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プレゼンテーション|説明と提案は別の技術
「人前で話すのは慣れているが、提案は苦手」というご相談を伺います。
説明と提案は、目的が違う技術です。
この記事では、違いと、足すべきものを扱います。
説明は、制度上の義務として組み込まれています
地方自治法第121条第1項です。
> 普通地方公共団体の長(略)並びにその委任又は嘱託を受けた者は、議会の審議に必要な説明のため議長から出席を求められたときは、議場に出席しなければならない。
「審議に必要な説明のため」と書かれています。
説明することが、制度の中に義務として置かれているということです。
そして、問われるのは「聞かれたことに正確に答えること」です。
提案して、決めてもらうことではありません。
行政で身につくのは、この形の技術です。
説明と提案の違い
| 項目 | 説明 | 提案 |
|---|---|---|
| 目的 | 正確に理解してもらう | 決めてもらう |
| 起点 | 相手の問い | こちらの目的 |
| 構成 | 経緯、根拠、現状 | 結論、理由、依頼 |
| 網羅性 | 必要 | 絞る |
| 終わり方 | 答え終える | 次の行動を求める |
| 想定する反応 | 追加の質問 | 承諾、保留、断り |
3行目と5行目が、最も大きな違いです。
説明では、経緯から順に述べるのが自然です。
提案では、結論から述べ、最後に行動を求めます。
この順序を入れ替えるだけで、伝わり方が変わります。
行政で身についていること
| 技術 | 内容 |
|---|---|
| ① 根拠の明示 | どの条文、どの資料によるか |
| ② 想定問答 | 問われることを先に洗い出す |
| ③ 正確さ | 事実と推測を分ける |
| ④ 簡潔さ | 限られた時間で答える |
| ⑤ 関係者との事前の調整 | 論点を詰めておく |
| ⑥ 記録 | 答えた内容を残す |
②が、民間でも強く効きます。
提案の場でも、質問への備えが結果を左右します。
「想定される問いを洗い出し、答えを用意しておく」という習慣は、そのまま使えます。
提案で足すもの
| 足すもの | 内容 |
|---|---|
| ① 結論を先に置く | 最初の30秒で伝える |
| ② 相手の利得 | 相手にとって何がよいか |
| ③ 選択肢 | 案を複数示し、推奨を述べる |
| ④ 数字の根拠 | 費用、効果、期間 |
| ⑤ 行動の依頼 | 次に何をしてほしいか |
| ⑥ 想定される反対への備え | 先に触れておく |
①と⑤が要です。
⑤について。
説明では、答え終えれば終わりです。
提案では、「◯月までにご判断いただきたい」「次回、詳細をお持ちします」と、次の動きを示して終わります。
この一言がないと、その場で止まります。
資料の作り方の違い
| 項目 | 行政の資料 | 提案の資料 |
|---|---|---|
| 分量 | 網羅する | 絞る |
| 順序 | 経緯から | 結論から |
| 図表 | 正確さを優先 | 伝わりやすさを優先 |
| 注記 | 詳しく | 必要最小限 |
| 想定する読み方 | 手元で読む | その場で見る |
5行目です。
行政の資料は、手元で読まれることを前提に作られます。
提案の資料は、その場で見ながら聞かれます。
1枚に載せる情報の量が変わります。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 説明した相手と場面 | 議会、住民、事業者、他団体 |
| 準備の仕方 | 想定問答、資料 |
| 難しかった場面 | 3件、状況と対応 |
| 提案の経験 | 庁内での提案でも可 |
| 資料の作り方 | 分量、構成 |
4行目です。
外部への提案の経験がなくても、庁内での提案は経験しているはずです。
予算の要求、事業の企画、制度の改正の提案。
これらは、決めてもらうための説明です。
なお、特定の事案が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。
書き方の例
悪い例
> 議会対応や住民説明会を担当しました。
良い例
> ◯◯の事業について、住民説明会◯回(延べ参加者約◯名)の企画と進行を担当。想定される質問◯件を事前に整理し、根拠の資料を準備。説明の後に寄せられた意見◯件を分類し、事業の内容と周知の方法に反映。庁内では、◯◯の制度の改正について、現状の課題と◯案を比較した資料を作成し、課内会議で提案。
「回数」「準備」「反映」「提案」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
経験の言い換えから相談することもできます。
学ぶ前に考えること
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| ① すでにある経験 | 説明の場面、準備の作業 |
| ② 何が足りないか | 結論から話す、行動を求める |
| ③ 応募したい求人の条件 | 提案の経験が挙がっているか |
| ④ 期限 | 応募の時期までに間に合うか |
②で分かれます。
話すこと自体に慣れているなら、足すのは構成と終わり方です。
講座を受けるより、手元の資料を組み替えて練習するほうが早いことがあります。
なお、講座を受ければ転職できる、という関係にはありません。
誰に、何を、どう伝えてきたかが、評価の対象です。
どの転職先で効くか
| 領域 | 使いどころ |
|---|---|
| ① 行政が相手の事業 | 根拠を求められる場面が多い |
| ② 導入の支援 | 顧客の社内での説明 |
| ③ 研修・教育 | 説明の設計 |
| ④ 事業の企画 | 社内の提案 |
| ⑤ 広報・渉外 | 対外の説明 |
②について。
顧客の担当者が、社内で説明するための材料を用意するという場面があります。
自分が話すのではなく、相手が話せるようにする。
これは、答弁の資料を作ってきた経験と同じ形です。
誰が、どこで、何を問われるかを想像して作るという点が共通します。
探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。
よくある失敗
1. 説明と提案を同じものと考える
目的が違います。
2. 経緯から話し始める
提案では結論が先です。
3. 行動の依頼で終わらない
その場で止まります。
4. 想定問答の作成を書かない
民間でも必要とされる準備です。
5. 網羅しようとする
提案では絞ってください。
6. 庁内での提案を書かない
決めてもらうための説明です。
7. 資料の分量を変えない
その場で見られる前提にしてください。
8. 講座を受ければ進めると考える
誰に何を伝えてきたかが評価の対象です。
まとめ
- 地方自治法第121条第1項は、議会の審議に必要な説明のため、議長から求められたときは議場に出席しなければならないとしています。説明は制度上の義務です
- 説明は「正確に理解してもらう」、提案は「決めてもらう」技術です
- 提案では、結論を先に置き、行動の依頼で終わってください
- 行政で身につくのは、根拠の明示、想定問答、正確さ、簡潔さ、事前の調整、記録です
- 想定問答を作れることは、民間の提案の場でもそのまま使えます
- 資料は、その場で見られる前提で分量を絞ってください
- 根拠は捨てず、出す順序を変えてください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
議会での説明は、自分がしたわけではありません
準備の作業を書いてください。答弁に立つのが管理職であっても、想定問答の作成、根拠の資料の準備、関係課との確認は担当が行うことが一般的です。書き方は、「議会での答弁に備え、想定される質問◯件を整理し、根拠の資料と答弁の案を作成」という形です。準備の作業そのものが、評価の対象になります。なお、住民説明会や事業者への説明を担当した経験があれば、併せて書いてください。相手と回数、準備の内容を書くと、範囲が伝わります。
人前で話すのが苦手です
話す技術と、準備の技術は別です。提案の場で結果を左右するのは、準備のほうであることが少なくありません。資料の構成、想定される質問への答え、次の行動の依頼。これらは、話し方に自信がなくても整えられます。なお、求人によって、話す場面の多さが違います。求人票の仕事内容の欄で、「提案」「折衝」「説明」といった語がどの程度出てくるかを確認してください。読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。苦手を理由に候補を狭めすぎないでください。
提案の資料は、どう練習すればよいですか
手元の資料を組み替えるのが早いです。過去に作った説明の資料を1つ選び、結論を1枚目に置き、根拠を後ろに回す形に作り直してみてください。そのうえで、「この提案で、相手に何をしてほしいか」を最後の1枚に書く。これだけで、提案の形になります。なお、分量を減らす練習も併せて行ってください。1枚に載せる情報を減らし、その場で見て分かる形にする。行政の資料は、網羅性を優先するため密になりがちです。削る作業が、最も練習になります。