選考対策 / 職務経歴書
予算編成・査定の経験の書き方
予算の経験は、民間でもっとも直接に読まれる経歴の1つです。
ところが、職務経歴書ではこの形になりがちです。
「財政課において、予算編成事務に従事。各課からの予算要求の査定を担当。」
「事務に従事」で、判断の記述が消えています。
査定は、事務ではありません。限られた財源の中で、どの事業にいくら配るかを決める仕事です。民間で同じことをしているのは、経営企画と財務です。
この記事では、査定する側と要求する側に分けて書き方を決めます。書類全体の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。
結論:どちらの側にいたかで、書き分ける
| 立場 | 書くことの重心 |
|---|---|
| 査定する側(財政部門) | 判断の基準と、部局を動かした過程 |
| 要求する側(事業部門) | 積算の根拠と、説明して通した過程 |
どちらも、民間で読まれます。査定側は経営企画・財務の仕事に、要求側は事業部門の予算計画の仕事に、それぞれ対応します。
両方を経験している方は、それが強みです。「配る側と、取りに行く側の両方を経験した」と書けます。
予算は、期限が法律で決まっています
予算編成の仕事の性格は、期限にあります。
地方自治法第211条第1項です。
> 普通地方公共団体の長は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に、議会の議決を経なければならない。この場合において、普通地方公共団体の長は、遅くとも年度開始前、都道府県及び(中略)指定都市にあつては三十日、その他の市及び町村にあつては二十日までに当該予算を議会に提出するようにしなければならない。
年度開始前に、議決を経なければならない。しかも、議会への提出の期限まで法律に書かれています。
つまり、予算編成は、動かせない期限に向けて、組織全体の資源の配分を確定させるプロジェクトです。延期という選択肢がありません。
民間でこれに当たるのは、事業計画の策定と、年度の予算の編成です。違いは、期限が法律で固定されていることです。
この「期限が動かない」という性格は、書いておく価値があります。
査定する側の書き方
悪い例
> 財政課において、各課からの予算要求の査定を担当した。
良い例
> 予算編成(一般会計約◯億円/担当◯部局)>> ◯部局、事業約◯件の要求(要求総額約◯億円)について査定を担当。要求の資料の様式を統一し、単価と数量の根拠を事業ごとに分解して比較できる形に変更。>> 判断の基準として、①法令上の義務の有無 ②過去3年の執行率 ③単価の他団体との比較 ④事業の終期の設定の4点を設定。廃止・縮小の案については、事業課と個別に協議し、◯件について見直しに合意。>> 歳入の見積り(市税約◯億円)の作成と、基金の繰入れの水準の検討を担当。予算の説明書の作成と、予算特別委員会での質疑の資料を担当。
「査定を担当」が、判断の記述になりました。
とくに「判断の基準を4点設定した」という部分が、民間で読まれます。基準を作れる人は、そのまま投資判断の仕事に接続します。
要求する側の書き方
> 事業部門としての予算要求(所管事業約◯件、要求額約◯億円)>> 所管する事業について、単価と数量に分解した積算を作成。前年度の執行の実績と、対象者数の推移をもとに、必要額を算定。新規の事業◯件について、事業の目的、対象、効果の見込み、終期を整理した資料を作成し、財政部門との協議◯回を経て予算化。>> 国の補助金の活用(補助率◯分の◯、補助額約◯億円)について、要綱の要件を確認のうえ申請を担当。一般財源の負担を約◯億円に抑制。
要求側で書くべきは、「通した」という結果ではなく、「どう積算して、どう説明したか」です。
補助金や交付金を使って、一般財源の負担を下げた経験は、民間でいえば外部資金の調達に近い形で読まれます。書き落としやすい部分です。
要求側でもう1つ書けるのが、査定を受けた経験です。財政部門からの指摘に対して、どう資料を作り直し、どこまで通したか。これは、社内で予算を獲得する過程そのものなので、事業部門の求人では具体的に読まれます。
金額は、「規模」として書く
予算の金額は、自分の成果ではなく、扱っていた規模です。その前提で書けば、問題ありません。
| ✕ 成果として書く | ○ 規模として書く |
|---|---|
| ◯億円の予算を削減 | 要求総額約◯億円に対し、◯件の事業について見直しを協議 |
| ◯億円の事業を実施 | 年間約◯億円、事業約◯件を所管 |
「削減額」を成果として前面に出すと、面接で「その削減は、制度の改正によるものではないか」と確認されます。自分が判断した部分と、外から決まった部分を分けて書いてください。
よくある失敗
1. 「査定事務に従事」で終える
判断の基準を書いてください。基準が書いていないと、事務処理として読まれます。
2. 削減額を成果として前に出す
自分が判断した部分を明示してください。制度の改正分と混ざります。
3. 担当した部局の数を書かない
◯部局、事業◯件。規模が読めます。
4. 歳入の側を書き落とす
税の見積り、基金、起債、補助金。歳入の経験は、資金の調達の経験として読まれます。
5. 補正予算と決算を書かない
期中の修正と、事後の検証です。予実の管理そのものなので、書いてください。
6. 公会計を過大に書く
財務書類の作成に関与した範囲を、正確に書いてください。
まとめ
- 予算の経験は、査定する側と要求する側に分けて書きます。両方の経験があれば、それが強みです
- 地方自治法第211条第1項は、毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定め、提出の期限(30日/20日)も規定しています
- 査定側は、判断の基準を書きます。基準を作った経験が、投資判断に接続します
- 要求側は、積算の根拠と説明の過程を書きます。補助金による一般財源の抑制は書き落としやすい部分です
- 金額は、成果ではなく規模として書きます。削減額を前面に出すと、要因の切り分けを求められます
- 面接では、現金主義と発生主義の違いを正確に答えるほうが通ります
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よくある質問
係の中で、予算の取りまとめをしていただけです
それも予算編成の経験です。係や課の要求を取りまとめる仕事は、部門予算の策定に当たります。書くなら、「◯係の要求を取りまとめ、課として約◯億円の要求を編成。単価と数量の根拠を各係と確認し、財政部門との協議に同席」という形です。取りまとめの仕事には、他の担当者の積算を検証する工程が含まれています。これは、部下や他部門の数字をチェックする経験として読まれます。加えて、前年度との差の要因を説明できる状態にする作業も含まれているはずです。差の要因の説明は、予実の管理そのものです。規模の大小より、工程を具体的に書くほうが効きます。
補助金の申請ばかりで、予算編成とは違う気がします
補助金の経験は、単独で書ける強みです。国や県の要綱を読み、要件に合うように事業を組み立て、期限までに申請し、交付決定を受け、実績報告まで出す。これは、外部資金の調達と、その後の報告の実務です。民間では、補助金・助成金の申請支援、公共事業の受注管理、研究開発の資金の管理などで同じ形の仕事があります。書くなら、「◯件、約◯億円の補助金について申請から実績報告までを担当。補助の要件と対象経費の区分を確認し、対象外の経費が混在しないよう執行の管理を実施」という形です。対象経費の区分の管理は、民間の経理でもそのまま求められます。
予算が削られてばかりで、成果と言えるものがありません
成果は、金額ではなく、決め方のほうに現れます。限られた枠の中で、どの事業を残し、どれを後ろに回したか。その判断をした経験があるなら、それが成果です。書くなら、「配分の枠が前年度比で減少した中で、法令上の義務のある事業と、終期の設定された事業を区分し、優先順位を整理」という形です。予算が潤沢な環境での配分より、制約下での配分のほうが、民間では評価されます。多くの会社が、限られた予算の中で順番を決める仕事をしているからです。削られたという結果ではなく、削る順番をどう決めたかを書いてください。