自治体別 / 市
藤枝市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
藤枝市のラスパイレス指数101.5は、同じ類似団体類型区分の101団体のなかで1番目です。
そして、平均給与月額と国ベースの落ち幅58,265円も、101団体で1番目です。
「国と比べていちばん高い」と「国の制度に合わせ直すといちばん落ちる」が、同じ市で同居します。
矛盾ではありません。2つの数字が、別のものを測っているからです。
藤枝市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、藤枝市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 藤枝市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.5 | 1番目 |
| 平均年齢 | 39.9歳 | 89番目(若い側) |
| 平均給料月額 | 318,000円 | 37番目 |
| 諸手当月額 | 91,135円 | 2番目 |
| 平均給与月額 | 409,135円 | 9番目 |
| 地域手当以外 | 81,595円 | 3番目 |
平均給与月額(国ベース)は350,870円。地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも3%です。
地域手当3%を給料月額にかけると、概算で9,540円。諸手当91,135円からこれを引くと、残りは81,595円。総額の19.9%になります。
2つの「1番目」は、別のものを測っています
ラスパイレス指数は、給料表の水準の比較です。職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えたうえで、給料月額だけを比べます。諸手当は入りません。
平均給与月額(国ベース)は、国の制度に合わせて計算し直した総額です。団体ごとの手当の付け方の違いが、ここで落ちます。
藤枝市は、給料表が101団体でいちばん高く、手当の部分もいちばん厚い。
だから、指数で1番目になり、国ベースへの落ち幅でも1番目になります。
同じ方向の事実が、2つの数字に別々の形で出ているだけです。
指数1番目でも、給料月額は37番目です
もうひとつ、注意しておきたいことがあります。
指数101.5は1番目ですが、平均給料月額318,000円は37番目です。
理由は年齢です。平均年齢39.9歳は101団体で89番目。若いほうです。
指数は年齢構成を揃えて計算するので、その違いが消えます。実額は消えません。
「指数1番目」は「給料表が高い」という意味であって、「もらっている額が高い」という意味ではありません。
同じ3%の13団体で並べると
この101団体のうち、地域手当が3%の団体は13あります。
給料月額の幅は44,700円、総額の幅は53,234円。給料月額が総額の差の84.0%を説明します。
この連載では母集団を変えながら同じ計算をしてきましたが、84.0%はこれまででいちばん高い数字です。地域手当が全団体0%の区分(34団体)でも76.5%でした。
率が3%と低く、13団体という母数があるとき、給料表の差がほぼそのまま総額の差になります。
県内の数字は静岡県職員の転職に、同じ区分の市は今治市職員の転職と各務原市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
藤枝市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 統計調査の実施・集計・公表 | データ整備、分析、管理会計 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 茶業・農業の振興 | 生産管理、商品企画、事業支援 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「判断のために作り、作った人の手を離れて使われる」実務
藤枝市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
統計法第1条は、この法律が、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報であることにかんがみ、公的統計の作成及び提供に関し基本となる事項を定めることにより、公的統計の体系的かつ効率的な整備及びその有用性の確保を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とすると定めています。
「合理的な意思決定を行うための基盤」。
統計は、それ自体が目的ではありません。
誰かが何かを決めるために作られます。
そして、決める人は、作った人ではありません。
ここが、この仕事のいちばん難しいところです。
作るときには、誰がどう使うか分かりません。
使う人は、どう作られたか知りません。
定義、対象、時点、除外したもの。作った人には当たり前のことが、使う人には見えません。
だから、注釈が要ります。そして注釈は、たいてい読まれません。
実務は、次のような形になります。
- 調査は、決められた手順で毎回同じように行う
- 同じようにしないと、前年と比べられない
- 比べられなければ、判断の材料にならない
- ところが、実態は毎年変わっていきます
- 手順を変えると比べられなくなり、変えないと実態から離れます
企業でも、まったく同じ問題があります。
売上の集計、在庫の数え方、稼働率、顧客数、不良の率。どれも、誰かが定義を決め、誰かが集め、別の誰かが判断に使います。
そして多くの企業で、こうなります。数字は毎月出てきます。
出てくるので、正しいと思われます。
ところが、定義が何年も前に決められたまま、実態と合わなくなっています。
気づいている人は、集計している担当者だけです。
そして、その担当者は判断の場にいません。
「この数字はこういう理由で実態とずれています」と言える人が、会議室にいない。
求人票では、データ整備、管理会計、経営企画、分析、品質保証といった名前で書かれています。
書くときのこつは、集計したと書かないことです。定義のどこが実態とずれてきたと気づいたか、直すことと比較できることのどちらを取ったか、その判断を使う人にどう伝えたか、そして数字が実際に判断に使われたかどうか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
藤枝で、どの経験が値になるか
1. 定義のずれに気づいた経験
数字を作る側にいないと気づけません。これを言葉にできる人は、企業にほとんどいません。
2. 直すか揃えるかを判断した経験
直せば実態に合い、比べられなくなる。この二択を引き受けた経験は強く読まれます。
3. 使う人に注意点を伝えた経験
注釈を読ませる工夫をした経験は、そのまま分析や管理会計で効きます。
4. 毎年同じことを同じようにやった経験
変えないことを守るのも仕事です。続けた年数そのものが材料になります。
県内・県外の求人を見るときに
藤枝市は静岡県の中部にあり、静岡市に近い位置です。県中部全域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「統計調査を担当」では読み手に何も残りません。定義のどこが実態とずれてきたと気づき、どちらを取ったか。
伝わらなかった話を書く
注意点を添えても、そのまま使われることがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、調査の対象数、調査員の人数、続けた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
平地と山間部の両方を見てきた技術者は、扱える人が限られる
市街地の道路と、山あいの集落をつなぐ道。条件のまったく違う区域を同じ市として管理してきた経験は、建設コンサルタントや設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。統計や企画に関わったなら、調査の対象数、集計の項目数、予算の規模、続けた年数で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 藤枝市の一般行政職はラスパイレス指数101.5、平均給与月額409,135円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数101.5は101団体で1番目。国ベースへの落ち幅58,265円も1番目です
- 指数は給料表だけを、落ち幅は手当の部分を映しています。矛盾ではありません
- 指数1番目でも、平均給料月額は37番目。平均年齢39.9歳が89番目と若いからです
- 同じ3%の13団体では、給料月額が総額の差の84.0%を説明します。この連載でいちばん高い数字です
- 地域手当3%の概算9,540円を引くと、残る81,595円(総額の19.9%)が人ごとに違う部分
よくある質問
指数1番目と落ち幅1番目が両立するのはなぜですか
測っているものが違うからです。指数は給料表の水準だけを、国ベースへの落ち幅は手当の部分を映します。藤枝市は給料表が101団体でいちばん高く、手当の部分も厚い。同じ方向の事実が、2つの数字に別々の形で出ています。
指数1番目なら、もらっている額も1番目ですか
違います。平均給料月額318,000円は37番目です。平均年齢39.9歳が101団体で89番目と若く、指数は年齢構成を揃えて計算するためその違いが消えるからです。
諸手当91,135円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当3%の概算9,540円を除いた、81,595円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は19.9%で、101団体で3番目に厚い数字です。