選考対策 / 職務経歴書
計画策定の経験の書き方
計画の策定は、自治体でしか積めない経験の1つです。
ところが、職務経歴書ではこうなります。
「◯◯計画の策定に従事。」
計画という成果物の名前だけが残り、作った過程が消えています。
実際には、現状を数字で把握し、課題を絞り、目標と指標を決め、施策を体系に並べ、関係課と調整し、審議会と住民の意見を聞き、議会に説明し、進捗を測る仕組みまで作ったはずです。
この記事では、5つの工程に分けて書き方を決めます。部署をまたぐ調整の側面は全庁横断プロジェクトの経験の書き方に分けて書きました。
結論:計画の経験は、5工程で書く
| 工程 | 何をしたか |
|---|---|
| ① 現状の分析 | 統計、実績、他団体との比較。数字で現状を出す |
| ② 課題の設定 | 分析から、取り組む課題を絞る。落とした論点も含めて |
| ③ 目標と指標 | 何を、いつまでに、どの数字で測るかを決める |
| ④ 施策の体系 | 課題と施策を対応させ、所管と財源を割り当てる |
| ⑤ 進捗の管理 | 測る仕組み、報告の頻度、見直しの手順 |
③と⑤が、民間でいちばん読まれる部分です。目標を数字で置いて、測る仕組みまで作ったなら、それは事業計画の実務と同じです。
「最少の経費で最大の効果」は、条文に書かれています
計画が何をする文書なのかは、地方自治法の総則に根拠があります。
地方自治法第2条第14項です。
> 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
「住民の福祉の増進」と「最少の経費で最大の効果」が、同じ項に並んでいます。
さらに第15項は、常にその組織及び運営の合理化に努めることを求めています。
つまり、成果を上げることと、資源を使いすぎないことの両方が、同時に求められているということです。
計画は、この2つを具体的な配分に落とす文書です。限られた財源と人員で、何を優先し、何を後ろに回すかを決める。
民間の中期の経営計画・事業計画と、目的が一致しています。違うのは、利益ではなく福祉の増進が目的であることだけです。
悪い例と良い例
悪い例
> ◯◯計画(◯年度〜◯年度)の策定を担当。関係課と調整し、計画書を作成した。
良い例
> ◯◯計画の策定(計画期間◯年/関係◯課/所管する施策◯件)>> 前計画の◯年間の実績を分析し、指標◯件のうち目標を達成していない◯件について、要因を事業の単位で整理。人口の推計と、類似の規模の団体◯団体との比較から、重点とする課題を◯件に絞り込み。>> 指標については、実施の量を測るもの(実施の件数、参加の人数)と、状態の変化を測るもの(利用の率、満足の度合い)を区別して設定。測定の方法と、データの取得の元を指標ごとに定義。>> 施策の体系について、課題と施策を対応させた一覧を作成し、所管課と財源の区分を明示。重複していた施策◯件を統合。>> 審議会(◯回)、意見の募集(意見約◯件)、議会への説明を担当。策定後は、年◯回の進捗の報告の様式を設計し、初年度の報告を運用。
5工程が全部入っています。
指標の設計を、書けるようにする
③の指標は、民間の採用担当者がいちばん読む部分です。
| 指標の種類 | 例 | 読まれ方 |
|---|---|---|
| 実施の量 | 実施の回数、参加の人数、整備の件数 | やったことの量。作りやすいが、効果は示さない |
| 状態の変化 | 利用の率、認知の度合い、改善した割合 | 成果。測り方の設計が要る |
| 過程 | 計画の進捗率、着手の件数 | 管理のための指標 |
この3つを区別して設計していたなら、必ず書いてください。
「実施の量」だけで組まれた計画は、民間でいえば活動の量だけを追う計画です。状態の変化を1つでも指標に入れて、測り方まで決めた経験があるなら、それは設計の経験です。
測定の方法(どの統計を、いつ、誰が取るか)まで決めていたなら、その記述を入れてください。測れない指標を置かなかったことも、判断として書けます。
計画の類型で、重心が変わる
| 類型 | 重心を置く工程 |
|---|---|
| 総合計画(基本構想・基本計画) | ②課題の設定、④体系の設計、住民の参加の過程 |
| 分野別の個別の計画 | ①現状の分析、③指標、法令上の位置づけの確認 |
| 実施計画・行動計画 | ④所管と財源の割り当て、⑤進捗の管理 |
| 行革・定員の計画 | ①現状の分析、⑤進捗の管理、部局との調整 |
法令にもとづいて策定が求められる計画を担当した場合は、その旨を書いてください。根拠となる法律の名前と、求められている事項をどう満たしたかが書ければ、制度を読み解いた経験として読まれます。
住民の参加の過程は、独立して書ける
計画の策定では、審議会、意見の募集、住民の説明会、団体からの聞き取りを経ていることが多いはずです。ここは、独立した項目として書けます。
> 審議会(委員◯人、◯回)の事務局を担当。論点の資料を作成し、委員からの意見◯件について、計画への反映の可否を整理して回答。意見の募集では意見約◯件を受け、◯件を計画に反映。反映しなかった意見についても、理由を付して公表。
「反映しなかった意見に理由を付した」という部分が、外部の意見を処理する設計として読まれます。民間でも、顧客や取引先の要望をすべては受け入れられない場面は同じ形で存在します。
よくある失敗
1. 「策定に従事」で終える
5工程に分けてください。成果物の名前だけでは読めません。
2. 現状の分析を書かない
分析は、計画の前半そのものです。使った統計と比較の対象を書いてください。
3. 指標を書かない
いちばん読まれる部分です。種類を区別して設計したなら、必ず書いてください。
4. 落とした論点を書かない
絞り込みは、判断です。「◯件から◯件に絞った」と書けます。
5. 進捗の管理を省略する
作った後をどうしたかが、実行の経験になります。
6. 計画の名前を説明しない
計画名は外では読めません。対象と期間と規模で書いてください。
まとめ
- 計画の経験は、①現状の分析 ②課題の設定 ③目標と指標 ④施策の体系 ⑤進捗の管理の5工程で書きます
- 地方自治法第2条第14項は、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げることを求めています。計画は、この2つを配分に落とす文書です
- 指標は、実施の量・状態の変化・過程の3種類を区別して書きます
- 測定の方法まで決めていたなら、それが設計の経験です
- 採用の側が見ているのは、所管・財源・指標・報告の頻度が計画に入っているかどうかです
- 進捗の報告を1度でも回したなら、実行の経験です。書き落とさないでください
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よくある質問
計画の一部(自分の所管する章)だけを担当しました
その範囲で書けます。むしろ、章の単位のほうが具体的に書けます。「計画のうち◯◯分野(施策◯件)について、現状の分析、指標の設定、施策の整理を担当」という形です。加えて、全体の取りまとめとどうやり取りしたかを書いてください。「全体の取りまとめ課から示された様式と指標の考え方に沿って原案を作成し、協議◯回を経て確定」という形です。全体を統括していなくても、分析と指標の設計をしていれば、実務の中身は同じです。担当した範囲を正確に書くほうが、面接での説明も楽になります。
委託した事業者が原案を作りました。自分の経験と言えますか
言えます。委託していても、仕様を決め、データを渡し、原案を確認し、修正を指示したのは自治体の側です。書くなら、「調査と原案の作成を委託(契約額の規模 約◯万円)。委託の仕様の作成、必要なデータの整理と提供、原案の確認と◯件の修正の指示、成果物の検収を担当」という形です。委託先の管理の経験としても読まれます。加えて、事業者が提案した内容のうち、採用しなかったものと、その理由を説明できると、自分で判断していたことが伝わります。委託の有無は、隠す必要がありません。
計画が形だけのもので、実際には使われていません
その認識を持っていること自体が、書ける材料です。面接で「計画の課題は何でしたか」と聞かれたときに、具体的に答えられる人は多くありません。書類では事実を書き、面接で認識を述べる、という分け方が現実的です。書くなら、「進捗の報告の仕組みを設計したが、報告の様式が各課の既存の報告と重複していたため、◯年度から様式を統合」のように、気づいて直した部分があれば、それを書いてください。直せなかった場合でも、要因を把握していることは、次の職場で同じことを繰り返さない根拠になります。書き方はうまくいかなかった仕事を書くべきかに整理しています。