法と関係の省令に定めがあります。検査の結果は、実施者から本人に通知される仕組みになっており、本人の同意なく事業者に提供されないとされています。詳しい取扱いは、入社後に会社の担当部署や産業医に確認してください。なお、採用の選考の段階で、この検査が行われることはありません。入社後の制度です。面接でこの話題を持ち出す必要はありませんが、支援の体制を確認する質問として、「健康の管理や相談の体制はどのようになっていますか」と聞くことはできます。