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データ分析|EBPMの延長で身につける範囲
統計や指標を扱ってきた方から、「データ分析の職種に移れるか」というご相談を伺います。
すでに身についている部分と、足すべき部分を分けてください。
この記事では、その線引きを扱います。
公的統計には、基本理念が定められています
統計法第3条です。
> 公的統計は、行政機関等における相互の協力及び適切な役割分担の下に、体系的に整備されなければならない。>> 2 公的統計は、適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない。>> 3 公的統計は、広く国民が容易に入手し、効果的に利用できるものとして提供されなければならない。>> 4 公的統計の作成に用いられた個人又は法人その他の団体に関する秘密は、保護されなければならない。
方法の合理性、中立性と信頼性、利用しやすさ、秘密の保護。
この4つが、条文として置かれています。
行政で数字を扱ってきた方は、この規律を前提にしてきたということです。
そして、この前提は、民間でも必要とされます。
都合のよい切り取りをしない、出典を示す、個人が特定される形で出さない。
これらは、分析の技術より前の部分です。
すでに身についていること
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 出典の確認 | どの統計の、いつの数字か |
| ② 定義の確認 | 何を数えたものか |
| ③ 経年の比較 | 前年、5年前との比較 |
| ④ 他団体との比較 | 同規模の団体との比較 |
| ⑤ 秘密の保護 | 個人が特定される形で出さない |
| ⑥ 説明の作法 | 数字の意味を言葉で説明する |
②が、実務では最も重要です。
同じ「世帯数」でも、定義が違えば比べられません。
この確認の習慣は、民間の分析でも必要とされます。
集計の対象が違うまま比べて、誤った結論を出す。
この事故は、どの組織でも起きています。
足すべき範囲
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 仮説を立てる | 何を確かめたいのか |
| ② 加工する | 集計、結合、整形 |
| ③ 可視化する | 見て分かる形にする |
| ④ 基本的な統計の考え方 | 平均と中央値、ばらつき、相関 |
| ⑤ ツール | 表計算、データベース、分析の環境 |
| ⑥ 伝える | 意思決定につなげる |
①が起点です。
行政の統計は、「現状を正確に示す」ことが中心になります。
分析の職種では、「何を確かめ、何を決めるか」から入ります。
この順序の違いを理解しておいてください。
④について。
平均だけで語らない、ばらつきを見る、相関と因果を分ける。
この3点を押さえるだけでも、読み方が変わります。
どこまで学ぶか
| 目的 | 必要な範囲 |
|---|---|
| 会社を見る・数字を読む | ①〜④の考え方で足ります |
| 業務で集計を担う | ⑤のツールが必要 |
| 分析を職種とする | ①〜⑥を体系的に |
2行目と3行目を分けてください。
「データ分析」という言葉が指す範囲は、求人によって大きく違います。
集計と報告が中心の求人と、仮説の設計から担う求人では、求められるものが違います。
求人票の仕事内容の欄で確認してください。
読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。
書き方の例
悪い例
> 統計の作成と、データの分析を担当しました。
良い例
> ◯◯に関する統計の作成を担当。年間約◯件のデータについて、定義を確認のうえ集計し、経年と他団体との比較を実施。◯◯の傾向を把握し、翌年度の事業の対象の設定に反映。公表にあたり、個人が特定されない形に整理したうえで、数値の意味を説明する資料を作成。
「件数」「確認」「比較」「反映」「公表の配慮」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| どの数字を扱ったか | 統計の種類、件数 |
| 定義の確認の仕方 | 何を確かめたか |
| 比較の方法 | 経年、他団体 |
| 施策への反映 | 数字から何を決めたか |
| 使えるツール | 表計算、データベース |
4行目です。
「数字を見て、何を決めたか」を用意しておいてください。
集計しただけでは、分析の経験として読まれにくいことがあります。
なお、特定の対象者が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。
どの転職先で効くか
| 領域 | 使いどころ |
|---|---|
| ① 自治体向けの事業 | 公的統計の扱いが分かる |
| ② 調査・コンサルティング | 統計の読み方 |
| ③ 事業の企画 | 効果の測定 |
| ④ 集計・報告の部門 | 定義の確認、正確さ |
| ⑤ 公共分野の分析 | 制度の理解 |
①と⑤について。
自治体を顧客とする事業では、公的統計を使う場面があります。
どの統計に何が載っているか、定義がどうなっているか。
これを知っている人は、外から入った人には多くありません。
探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。
経験の言い換えから相談することもできます。
学ぶ前に考えること
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| ① すでにある経験 | 統計の作成、比較、公表 |
| ② 目的 | 読むためか、業務で担うためか |
| ③ 応募したい求人の範囲 | 集計中心か、設計から担うか |
| ④ 期限 | 応募の時期までに間に合うか |
②で必要な範囲が変わります。
なお、資格や講座を取れば転職できる、という関係にはありません。
どの数字を、どう扱い、何を決めたかが、評価の対象です。
よくある失敗
1. 「分析の経験」とだけ書く
どの水準かが伝わりません。
2. 定義の確認を書かない
実務が分かっている証明になります。
3. 何を決めたかを書かない
集計だけでは読まれにくいです。
4. 求人の範囲を確認しない
集計中心か、設計からかで違います。
5. 平均だけで語る
ばらつきも見てください。
6. 相関と因果を混ぜる
分けて説明してください。
7. 公表の配慮に触れない
秘密の保護は条文に置かれています。
8. 講座を受ければ進めると考える
どう扱い何を決めたかが評価の対象です。
まとめ
- 統計法第3条は、体系的な整備、適切かつ合理的な方法と中立性・信頼性、容易な入手と効果的な利用、秘密の保護を基本理念としています
- 行政で身についているのは、出典の確認、定義の確認、経年と他団体の比較、秘密の保護、説明の作法です
- 足すのは、仮説、加工、可視化、基本的な統計の考え方、ツール、伝えることです
- 「データ分析」が指す範囲は求人によって違います。仕事内容の欄で確認してください
- 定義を確認する習慣を書いてください。実務が分かっている証明になります
- 数字を見て何を決めたかを書いてください
- 出せない数字を見分ける判断は、民間でも必要とされます
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
表計算しか使ったことがありません
求人の範囲によります。集計と報告が中心の業務であれば、表計算の実務で足りることがあります。一方、大量のデータを扱う業務では、データベースや分析の環境の操作が要件になることがあります。判断の目安は、求人票の応募条件です。「表計算の実務経験」と書かれていれば該当します。なお、使えるツールは、正確に書いてください。できないことを書くと、入社後に困ります。「表計算で、関数と集計の機能を用いた集計・分析の経験あり」という形で、範囲を明示してください。
統計の専門的な知識がありません
求められる水準は、職種によって違います。専門的な分析を担う職種では、統計の知識が要件になります。一方、集計、報告、資料の作成が中心の職種では、正確さと定義の確認のほうが重視されることがあります。なお、平均と中央値の違い、ばらつきの見方、相関と因果の区別の3点は、どの職種でも押さえておくと読み方が変わります。体系的に学ぶかどうかは、②の目的で判断してください。応募の時期が近い場合は、優先順位を下げて差し支えありません。
公的統計を使う仕事には、どんなものがありますか
自治体を顧客とする事業が中心です。計画の策定の支援、調査、施策の効果の測定、立地や需要の分析。これらでは、公的統計が基礎の資料になります。どの統計に何が載っているか、定義や公表の時期がどうなっているか。この理解は、外から入った人には時間がかかります。書類には、「◯◯の統計を用いて、◯◯の分析を実施」と、使った統計の名称を書いてください。具体が伝わります。なお、統計の分類や基準の仕組みは業界の選び方と、志望動機への落とし方にも触れています。