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選考対策 / 職務経歴書

同じ部署が長い場合の職務経歴書

異動が多い人とは逆の相談も、同じくらい多く伺います。

「同じ課に10年います。書くことが、1つしかありません」

用地、税、保育、下水道、情報システム。専門性が要るぶん、同じ部署に長く置かれる職場があります。

ところが、職務経歴書にすると、「◯◯課 10年」の1行になってしまう。10年が1行では、3年の人と区別が付きません。

書くことが少ないのではありません。横に切れないなら、縦に切るだけです。

この記事では、その切り方を扱います。書類全体の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本、異動が多い場合は異動が多い公務員の職務経歴書の並べ方にあります。

結論:長い在籍は、3つの軸で縦に切る

軸何で区切るか使いどころ
① 段階担当 → 主任 → 係長 → 課長補佐役職が変わっている人
② 範囲担当の対象が広がった時点役職が変わっていない人
③ 出来事制度の改正、システムの更改、災害、計画の策定全員が使える

①か②で2〜3ブロックに割り、③を実績として載せる。これで、10年が3つの塊になります。

1つの部署でも、3ブロックあれば3つの経験として読まれます。

「段階が変われば、求められる能力が変わる」と書かれています

①の軸を使ってよい理由は、任用の仕組みのほうに書かれています。

地方公務員法第15条の2第1項です。

> 二 昇任 職員をその職員が現に任命されている職より上位の職制上の段階に属する職員の職に任命することをいう。>> 五 標準職務遂行能力 職制上の段階の標準的な職の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として任命権者が定めるものをいう。

そして同条第2項は、標準的な職を、職制上の段階及び職務の種類に応じて任命権者が定めると規定しています。

つまり、職制上の段階ごとに、求められる能力が別々に定義されているということです。同じ課にいても、段階が上がれば、求められているものが変わっている。

これは、職務経歴書で分けて書いてよい根拠になります。「◯◯課10年」ではなく、「◯◯課で、担当として◯年、係長として◯年」です。同じ場所にいた話ではなく、役割が変わった話になります。

多くの自治体が、この標準職務遂行能力を定めて公表しています。自分の自治体のものを見ると、段階ごとに何が求められていたかが、そのまま言葉になっています。職務経歴書の材料として使えます。

段階で割る——書き方の例

悪い例

> ◯◯市 用地課(10年) 公共事業に係る用地の取得を担当。

10年が、1行で消えます。

良い例

> 用地課 担当(◯年〜◯年)> 道路と河川の事業に係る用地の取得を担当。年間約◯件の物件調査、補償の算定、権利者との折衝を担当。相続が発生している土地の権利者の調査を担当し、◯件の所有者の特定を実施。>> 用地課 主任(◯年〜◯年)> 上記に加え、年間約◯億円の補償の算定の内容の確認を担当。新任の担当者◯人の指導と、折衝の記録の様式の整備を担当。>> 用地課 係長(◯年〜現在)> 係◯人の事務の進行の管理と、困難な案件の折衝を担当。事業の計画に対する用地の取得の進捗を管理し、遅れの見込まれる案件について事業課と工程の調整を実施。

同じ課の10年ですが、3つの仕事として読まれます。

段階が変わっていない場合——範囲と出来事で割る

②の軸は、担当の対象が広がった時点で区切ります。

③の軸は、在籍の中で起きたことです。ここは、全員に必ずあります。

出来事書き方の例
制度の改正法令の改正に伴い、対象と要件が変更。要綱と様式を改正し、対象者約◯件への周知と、窓口の説明の手順を整備
システムの更改基幹のシステムの更改にあたり、業務側の要件の整理を担当。現行の帳票◯種類を棚卸しし、◯種類に統合
災害・感染症発生時に、通常の業務と並行して◯件の相談に対応。窓口の手順と記録の様式を◯日で整備
計画の策定◯か年の計画の策定を担当。現状の分析、関係課との調整、審議会への説明、パブリックコメントの対応
監査の指摘指摘を受けて、確認の手順を見直し。チェックの項目を様式化し、再発の防止の仕組みを整備

この5つのうち、10年いて1つも無い部署はほとんどありません。

そして、出来事は日付が付くので、時系列の中で「ここで何かをした人」として読まれます。

「専門性」を、民間で読める形にする

「専門性があります」とだけ書いても、伝わりません。次の4つのどれかに置き換えてください。

専門性の証拠書き方
例外の処理標準の手順で処理できない案件を、判断の方針を作って処理した
後進の育成新任◯人を指導した。手順書、記入例、チェックの表を作った
外部の照会の受け皿他の課、他の自治体、事業者、国からの照会に回答していた
制度の改正への対応改正のたびに、要綱・様式・説明の資料を作り直していた

この4つは、どれも「年数がないとできないこと」です。専門性という言葉を使わずに、専門性を示せます。

自分の経験のどこが専門性として読まれるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。経験の言い換えから相談することもできます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。

よくある失敗

1. 10年を1行で書く

3ブロックに割ってください。段階、範囲、出来事のどれかで必ず割れます。

2. 同じ内容を3回書く

割ったあとに、3ブロックとも同じことが書いてある書類があります。ブロックごとに、増えた役割だけを書いてください。

3. 例外の処理を書かない

いちばん評価される部分が抜けます。標準的な事務より先に書いて構いません。

4. 後進の育成を「指導しました」で済ませる

何人に、何を作って指導したかを書いてください。作った手順書や様式が、成果物になります。

5. 「同じ部署しか知りません」と書く

書かないでください。10年分の深さが、それだけで浅く読まれます。

6. 制度の改正を、受け身で書く

「法改正に対応しました」ではなく、「要綱と様式を改正し、対象者への周知と窓口の手順を整備した」です。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

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よくある質問

役職に就いていません。段階で割れない場合はどうしますか

②の範囲と、③の出来事で割ってください。役職が変わっていなくても、担当している対象は10年の間に変わっているはずです。担当の地区が増えた、新しい制度が加わった、難しい類型を引き継いだ。その時点で区切ります。それでも区切りが見つからないときは、③の出来事だけで構いません。「◯年の制度改正への対応」「◯年のシステムの更改」を実績欄に独立した項目として置けば、在籍の記述が1行でも、実績が3つ並びます。読む側が見ているのは、役職ではなく、自分で決めた範囲です。

専門性が高すぎて、民間に同じ仕事がない気がします

同じ仕事が無くても、同じ構造の仕事はあります。用地の取得なら、不動産の権利の調査と、地権者との交渉です。保育の指導監査なら、委託先や加盟店の基準の確認と是正の要求です。下水道の維持管理なら、設備の保全の計画と、更新の優先順位の判断です。探し方のこつは、「誰を相手に、何を確認し、何を決めていたか」で言い換えることです。制度の名前で考えると見つかりませんが、動作で考えると、たいてい受け皿があります。部署ごとの言い換えは自治体の部署別 仕事ガイドに整理しています。

途中で育児休業を取っています。ブロックの割り方に影響しますか

影響しません。在籍の一覧には期間をそのまま書き、機能のブロックは、休業の前後で分けずに通算で書いて構いません。同じ担当に復帰しているなら、経験としては連続しているからです。むしろ、復帰後に担当の範囲や働き方が変わっているなら、そこが②の区切りとして使えます。「復帰後は、時間の制約の中で処理の順番を組み直し、◯件を担当」という書き方もできます。なお、休業の期間そのものを説明する必要はありません。期間が一覧に書いてあれば足ります。書かずに空白になっているほうが、確認のやり取りが増えます。

出典

  1. 地方公務員法 第15条の2(定義・昇任・標準職務遂行能力)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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