自治体別 / 市
日立市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
日立市の平均給料月額320,200円は、同じ類似団体類型区分の出雲市より14,500円低い数字です。
地域手当を引いた残りの手当も、出雲市のほうが2,629円多い。
それでも平均給与月額は、日立市が14,891円多くなります。この回で、その中身を分解します。
日立市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、日立市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 日立市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.3 |
| 平均年齢 | 43.9歳 |
| 平均給料月額 | 320,200円 |
| 諸手当月額 | 97,038円 |
| 平均給与月額 | 417,238円(同じ類型の72団体で10番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 386,575円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
諸手当は総額の23.3%を占めます。
出雲市と並べる
類似団体類型区分(人口と産業構造による区分)は、どちらもⅣ-2。平均年齢も43.9歳と44.2歳で近い数字です。
| 項目 | 日立市 | 出雲市 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.3 | 98.1 |
| 平均年齢 | 43.9歳 | 44.2歳 |
| 平均給料月額 | 320,200円 | 334,700円 |
| 地域手当(実支給) | 10% | 0% |
| 諸手当月額 | 97,038円 | 67,647円 |
| 地域手当以外(概算) | 65,018円 | 67,647円 |
| 平均給与月額 | 417,238円 | 402,347円 |
給料月額では出雲市が14,500円上回ります。地域手当以外の手当でも、出雲市が2,629円上回ります。
日立市が上回っているのは、地域手当だけです。
14,891円の中身を分解する
| 内訳 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 給料月額の差 | 14,500円 | 出雲市が多い |
| 地域手当の差(概算) | 32,020円 | 日立市が多い |
| 地域手当以外の手当の差(概算) | 2,629円 | 出雲市が多い |
| 差し引き | 14,891円 | 日立市が多い |
出雲市が2つの項目で合わせて17,129円上回っているのに、地域手当の32,020円がそれを超えます。
県内の数字は茨城県職員の転職に、同じ類型の市は出雲市職員の転職と東広島市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
日立市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 公害防止事業の費用負担の算定 | 原価計算、費用配賦、渉外 |
| 大気・水質の監視、排出の規制 | 環境管理、品質保証、規制対応 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「誰がいくら負担するか」を計算する実務
日立市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
公害防止事業費事業者負担法第1条は、この法律が、公害防止事業に要する費用の事業者負担に関し、公害防止事業の範囲、事業者の負担の対象となる費用の範囲、各事業者に負担させる額の算定その他必要な事項を定めるものとすると定めています。
短い条文ですが、決めるべきことが3つ並んでいます。
- どこまでが「公害防止事業」か
- そのうち、どこまでが事業者に負担させる費用か
- そして、各事業者にいくら負担させるか
注目してほしいのは、3つめの「各事業者に負担させる額の算定」です。
全体でいくらかかったか、ではありません。
その1社が、いくら負担するのか。
複数の事業者が関わっていて、しかも影響の度合いが違う。それを金額に割り付けなければならない。しかも、相手は納得しません。
実務は、次のような形になります。
- 事業の範囲を、どこで線を引くかを決める
- 公が負担する分と、事業者が負担する分を分ける
- 各社の寄与を、何を基準に測るかを決める
- 計算の根拠を示して、金額を伝える
- そして、必ず異議が出ます
「共同で生じたことの費用を、個別に割り付ける」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
共通費の配賦、複数部門が使う設備の費用分担、共同プロジェクトのコスト按分、グループ会社間の費用のやりとり。どれも「みんなで使っているもの」の費用です。
そして多くの企業で、こうなります。配賦の基準が人数割や売上割のまま、何年も見直されません。実際に多く使っている部門も、ほとんど使っていない部門も、同じ基準で割られます。だから、使いすぎる部門が得をして、節約した部門が損をします。
基準を作り直すには、損をする部門に説明しなければなりません。だから誰もやりません。
求人票では、原価計算、管理会計、経営企画、内部統制、渉外といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業者名や施設名を書かないことです。負担の範囲をどこで線を引いたか、各社の寄与を何を基準に測ったか、計算の根拠をどう示したか、そして異議が出たときどう対応したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
日立で、どの経験が値になるか
1. 共同の費用を個別に割り付けた経験
「全体でいくら」ではなく「その1社がいくら」。この計算ができる人は、企業にほとんどいません。
2. 基準そのものを設計した経験
人数割や売上割で済ませなかった経験が値になります。
3. 損をする相手に説明した経験
必ず異議が出ます。そのときの対応が、いちばん強く読まれます。
4. 企業との長い関係を扱った経験
同じ相手と、規制でも支援でも向き合う。渉外の実務と同じ構造です。
県内・県外の求人を見るときに
日立市は茨城県の北部にあり、水戸市やつくば方面を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「公害対策を担当」では読み手に何も残りません。負担の範囲をどこで線を引き、各社の寄与を何を基準に測ったか。
異議が出た場面を書く
金額の話には、必ず異議が出ます。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる事業者の数、事業費、負担額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海岸線と斜面を両方扱える技術者は、限られる
高潮、越波、斜面、排水。海と山が近い条件で設計と点検を組んだ経験は、同じ条件の地域を持つ企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。費用負担や許認可に関わったなら、対象となる事業者の数、事業費、負担額、予算の執行率で答えてください。費用を割り付ける計算をしてきたなら、それは原価計算の実務そのものです。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 日立市の一般行政職はラスパイレス指数98.3、平均給与月額417,238円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 同じ類型の出雲市とは、給料月額でも地域手当以外の手当でも下回っています
- 上回っているのは地域手当だけ(10%と0%)。それでも総額は14,891円多くなります
- 出雲市が2項目で合わせて17,129円上回るのに、地域手当の32,020円がそれを超える、という形です
- 人ごとに違う部分は65,018円(総額の15.6%)。地域手当があるので、昇給すると地域手当も自動的に増えます
- 「共同で生じたことの費用を、個別に割り付ける」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(公害防止事業費事業者負担法1条)
よくある質問
2つの項目で負けているのに、総額で勝つのはなぜですか
地域手当です。日立市10%、出雲市0%の差が、金額にしておよそ32,020円。出雲市が給料月額で14,500円、地域手当以外の手当で2,629円、合わせて17,129円上回っていますが、それを超えます。団体の総額を比べることが、その団体の給与の決め方を比べることにならないのは、このためです。
総額が72団体で10番目なら、転職で有利ですか
団体の平均は、あなたの実額ではありません。日立市の総額のうち、地域手当10%ぶんのおよそ32,020円は誰にでも同じ割合で付きます。人によって違うのは、引いた残りの65,018円(総額の15.6%)です。まず複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べてください。
諸手当23.3%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当10%ぶんのおよそ32,020円を除いた、65,018円の部分です。総額に占める割合でいうと15.6%。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに違います。割合は小さいほうなので、団体の平均と自分の額は近くなりやすい側です。