自治体別 / 市
市原市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
市原市の平均給料月額321,600円は、八千代市(千葉県)・立川市(東京都)とまったく同じ数字です。1円も違いません。
ところが3団体のラスパイレス指数は、98.4から102.8まで4.4ポイント開きます。
そして年齢の若い順に並べると、指数は高い順にきれいに並びます。この回で、その仕組みを開きます。
市原市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、市原市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 市原市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.8 |
| 平均年齢 | 42.0歳 |
| 平均給料月額 | 321,600円 |
| 諸手当月額 | 104,151円 |
| 平均給与月額 | 425,751円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 380,778円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
諸手当は総額の24.5%を占めます。
給料月額が完全に一致する3団体を並べる
市原市の類似団体類型区分(人口と産業構造による区分)はⅣ-3。この区分は全国に35団体あり、そのなかで平均給料月額が321,600円の団体が3つあります。
平均年齢の若い順に並べます。
| 市 | 平均年齢 | ラスパイレス指数 | 平均給料月額 |
|---|---|---|---|
| 八千代市 | 40.5歳 | 102.8 | 321,600円 |
| 市原市 | 42.0歳 | 99.8 | 321,600円 |
| 立川市 | 43.6歳 | 98.4 | 321,600円 |
年齢が若い順に、指数が高い順。1つの例外もありません。
給料月額が1円も違わないのに、指数は4.4ポイント開きます。
なぜこうなるのか
平均給料月額は、在職している職員の平均です。給料は経験年数とともに上がるので、年齢構成が高い団体ほど高く出ます。
ラスパイレス指数は、学歴と経験年数を揃えて国と比べた数字です。年齢構成の影響を、あらかじめ取り除いています。
だから、給料月額を固定すると、こうなります。
年齢が若いのに同じ給料月額を出している団体は、年齢を揃えれば国より高い。指数が上がります。
年齢が高いのに同じ給料月額しか出していない団体は、年齢を揃えれば国より低い。指数が下がります。
この3団体は、その関係が数字でそのまま出ている例です。
総額では、また順序が変わります
| 市 | 平均給料月額 | 地域手当(実支給) | 諸手当月額 | 地域手当以外(概算) | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 立川市 | 321,600円 | 12% | 105,535円 | 66,943円 | 427,135円 |
| 市原市 | 321,600円 | 10% | 104,151円 | 71,991円 | 425,751円 |
| 八千代市 | 321,600円 | 10% | 97,282円 | 65,122円 | 418,882円 |
指数では最も低い立川市が、総額では最も高くなります。
市原市は、地域手当を引いた残りの手当では3団体で最も厚い数字です。
県内の数字は千葉県職員の転職に、同じ区分の市は松戸市職員の転職と町田市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
市原市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 土壌・水質・大気の調査と対策 | 環境管理、品質保証、リスク管理 |
| 工場の立地に関する調整 | 用地開発、渉外、事業開発 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 広い市域を1つの計画で扱う | 拠点再編、エリア戦略 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「全部きれいにする」ではなく「害が出る経路を断つ」実務
市原市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
土壌汚染対策法第1条は、この法律が、土壌の特定有害物質による汚染の状況の把握に関する措置及びその汚染による人の健康に係る被害の防止に関する措置を定めること等により、土壌汚染対策の実施を図り、もって国民の健康を保護することを目的とすると定めています。
注目してほしいのは、措置が2つ並んでいることです。
1つめは「汚染の状況の把握」。2つめは「人の健康に係る被害の防止」。
「汚染を取り除く」とは書いていません。
土の中の汚染は、掘らなければ見えません。そして掘り出して全部入れ替えるには、途方もない費用がかかります。
だからこの法律は、まず「どこに何があるか」を分かるようにして、そのうえで「人の健康に届く経路」を断つ、という順番で組まれています。
実務は、次のような形になります。
- 見えないものを、調査で見えるようにする
- 見えるようにした瞬間から、土地の扱いが変わる
- 取り除くか、封じ込めるか、使い方を制限するかを選ぶ
- 全部取り除くのが正解とは限らない
- そして、残したものは記録に残り、次の人に引き継がれる
「消せないものを、把握したうえで管理し続ける」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
古いシステムに残った処理、誰も内容を知らないデータ、把握されていない契約、使われていない在庫。「全部きれいにします」と言えば、その場は前向きに聞こえます。ところが全部は終わりません。
そして多くの企業で、こうなります。棚卸しをすると「見つけてしまった以上、対応しなければならない」ので、そもそも棚卸しをしません。見えていないうちは、問題がないことになります。
求人票では、リスク管理、環境管理、内部統制、品質保証、データガバナンスといった名前で書かれています。
書くときのこつは、具体的な土地や事業者を書かないことです。見えていなかったものをどうやって洗い出したか、洗い出した結果をどう分類したか、取り除くか封じるか制限するかをどう選んだか、そして残したものをどう記録して引き継いだか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
市原で、どの経験が値になるか
1. 見えていないものを洗い出した経験
「見つけてしまう」ことを引き受けた経験は、企業でほとんど誰も持っていません。
2. 全部直さずに管理すると決めた経験
残す判断をして、そのぶん記録を残した経験が値になります。
3. 記録を次の人に引き継いだ経験
担当が変わっても分かる形にする。これは内部統制の実務と同じです。
4. 広い市域を1つの計画で扱った経験
条件がまったく違う区域を、同じ基準で扱う。広域を担当する職務で効きます。
県内・県外の求人を見るときに
市原市は千葉県の中央部にあり、千葉市や東京方面を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「土壌調査を担当」では読み手に何も残りません。取り除くか封じるか制限するかを、どう選んだか。
残した判断を書く
全部は直せません。残すと決めた理由と、そのための記録を書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となった区域や件数、調査の件数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
工場の規制を知っている技術者は、扱える人が限られる
排出、排水、土壌、騒音。規制する側から見てきた経験は、同じ規制を受ける企業の環境部門から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。調査や許認可に関わったなら、対象となる件数、調査の件数、事業費、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 市原市の一般行政職はラスパイレス指数99.8、平均給与月額425,751円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額321,600円は、八千代市・立川市とまったく同じ数字です
- それでも指数は98.4から102.8まで4.4ポイント開き、年齢の若い順に指数が高い順に並びます
- 総額ではまた順序が変わり、指数が最も低い立川市が最も高くなります
- 市原市は、地域手当を引いた残りの手当が3団体で最も厚い(71,991円・総額の16.9%)
- 「消せないものを、把握したうえで管理し続ける」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(土壌汚染対策法1条)
よくある質問
給料月額が同じなのに、指数が4.4ポイント違うのはなぜですか
年齢構成が違うからです。平均給料月額は在職している職員の平均なので年齢構成が残りますが、ラスパイレス指数は学歴と経験年数を揃えて国と比べた数字なので、年齢構成の影響を取り除いています。年齢が若いのに同じ給料月額を出している団体は、揃えれば国より高くなるので指数が上がります。八千代市40.5歳で102.8、立川市43.6歳で98.4というのは、その関係がそのまま出た形です。
総額で立川市が上なのは、なぜですか
諸手当です。給料月額は3団体とも同じ321,600円。立川市は地域手当12%で諸手当105,535円、市原市は10%で104,151円、八千代市は10%で97,282円。ただし地域手当を引くと、市原市71,991円が3団体で最も厚くなります。
諸手当24.5%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当10%ぶんのおよそ32,160円を除いた、71,991円の部分です。総額に占める割合でいうと16.9%。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに違います。同じ市原市の職員でも、ここで差が付きます。