自治体別 / 中核市
八王子市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
八王子市のラスパイレス指数は97.0。中核市62市のなかでは、低いほうです。
ところが平均給与月額436,960円は、62市のうち4番目に高い数字です。
指数と総額が、これだけ離れている団体は多くありません。理由は2つあります。
八王子市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、八王子市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 八王子市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.0 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 平均給料月額 | 321,000円 |
| 諸手当月額 | 115,960円(中核市62市で5番目) |
| 平均給与月額 | 436,960円(中核市62市で4番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 387,461円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 15% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 15% |
総額が高い中核市
| 市 | 平均給与月額 | 地域手当 |
|---|---|---|
| 豊田市 | 460,090円 | 16% |
| 西宮市 | 452,766円 | 15% |
| 大津市 | 437,148円 | — |
| 八王子市 | 436,960円 | 15% |
| 八尾市 | 436,157円 | — |
地域手当15%は、中核市では豊田市の16%に次ぐ水準です。高槻市、西宮市と並びます。
柏市と並べる
| 項目 | 八王子市 | 柏市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.0 | 102.0 | 5.0ポイント |
| 平均年齢 | 43.2歳 | 39.0歳 | 4.2歳 |
| 平均給料月額 | 321,000円 | 304,500円 | 16,500円 |
| 諸手当月額 | 115,960円 | 79,516円 | 36,444円 |
| 平均給与月額 | 436,960円 | 384,016円 | 52,944円 |
| 地域手当 | 15% | 6% | 9ポイント |
指数では柏市が5.0ポイント上回り、総額では八王子市が52,944円上回ります。
155団体を見てきて、これが最大の逆転です。
横須賀市と並べると、年齢が消える
| 項目 | 八王子市 | 横須賀市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.0 | 101.2 | 4.2ポイント |
| 平均年齢 | 43.2歳 | 43.3歳 | 0.1歳 |
| 平均給料月額 | 321,000円 | 323,200円 | 2,200円 |
| 諸手当月額 | 115,960円 | 106,327円 | 9,633円 |
| 平均給与月額 | 436,960円 | 429,527円 | 7,433円 |
| 地域手当 | 15% | 10% | 5ポイント |
年齢が0.1歳差なので、年齢の影響が消えます。
それでも指数は横須賀市が4.2ポイント高く、給料月額の差は2,200円しかありません。指数の差が給料月額にほとんど出ていない形です。
そして総額は八王子市が7,433円上回ります。給料月額321,000円の5ポイント差はおよそ16,050円なので、地域手当だけなら八王子市が16,050円有利。それでも総額の差が7,433円にとどまるのは、地域手当以外の部分で横須賀市が押し返しているからです。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、都内の数字は東京都職員の転職に、指数が上位の市は柏市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 住宅施策、空き家・賃貸住宅の活用 | 不動産企画、アセットマネジメント |
| 入居や利用を断られる人の支援 | カスタマーサクセス、審査企画 |
| 大学・専門学校との連携 | 産学連携、採用企画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「貸す側が断る理由」を設計し直す実務
八王子市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律第1条は、この法律が、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関し、基本方針の策定、都道府県及び市町村による賃貸住宅供給促進計画の作成、住宅確保要配慮者の円滑な入居を促進するための賃貸住宅の登録制度等について定めるものだとしています。
注目してほしいのは「登録制度」です。
貸す側に義務を課す法律ではありません。貸してもよいという物件を登録してもらい、そのうえで借りたい人とつなぐ仕組みです。
つまり貸す側が断る理由を、一つずつ外していく実務になります。
- 家賃が滞ったときにどうなるのか
- 室内で事故があったときに誰が対応するのか
- 近隣との関係で問題が起きたら誰が入るのか
- 退去のときに原状回復の費用はどうなるのか
- そもそも、貸しても埋まるのか
断っている理由のほとんどは、差別ではなくリスクの読めなさです。そして読めないリスクは、条件を足せば読めるようになります。保証、見守り、相談先、退去時の取り決め。これを揃えて初めて、登録が増えます。
企業でも、まったく同じ構造の仕事があります。
新しい取引先の与信、新しい顧客層の受入、新しい販売チャネルの開放。現場は「リスクがあるから断る」と言い、企画は「機会損失だ」と言う。両者の話が噛み合いません。
そして多くの企業で、ここを設計できる人がいません。審査部門は基準を守ります。営業部門は数字を追います。ところが「断っている理由を条件に分解して、埋められるものから埋める」役割が、誰にも割り当てられていません。基準を緩めるか守るかの二択になってしまい、あいだの設計が生まれません。
求人票では、審査企画、リスク管理、カスタマーサクセス、事業企画、不動産企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度の名前を出さないことです。断られていた理由を何に分解したか、どの条件を足したら通るようになったか、それでも埋まらなかったものは何か、そして条件を足したあとに実際どうなったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
八王子で、どの経験が値になるか
1. 断る理由を条件に分解した経験
「リスクがあるから無理」を、保証・見守り・取り決めに分ける。この分解ができる人は、企業の審査部門にも営業部門にもいません。
2. 条件を足したあとを見た経験
足して終わりではなく、そのあと実際に問題が起きたかどうか。ここまで見た人は、そう多くありません。
3. 大学・専門学校が多い都市での実務
学生、卒業生、若い転入者。人口の動きが速い都市の経験は、住宅・小売・人材のどの業界でも読み替えが効きます。
4. 山林と市街地の両方を抱える都市の計画
災害、道路、空き家、獣害。条件がまったく違う区域を同じ計画で扱った経験は、広域を担当する職務で効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
都内・近隣の求人を見るときに
八王子市は都心から距離があり、多摩地域や神奈川県北部を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○制度を担当」では読み手に何も残りません。断られていた理由を何に分解し、どの条件を足したら通ったか。
埋まらなかったものを書く
条件を足しても通らなかった部分が、必ずあります。そこを書くと、限界まで詰めたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、登録や相談の件数、成立した件数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
既存住宅の調査と改修は、そのまま職種になる
耐震、断熱、設備の更新、劣化の判定。新築ではなく、使われている建物を見る技術者は不足しています。不動産と建設の両方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。制度の運用に関わったなら、相談件数、成立件数、成立率、成立しなかった理由で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 八王子市の一般行政職はラスパイレス指数97.0、平均給与月額436,960円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 総額は中核市62市で4番目、諸手当115,960円は5番目、地域手当15%は豊田市16%に次ぐ水準です
- 指数3位の柏市を、総額で52,944円上回ります。155団体で最大の逆転です
- 横須賀市とは年齢0.1歳差。それでも指数は横須賀市が4.2ポイント高く、総額は八王子市が7,433円高い
- 諸手当は総額の26.5%で4分の1以上。3年ぶん並べないとぶれ幅が読めません
- 断る理由を条件に分解して埋めていく役割は、企業の審査と営業のあいだで空いています(住宅セーフティネット法1条)
よくある質問
指数が低いのに、総額が中核市で4番目に高いのはなぜですか
地域手当と諸手当です。地域手当15%は豊田市16%に次ぐ水準で、諸手当115,960円は62市で5番目。ラスパイレス指数は給料表の水準を国と比べた数字であって、地域手当も諸手当も含んでいません。指数が3位の柏市(総額384,016円)を52,944円上回るのが、その差のいちばん大きい例です。
横須賀市とは年齢がほぼ同じなのに、指数の差が給料月額に出ていないのはなぜですか
年齢のほかに学歴の構成も補正されているためです。指数は横須賀市が4.2ポイント高い一方で、給料月額の差は2,200円しかありません。補正の前と後で、差の出方が変わります。総額では地域手当5ポイント差(およそ16,050円ぶん)が効いて八王子市が7,433円上回りますが、地域手当以外では横須賀市が押し返している形です。
制度の説明をしていただけで、成果と言えるものがありません
やっていたのは説明ではなく、分解です。断られていた理由を保証・見守り・取り決め・費用の分担に分けて、埋められるものから埋める。企業でも、現場は「リスクがあるから断る」、企画は「機会損失だ」と言い合って止まっています。審査部門と営業部門のあいだを設計する役割が空いているので、分解した理由、足した条件、通るようになった範囲、埋まらなかったものを書けば、そのまま職務能力として読まれます。