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出雲市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
出雲市の平均給料月額334,700円は、同じ類似団体類型区分の72団体のなかで5番目に高い数字です。
ところが平均給与月額402,347円は、15番目です。
地域手当が0%だからです。そして0%であることには、転職の判断で効く別の意味があります。この回で、そこを開きます。
出雲市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、出雲市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 出雲市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.1 |
| 平均年齢 | 44.2歳 |
| 平均給料月額 | 334,700円(同じ類型の72団体で5番目) |
| 諸手当月額 | 67,647円 |
| 平均給与月額 | 402,347円(72団体で15番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 361,308円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
諸手当は総額の16.8%を占めます。
諸手当が、まるごと「人ごとに違う部分」になります
地域手当は給料月額に割合を掛けるだけなので、役職にも時間外の量にもよりません。誰にでも同じ割合で付きます。
出雲市にはその部分がありません。
| 項目 | 出雲市 |
|---|---|
| 諸手当月額 | 67,647円 |
| 地域手当(概算) | 0円 |
| 地域手当以外(概算) | 67,647円 |
| 総額に占める割合 | 16.8% |
67,647円のすべてが、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。
そして給料月額に連動して自動的に動く部分がありません。
だから、去年の源泉徴収票の支払金額が、翌年もほぼそのまま使えます。動くのは、時間外の量が変わったときと、扶養や住居の状況が変わったときだけ。求人票の想定年収と、そのまま並べて比べられます。
日立市と並べる
類似団体類型区分は、どちらもⅣ-2。平均年齢も44.2歳と43.9歳で近い数字です。
| 項目 | 出雲市 | 日立市 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 334,700円 | 320,200円 |
| 地域手当(実支給) | 0% | 10% |
| 諸手当月額 | 67,647円 | 97,038円 |
| 地域手当以外(概算) | 67,647円 | 65,018円 |
| 平均給与月額 | 402,347円 | 417,238円 |
給料月額でも、地域手当以外の手当でも、出雲市が上回っています。
それでも総額では、日立市が14,891円上回ります。地域手当だけで決まっています。
県内の数字は島根県職員の転職に、同じ類型の市は日立市職員の転職と東広島市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
出雲市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 国民年金の窓口、免除や猶予の受付 | カスタマーサポート、審査業務 |
| 国民健康保険・介護保険の資格と賦課 | 保険事務、債権管理 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 合併後の制度統一、例規の整理 | 制度統合、規程整備 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「説明する立場だが、決める立場ではない」実務
出雲市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
国民年金法第1条は、国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基き、老齢、障害又は死亡によつて国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によつて防止し、健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とすると定めています。
そして第3条は、国民年金事業は、政府が、管掌すると定めたうえで、第3項で国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、市町村長が行うこととすることができるとしています。
注目してほしいのは、この2つの関係です。
制度を決めて運営するのは、国です。保険料の額も、受け取れる額も、条件も、市は決められません。
ところが、住民が最初に相談に来るのは、市役所の窓口です。
「なぜこの額なのか」「どうして受けられないのか」と聞かれるのは、決めていない側です。
実務は、次のような形になります。
- 制度の内容を、正確に伝える
- 納得できないと言われても、変えられない
- 免除や猶予など、使える仕組みを探して案内する
- それでも足りないとき、ほかの制度につなぐ
- そして、寄せられた声を上に返す経路は細い
「決める権限のない場所で、説明の責任だけを負う」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
本社が決めた制度を説明する現場、メーカーが決めた仕様を説明する販売店、規約を変えられないサポート窓口、グループの方針を伝える子会社。どれも、苦情は現場に来ます。
そして多くの企業で、こうなります。現場は「決まりですので」と答えるしかありません。そして現場に来た声が、制度を決める側に戻る経路がありません。だから同じ苦情が、何年も繰り返されます。
現場でできるのは、制度の枠内で使えるものを探して案内することと、声を記録して上に返すこと。この2つをやっている人は、多くありません。
求人票では、カスタマーサポート、業務設計、渉外、品質保証、企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、個人の情報にあたることを一切書かないことです。変えられない制度の枠内で、どういう選択肢を用意したか、それをどうやって見つけたか、寄せられた声をどこにどう返したか、そして返した結果として何か変わったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
出雲で、どの経験が値になるか
1. 決められない立場で説明した経験
「決まりですので」で終わらせなかった経験が値になります。
2. 枠内で選択肢を探した経験
制度は変えられなくても、使い方は探せる。この動き方は、サポートの実務そのものです。
3. 声を上に返した経験
返す経路を作った経験は、企業でほとんど誰も持っていません。
4. 合併後の制度を1つに揃えた経験
条件の違う区域を、同じ制度で扱えるようにする。企業の統合後の作業と構造が同じです。
県内・県外の求人を見るときに
出雲市は島根県の東部にあり、県内や山陰を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。移動に時間がかかる地域ほど、リモート可の求人は選択肢として大きくなります。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「年金の窓口を担当」では読み手に何も残りません。変えられない枠内で、どういう選択肢を用意したか。
つないだ場面を書く
制度だけでは足りないことがあります。ほかにつないだ話を書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、年間の相談件数、免除や猶予の件数、繁忙期の処理量。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
広い市域を1つの計画で扱った経験は、扱える人が限られる
市街地と中山間地と海沿いを、同じ基準で扱う。条件の違う区域をまとめて設計した経験は、広域を担当する職務で効きます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。窓口や許認可に関わったなら、年間の相談件数、処理までの期間、免除や猶予の件数、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 出雲市の一般行政職はラスパイレス指数98.1、平均給与月額402,347円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額334,700円は同じ類型の72団体で5番目に高い数字。ところが総額は15番目です
- 地域手当が0%なので、諸手当67,647円のすべてが人ごとに違う部分になります(総額の16.8%)
- 給料月額に連動して自動的に動く部分がないので、去年の支払金額が翌年もほぼそのまま使えます
- 同じ類型の日立市とは、給料月額でも地域手当以外でも上回っているのに、総額では14,891円下回ります
- 「決める権限のない場所で、説明の責任だけを負う」経験は、企業でほとんど誰も評価していません(国民年金法1条・3条)
よくある質問
給料月額が72団体で5番目なのに、総額が15番目なのはなぜですか
地域手当が0%だからです。総額で出雲市を上回る団体の多くは、地域手当が3%から16%あります。給料表の高さと、そこに乗る部分は別に決まります。同じ類型の日立市とは、給料月額でも地域手当以外の手当でも出雲市が上回っているのに、地域手当だけで総額が逆転します。
地域手当0%は、不利ですか
転職の判断では、むしろ扱いやすい側です。諸手当のすべてが人ごとに違う部分なので、給料月額に連動して自動的に動く部分がありません。去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのまま使え、求人票の想定年収とそのまま並べて比べられます。
諸手当16.8%のうち、自分に関係するのはどこですか
全部です。地域手当が0%なので、67,647円のすべてが時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。同じ出雲市の職員でも、ここで差が付きます。まず複数年ぶんの支払金額を並べてください。