選考対策 / 職務経歴書
採用1〜3年目の経験をどう書くか
入庁して2〜3年の方から、いちばん多く伺う言葉です。
「まだ異動も1回で、任されている仕事も小さいので、書くことがありません」
書くことが無いのではなく、書き方が違うだけです。
3年目の書類に、10年目と同じものを求める採用担当者はいません。見られているのは、実績の大きさではなく、仕事の覚え方です。
この記事では、若手の4点に分けて書き方を決めます。書類全体の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本、数字の出し方は数字で書けない仕事を、数字で書く方法にあります。
結論:1〜3年目は、この4点で書く
| 点 | 何を書くか |
|---|---|
| ① 量 | 自分が処理した件数、対応した人数。規模ではなく自分の処理量 |
| ② 立ち上げの速さ | 着任から何か月で単独で処理できるようになったか |
| ③ 小さな改善 | 様式、記入例、手順書、表計算の集計。規模は問わない |
| ④ 扱った制度 | どの法令・制度を、どの範囲で扱ったか |
①と④は、全員が書けます。②と③は、思い出せば必ず出てきます。
最初の6か月から、「良好な成績」の確認が入っています
若手の方は、「まだ評価される段階ではない」とおっしゃることがあります。制度の上では、そうではありません。
地方公務員法第22条です。
> 職員の採用は、全て条件付のものとし、当該職員がその職において六月の期間を勤務し、その間その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。
採用は、全て条件付です。そして、6か月の間、職務を良好な成績で遂行したときに、正式なものになる。
つまり、入庁の直後から、職務の遂行そのものが確認の対象になっています。「まだ何も評価されていない」段階は、制度上は存在しません。
この条文は、職務経歴書にそのまま使えるわけではありません。ただ、自分の1年目を「見習い期間」として扱わなくてよい根拠にはなります。1年目から、職務を遂行していたと書いて差し支えありません。
悪い例と良い例
悪い例
> ◯◯市役所に入庁し、市民課に配属。窓口業務および庶務業務に従事。上司の指導のもと、日々の業務に取り組んでいます。
「上司の指導のもと」が余計です。1〜3年目であることは、在籍の年数から分かります。
良い例
> ◯◯市 市民課 戸籍住民係(◯年4月〜現在)>> 住民異動の届出、戸籍の届出の受付と審査を担当。1日あたり約◯件、年間約◯件の窓口対応を担当しています。着任から約◯か月で、転入・転出・転居の届出を単独で処理できる状態になりました。>> 記載の不備による再来庁が多かったため、届出の種類ごとに必要な持ち物をまとめた案内を作成。窓口で渡す運用に変更し、確認の手戻りが減りました。>> 扱っている制度は、住民基本台帳法に基づく届出、戸籍法に基づく届出、マイナンバーカードの交付に関する事務です。
3年目でも、4点が全部入っています。
②の「着任から◯か月で単独処理」は、若手の書類でいちばん効く1行です。中途採用では、立ち上げの速さがそのまま見られます。
③の「小さな改善」の探し方
大きな改善である必要はありません。次のどれかに、心当たりがあるはずです。
| 探す場所 | 例 |
|---|---|
| 自分が最初に困ったこと | 分かりにくかった手順を、自分用にメモ→後輩に渡せる形にした |
| 手戻りが多い作業 | 記入例を作った、チェックの表を作った |
| 手作業の集計 | 表計算で自動化した、様式を統一した |
| 問い合わせの多い質問 | 想定問答をまとめた、案内の文面を作った |
| 引継ぎ | 前任者からの口頭の引継ぎを、文書にまとめた |
「自分用に作ったメモ」でも構いません。それを他の人が使える形にしたかどうかが分かれ目です。
この1行があると、「言われたことだけをやる人ではない」と読まれます。規模は問われません。
④の「扱った制度」を書く理由
若手の書類で、意外に効くのがここです。
扱った法令・制度の名前は、そのまま専門の領域を示します。住民基本台帳法、戸籍法、地方税法、介護保険法、児童福祉法、建築基準法。どれも、民間側に関係する会社があります。
書き方は、「◯◯法に基づく◯◯の事務」で足ります。条文まで書く必要はありません。
同じ3年でも、扱った制度が書いてあるかどうかで、応募先の見え方が変わります。
第二新卒の枠で見られているもの
入庁3年以内であれば、第二新卒の枠で募集している求人にも当たります。この枠では、書類の比重が変わります。
| 通常の中途採用 | 第二新卒の枠 |
|---|---|
| 実績と即戦力性 | 立ち上げの速さと、学ぶ姿勢 |
| 職務経歴書が中心 | 志望動機と、選んだ理由の説明が中心 |
| 同じ職種の経験が前提 | 職種の変更を前提にしている |
職務経歴書で勝負が付きにくいぶん、④の扱った制度と、②の立ち上げの速さが効きます。
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よくある失敗
1. 「上司の指導のもと」と書く
書かないでください。年数から分かります。自分がやった範囲を書いてください。
2. 件数を書かない
1日あたりの件数でも構いません。量が書いてあるだけで、仕事の像が立ちます。
3. 改善は大きくないと書けないと考える
案内の1枚でも書けます。他の人が使える形にしたかどうかです。
4. 扱った制度を書かない
法令の名前は、専門の領域を示します。書いてください。
5. 現職の不満を志望動機にする
「分かったこと」から始めてください。不満から始めると、ほぼ止まります。
6. 経験が足りないことを謝る
3年目に10年分を求める会社は、そもそも3年目を募集しません。
まとめ
- 1〜3年目は、①量 ②立ち上げの速さ ③小さな改善 ④扱った制度の4点で書きます
- 地方公務員法第22条は、採用を全て条件付とし、6か月間、職務を良好な成績で遂行したときに正式のものとなると定めています。1年目から職務の遂行は確認の対象です
- 「上司の指導のもと」は書かない。年数は在籍の期間から分かります
- 「着任から◯か月で単独で処理」は、この年次でいちばん効く1行です
- 改善は案内の1枚でも書けます。他の人が使える形にしたかどうかが分かれ目です
- 第二新卒の枠では、職務経歴書より、選んだ理由の説明の比重が上がります
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よくある質問
1年目です。まだ半年しか働いていません
半年でも、①の量と④の扱った制度は書けます。ただし、この時期は、書類を作ること自体より、切り分けを先にするほうが実用的です。合わないと感じている原因が、仕事の種類なのか、配属された部署なのか、働き方なのか。この3つは、対処がまったく違います。部署の問題なら、異動で解ける可能性が高いです。働き方の問題なら、所属の制度(時差出勤、育児や介護の制度、休暇の取り方)で解ける場合があります。仕事の種類そのものが合わないと判断できたときに、書類を作れば足ります。切り分けの相談だけでも構いません。
民間の新卒の採用に落ちて公務員になりました。それを聞かれますか
聞かれることはありますが、答え方は難しくありません。「公務員を選んだ理由」と「いま民間を見ている理由」がつながっていれば足ります。避けたほうがよいのは、当時の就職活動の結果を説明しすぎることです。聞かれているのは過去の経緯ではなく、いまの判断の根拠です。答え方の例としては、「入庁して◯年、制度を運用する側で仕事をしてきた。その中で、制度に合わせて仕組みを作る側の仕事に関心が移った」という形です。役所での経験を否定せずに、次につながります。経歴の見せ方は自己PRの作り方|公務員の実績を民間の言葉にするにも整理しています。
職務経歴書が1枚に満たないのですが、問題ありませんか
問題ありません。3年目の職務経歴書が2枚あると、むしろ水増しを疑われます。1枚に、4点が具体的に書いてあれば十分です。分量を増やすために、担当していない業務や、研修の一覧を並べる必要はありません。ただし、保有している資格と、扱えるソフトの範囲は書いてください。簿記、宅建、情報処理の資格、表計算やデータベースの扱い。この年次では、資格が実務の不足を補う材料になります。取得を検討している資格があれば、「◯年◯月受験予定」と書いて構いません。