選考対策 / 職務経歴書
落ちる職務経歴書に共通する書き方
書類選考で落ちたとき、理由は返ってきません。
「厳正なる選考の結果、今回はご期待に沿いかねる結果となりました」。この一文だけです。
つまり、何を直せばよいかは、自分で推定するしかありません。
この記事では、通らない書類に共通する5つの型を挙げます。直し方も合わせて書きます。点検の手順は職務経歴書を自分で見直すチェックリストにあります。
役所の処分には、理由の提示が義務づけられています
申請を扱ってきた方には、違和感のある話かもしれません。
行政手続法第8条第1項です。
> 行政庁は、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、当該処分の理由を示さなければならない。
拒否するなら、理由を示さなければならない。役所の窓口では、これが当然の前提です。
採用の選考には、この義務がありません。不採用の通知に理由が書かれていないのは、制度が違うからです。
この違いを、先に理解しておいてください。理由が返ってこないことに意味を探しても、答えは出ません。代わりに、共通する型に自分の書類を当ててみるほうが早いです。
型1:求人票に答えていない
いちばん多い型です。
求人票に「自治体との折衝の経験」と書かれているのに、書類に折衝の記述がない。「予実の管理」と書かれているのに、予算の経験が在籍の一覧の1行にしかない。
経験が無いのではありません。持っているのに、書いていないのです。
直し方
求人票を印刷し、「応募条件」と「仕事内容」の各行に、自分の書類の該当箇所を線で結んでください。線が引けない行が、書き足すべき部分です。
線が3行以上引けない求人は、応募を見送る判断もあります。
型2:主語がない
> 「◯◯事業の推進に取り組み、関係機関との連携を図った。」
誰が何をしたのかが、読めません。役所の文書は、組織として書く作法があります。その癖が残ると、自分の行動が消えます。
直し方
各行の頭に「自分は」を補って読んでみてください。意味が通らない行は、組織の主語で書かれています。
> 「◯◯事業について、関係する3機関との協議を担当し、役割の分担を文書で確定させた。」
型3:数字がない
規模も量も書かれていない書類は、仕事の像が立ちません。
「多数の申請を処理」「多くの住民対応」。「多数」は数字ではありません。
直し方
要約欄に1〜2個、実績欄に3〜4個。それだけ入れば足ります。数え方は数字で書けない仕事を、数字で書く方法にあります。
型4:判断が書かれていない
担当した業務は並んでいるが、自分が何を決めたかが書かれていない型です。
「◯◯を担当」「◯◯に従事」「◯◯を実施」。動作はありますが、判断がありません。
役所の仕事は、法令と前例の上で動きます。そのぶん、自分が決めた部分が、自分でも見えにくい。ところが、採用する側が知りたいのは、そこだけです。
直し方
実績の各項目に、次のどれかの語が入っているかを確認してください。
「設計した」「整理した」「統一した」「基準を決めた」「案を作成した」「見直した」「合意を得た」
1つも入っていなければ、担当の記述であって、実績の記述ではありません。
型5:使い回しの跡がある
応募先ごとの調整がされていない型です。
- 要約欄が、どの応募先にも同じ
- 応募先と関係のない機能が、上に並んでいる
- 会社名の表記が違う、あるいは旧名称のまま
調整は、要約欄と順番だけで足ります。全文を書き直す必要はありません。15分の作業です。
5つの型は、直す順番がある
同時に直そうとすると手が止まります。該当していても、上から1つずつで足ります。
| 順 | 型 | 直すのにかかる時間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 型1(求人票に答えていない) | 30分(求人票と突き合わせて書き足す) |
| 2 | 型4(判断が書かれていない) | 1時間(実績欄を3項目書き直す) |
| 3 | 型3(数字がない) | 1時間(棚卸しをして5個拾う) |
| 4 | 型2(主語がない) | 30分(頭に「自分は」を補って読む) |
| 5 | 型5(使い回しの跡) | 15分(要約欄と順番の調整) |
型1と型4を直した時点で、通過率は変わります。残りの3つは、その後に手を入れれば足ります。
全部を直してから応募しようとすると、たいてい応募が2週間遅れます。1つ直したら、次の応募に進んでください。
通らないときの確認の手順
3社続けて書類で落ちたら、次の順で確認してください。
| 順 | 確認すること |
|---|---|
| 1 | 応募先の求人票の条件と、自分の経験が実際に合っているか |
| 2 | 型1〜型5のどれかに該当していないか |
| 3 | 応募している職種が、経験と離れすぎていないか |
| 4 | 求人票の必須要件(資格・経験年数)を満たしているか |
4番目は、見落とされやすい部分です。必須要件を満たしていない求人は、書類の書き方では通りません。満たしている求人に応募先を変えるほうが早いです。
逆に、3社中2社で面接に進んでいるなら、書類は機能しています。その場合、直すのは書類ではなく面接の準備です。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 落ちた理由を、経歴のせいにする
書類選考は、求人票との対応を見ています。
2. 1社落ちるたびに全文を書き直す
3社の傾向を見てから直してください。
3. 応募を止めて、書類だけを作り込む
応募しないと、情報が入りません。
4. 必須要件を満たさない求人に応募し続ける
書き方では通りません。応募先を変えてください。
5. 経歴を大きく見せようとする
面接で崩れます。範囲を正確に書くほうが通ります。
6. 型4を直さないまま応募を続ける
判断の記述が無い書類は、何社出しても同じ結果になります。
まとめ
- 通らない書類には、①求人票に答えていない ②主語がない ③数字がない ④判断が書かれていない ⑤使い回しの跡の5つの型があります
- 行政手続法第8条第1項は、申請を拒否する処分には理由の提示を義務づけています。採用の選考にこの義務はありません。理由は返ってきません
- いちばん多いのは型1と型4。どちらも、当たり前すぎて書かなかった部分です
- 型1は、求人票と書類を線で結ぶと見つかります
- 型4は、「設計した」「整理した」「基準を決めた」などの語が入っているかで確認できます
- 3社から5社の傾向を見てから直してください。1社で結論づけないでください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
応募先に、不採用の理由を聞いてもよいですか
聞くこと自体は自由ですが、返答があることは多くありません。採用の選考には、理由を示す義務がないためです。また、理由を伝えることで誤解が生じることを避ける方針の会社もあります。実務的には、人材会社を経由して応募している場合、担当者経由で傾向が伝わることがあります。「経験は合っていたが、より近い経験の方がいた」「必須の資格を満たしていなかった」といった情報です。この情報は、次の応募の材料になります。直接応募の場合は、自分で型1〜型5に当てて確認するほうが早いです。
年齢が理由で落ちているのではないかと思います
年齢だけで判断することは、募集や採用の場面で原則として認められていません。ただし、「長期勤続によるキャリア形成を図る」など、法令で認められた例外の範囲で、年齢の条件が付されている求人はあります。求人票に年齢の条件が書かれている場合は、その範囲で応募先を選ぶほうが確実です。書かれていない場合、落ちた理由を年齢と推定しても、次の行動につながりません。確認すべきは、求人票の必須要件と、自分の経験の対応です。年代ごとに求められるものは変わるので、40代以降であれば、入ってすぐ持ち込める経験を前に出すという調整のほうが実効性があります。
書類は通るのに、面接で落ちます
その場合、直すのは書類ではありません。書類が通っているということは、求人票との対応は取れているということです。面接で確認されるのは、書類に書いた内容の裏づけと、転職の理由、入社後に何をするかの3つです。とくに、書類の数字について根拠を説明できるかは、よく聞かれます。準備の仕方は転職理由を職務経歴書に書くかと志望動機欄と職務経歴書の役割分担に整理しています。書類を作り直すより、この3つを準備するほうが結果が変わります。