自治体別 / 市
今治市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
今治市が属する類似団体類型区分には、101の団体があります。この連載でこれまで扱ってきたどの区分より大きな母集団です。
そして、この101団体では給料月額が総額の差の67.2%を説明します。
地域手当0%の団体だけに絞っても、68.3%。1.1ポイントしか動きません。
揃えても揃えなくても変わらない。この結果が、これまで積み上げてきた話の答えになります。
今治市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、今治市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 今治市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 96.5 | 61番目 |
| 平均年齢 | 45.0歳 | 4番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 325,700円 | 16番目 |
| 諸手当月額 | 66,356円 | 32番目 |
| 平均給与月額 | 392,056円 | 23番目 |
| 地域手当以外 | 66,356円 | 25番目 |
平均給与月額(国ベース)は359,880円。地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。
地域手当が0%なので、諸手当66,356円のすべてが人ごとに違う部分です。総額の16.9%になります。
指数61番目なのに、給料月額16番目
指数は下半分にあります。給料月額は上位です。
理由は年齢です。平均年齢45.0歳は、101団体で4番目に高い数字です。
宇部市職員の転職で書いたとおり、指数は職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えて計算するので、年齢構成の違いが消えます。平均給料月額は在職者の実額なので消えません。
年齢構成が高い団体では、指数が低くても実額は上に出ます。
母集団を変えて、同じ計算をしてきました
この連載では、区分や地域手当でくくり方を変えながら、「総額の差のうち、給料月額の差で説明できるのは何割か」を数えてきました。今回で8通りになります。
| くくり方 | 団体数 | 給料月額が説明する割合 |
|---|---|---|
| 地域手当が全団体0%の区分 | 34 | 76.5% |
| 今治市の区分のうち地域手当0% | 77 | 68.3% |
| 地域手当6%でそろえた市 | 9 | 67.9% |
| 今治市の区分の全体 | 101 | 67.2% |
| ひとつ上の区分の全体 | 72 | 46.0% |
| 地域手当3%でそろえた団体 | 5 | 42.8% |
| ふたつ上の区分の全体 | 35 | 39.5% |
| 中核市 | 62 | 36.1% |
効いているのは団体の数ではありません。
中核市は62団体もあるのに36.1%です。地域手当が0%から20%まで大きくばらついているからです。
今治市の区分は、101団体のうち77団体がすでに0%です。もともとばらつきが小さいので、0%だけに絞っても結果がほとんど動きません。
給料月額が総額を説明するかどうかは、母集団の大きさではなく、地域手当がどれだけ揃っているかで決まる。
県内の数字は愛媛県職員の転職に、同じ県の市は松山市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
今治市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
同じ区分の101団体のうち、市は31です。残る70は町と村で、この義務を負っていません。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 地域ブランドの認定・名称の管理 | ブランドマネジメント、品質保証 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 港湾・航路・島しょ部の交通 | インフラ運営、物流企画 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「信用は、名前のほうに溜まる」実務
今治市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
商標法第1条は、この法律が、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もつて産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とすると定めています。
守るのは商標そのものではありません。「業務上の信用」です。
名前に価値があるのではありません。
その名前を使って、まともな物を作り続けてきた実績が、名前のほうに溜まっていきます。
だから、名前を勝手に使われると、溜めた信用がそのまま持っていかれます。
作った人は何も失っていないように見えます。物も設備も技術もそのままです。
失っているのは、名前に溜めたものだけです。
そして、それは目に見えません。
実務は、次のような形になります。
- 使い続けることでしか、信用は溜まらない
- 溜まるまでに、何年もかかる
- 崩れるのは、一度で足りる
- そして、守れているあいだは成果が見えません
- 問題が起きてはじめて、守る仕事があったことが分かります
企業でも、まったく同じことが起きています。
商品名、サービス名、社名、そして社内での部署の評判。どれも、積み上げるのに何年もかかり、崩れるのは一度です。
そして多くの企業で、こうなります。名前を守る仕事に、人がつきません。
何も起きていないときは、何もしていないように見えるからです。
評価されるのは、問題が起きたあとに対応した人です。起きないようにしていた人は、評価のしようがありません。
そして、守る仕事をやめてしばらくは、何も起きません。
何年か経ってから、まとめて起きます。
求人票では、品質保証、知的財産、法務、広報、ブランドマネジメントといった名前で書かれています。
書くときのこつは、守ったと書かないことです。何が崩れると取り返しがつかないと判断したか、崩れる前にどの兆候を見ていたか、誰に何をやめさせたか、そして守れていることをどう示したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
今治で、どの経験が値になるか
1. 取り返しのつかないものを見分けた経験
直せるものと、直せないものを分ける。この判断ができる人は、企業にほとんどいません。
2. 何も起きていない状態を保った経験
成果が見えない仕事を続けたことは、それ自体が書ける材料です。
3. 身内にやめさせた経験
外からの侵害より、内側のゆるみのほうが多い。そこを止めた経験は強く読まれます。
4. 守れていることを数字で示した経験
起きなかったことを説明する。これができると、その仕事に予算がつきます。
県内・県外の求人を見るときに
今治市は愛媛県の北東部にあり、しまなみ海道で広島県と結ばれています。瀬戸内の両岸を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「地域ブランドを担当」では読み手に何も残りません。何が崩れると取り返しがつかないと判断し、どの兆候を見ていたか。
止められなかった話を書く
やめさせようとして、通らなかったことがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象の事業者数、扱った件数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海と橋を見てきた技術者は、扱える人が限られる
港湾、護岸、離島の水道と道路、塩害を受ける構造物。海に面した施設を管理してきた経験は、建設コンサルタントや設備・造船関連の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。産業振興やブランドに関わったなら、対象の事業者数、扱った件数、予算の規模、関わった年数で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 今治市の一般行政職はラスパイレス指数96.5、平均給与月額392,056円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 今治市の区分は101団体で、この連載で扱ったなかで最大の母集団です
- 給料月額が総額の差の67.2%を説明します。0%の77団体に絞っても68.3%で、1.1ポイントしか動きません
- 効いているのは団体の数ではなく、地域手当がどれだけ揃っているかです(中核市は62団体で36.1%)
- 指数61番目なのに給料月額16番目なのは、平均年齢45.0歳が101団体で4番目に高いから
- 地域手当0%なので、諸手当66,356円(総額の16.9%)のすべてが人ごとに違う部分
よくある質問
団体の数が多いほど、給料月額の説明力が上がるのですか
上がりません。中核市は62団体もありますが36.1%です。地域手当が0%から20%までばらついているからです。今治市の区分は101団体のうち77団体が0%なので、もともとばらつきが小さく、絞っても結果がほとんど動きません。
ラスパイレス指数が61番目なのに給料月額が16番目なのはなぜですか
平均年齢45.0歳が101団体で4番目に高いからです。指数は職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えて計算するので年齢構成の違いが消えますが、平均給料月額は在職者の実額なので消えません。
諸手当66,356円のうち、自分に関係するのはどこですか
全部です。地域手当が0%なので、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。給料月額に連動して自動的に動く部分がないので、去年の支払金額が翌年もほぼそのまま使えます。