選考対策 / 職務経歴書
技術職の実績一覧・ポートフォリオの作り方
技術職の職務経歴書には、事務職には無い強みがあります。
扱ったものが、具体的に数えられることです。工種、規模、件数、金額、工期。どれも、そのまま書ける数字です。
ところが、それが文章の中に埋もれている書類を拝見します。
「道路課において、道路改良工事および橋梁の修繕工事の設計、積算、監督を担当した。」
何を、どれだけ、どの立場でやったかが読めません。
この記事では、実績を一覧の表にする方法を扱います。書類全体の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本、枚数の考え方は職務経歴書は何枚が適切かにあります。
結論:3枚目に「実績一覧」の表を付ける
| 位置 | 内容 |
|---|---|
| 1枚目 | 職務要約、担当業務(機能ごと) |
| 2枚目 | 実績(文で3〜5項目)、資格 |
| 3枚目 | 実績一覧(表) |
技術職は、3枚目を作ってよい職種です。ただし、3枚目は必ず表にしてください。文章で3枚目を作ると読まれません。
表であれば、面接の場で開かれて参照されます。「この工事について詳しく」と聞かれる材料になります。
発注者の事務は、法律に列挙されています
一覧に書く項目は、自分で考える必要がありません。発注者が担う事務が、法律に列挙されています。
公共工事の品質確保の促進に関する法律第7条第1項です。
> 発注者は、基本理念にのっとり、現在及び将来の公共工事の品質が確保されるよう(中略)公共工事等の仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、工事等の監督及び検査並びに工事等の実施中及び完了時の施工状況又は調査等の状況(中略)の確認及び評価その他の事務(以下「発注関係事務」という。)を(中略)適切に実施しなければならない。
仕様書と設計書の作成、予定価格の作成、入札と契約の方法の選択、相手方の決定、監督と検査、施工状況の確認と評価。
これが、発注者の担当する工程の一覧です。
自分が担当した工程を、この6つに対応させて書けば、漏れなく示せます。しかも、法律に列挙された事務なので、民間の発注者支援の会社にはそのまま通じます。
実績一覧の6項目
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| ① 年度 | ◯年度(複数年度にまたがる場合は期間) |
| ② 工種・業務の種類 | 道路改良、橋梁修繕、下水道管渠、建築(用途)、設計業務委託 |
| ③ 規模 | 延長、面積、径間、数量、契約の金額 |
| ④ 自分の役割 | 設計、積算、発注、監督、検査、監理業務の委託の管理 |
| ⑤ 担当した工程 | 上の6工程のうち、どこを担当したか |
| ⑥ 特記 | 技術的な工夫、条件の難しさ、変更の対応 |
一覧の例
| 年度 | 工種 | 規模 | 役割 | 特記 |
|---|---|---|---|---|
| ◯年度 | 道路改良 | 延長約◯m、契約額約◯千万円 | 設計・積算・監督 | 供用しながらの施工のため、交通の切り回しを◯段階で計画 |
| ◯年度 | 橋梁修繕 | 橋長約◯m、契約額約◯千万円 | 発注・監督・検査 | 点検の結果にもとづき、補修の範囲を現地で再確認のうえ変更契約 |
| ◯年度 | 下水道管渠 | 延長約◯m | 設計委託の管理 | 既設の埋設物との離隔が確保できず、ルートを変更 |
⑥の特記が、技術職の書類でいちばん読まれる部分です。
条件が難しい現場で、何を判断したか。ここに1行あると、その工事の内容が具体的に伝わります。
職種ごとに、重心を変える
| 職種 | 前に出す項目 |
|---|---|
| 設計が中心 | ②工種、⑥技術的な工夫、使用した基準や指針 |
| 発注・監督が中心 | ③規模、④役割、件数の合計、変更契約の対応 |
| 維持管理が中心 | 対象の施設数、点検の実績、修繕の優先順位の判断 |
| 建築 | 用途、延べ床面積、構造、発注の方式 |
| 設備・電気 | 設備の種類、容量、更新か新設か |
「年間の合計」も書いてください。個別の工事の一覧に加えて、「年間約◯件、総額約◯億円を担当」という行があると、規模の感覚が伝わります。
図面・写真は、原則として出さない
ポートフォリオという言葉から、図面や現場の写真を思い浮かべる方がいます。技術職の場合、原則として出しません。
| 出さないもの | 理由 |
|---|---|
| 設計図面 | 成果品は発注者の所有。個別の業務の情報に当たる |
| 現場の写真 | 工事の場所が特定される。関係者の情報が写り込む |
| 積算の内訳 | 予定価格の算定に関わる情報 |
| 特定の業者名 | 契約の相手方が特定される |
地方公務員法第34条の守秘の義務は、退職後も続きます。
出せるのは、一覧の表と、自分が使った方法の説明です。「どの基準・指針に沿って設計したか」「どういう条件で、どう判断したか」は、文章で書けます。
この線を守ったうえで具体的に書ける人は、守秘の扱いができる人としても読まれます。
資格と実務の対応表
技術職は、資格の欄でも差が付きます。資格の隣に、実務を書いてください。
| 資格 | 実務の対応 |
|---|---|
| 技術士(建設部門) | 設計の照査、技術的な判断を担当した業務◯件 |
| 一級土木施工管理技士 | 発注・監督を担当した工事、年間約◯件 |
| 一級建築士 | 公共建築の設計と工事監理、延べ床約◯㎡ |
| コンクリート診断士 | 橋梁◯橋の点検と健全度の判定 |
実務経験の要件を満たすために在職が必要な資格がある場合は、先に要件を確認してください。役所にいるあいだに満たしておくほうが確実なことがあります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 実績を文章だけで書く
表にしてください。技術職は一覧が効きます。
2. 規模を書かない
延長、面積、金額、件数。数字が出せる職種です。
3. 発注者としての立場を書かない
民間が探しているのは、その立場の経験です。
4. 図面や写真を添付する
出さないでください。一覧と方法の説明で足ります。
5. 変更契約を書かない
条件の変化に手続きで対応した経験です。
6. 資格だけを並べる
実務の対応を隣に書いてください。
まとめ
- 技術職は、3枚目に実績一覧の表を付けます。文章ではなく表にしてください
- 品確法第7条第1項は、発注関係事務として、仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、監督及び検査、施工状況等の確認及び評価を挙げています
- 自分が担当した工程を、この列挙に対応させて書けば、漏れなく示せます
- 一覧は、年度・工種・規模・役割・工程・特記の6項目。特記がいちばん読まれます
- 図面、現場の写真、積算の内訳、業者名は出しません。守秘の義務は退職後も続きます
- 変更契約を処理した件数は、発注者支援の会社で直接に評価されます
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よくある質問
設計は委託で、自分は監督だけです。実績と言えますか
言えます。むしろ、委託の管理は発注者にしかできない経験です。書くなら、「設計業務委託◯件(契約額の規模 約◯千万円)について、仕様の作成、成果品の照査、協議の記録の管理を担当」という形です。照査で何件の指摘をしたかを書ければ、さらに具体的になります。建設コンサルタントの側から見ると、発注者がどこを見て指摘するかを知っている人は、成果品の品質を上げる立場で価値があります。「設計はしていない」と前置きする必要はありません。担当した工程を、そのまま書いてください。
小規模な工事しか担当していません
規模の大小より、工程の網羅性のほうが読まれます。小規模でも、設計から検査まで一貫して担当しているなら、それは発注の全工程を知っているということです。大規模な工事は分業になるため、一部の工程しか担当しないこともあります。書くなら、「年間約◯件の工事について、設計から検査までを一貫して担当」という形です。加えて、件数の合計を書いてください。1件の規模が小さくても、年間の件数が多ければ、処理の量として伝わります。
技術職ですが、直近は内部の管理や予算の仕事です
両方書いてください。順番は応募先で変えます。技術の実務が求められる求人なら技術の一覧を前に、発注者支援や、公共の案件を扱う会社の管理の職種なら、予算と技術の両方を前に出します。技術を分かったうえで予算を扱える人は、数が多くありません。書くなら、「技術職として◯年の発注の経験を持ったうえで、◯年度から土木費約◯億円の予算の取りまとめを担当」という形です。技術と管理の両方を持っていることが、そのまま強みになります。予算の書き方は予算編成・査定の経験の書き方に整理しています。