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町田市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
町田市と津市は、平均年齢が42.9歳で完全に一致しています。
前回、平均年齢がほぼ同じ5市ではラスパイレス指数の順序と平均給料月額の順序が例外なく一致する、と書きました。
この2市では、一致しません。指数は津市が0.6ポイント上で、給料月額は町田市が1,500円上です。この回で、その意味を詰めます。
町田市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、町田市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 町田市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.3 |
| 平均年齢 | 42.9歳 |
| 平均給料月額 | 327,300円 |
| 諸手当月額 | 120,316円 |
| 平均給与月額 | 447,616円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 397,778円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 16% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 16% |
諸手当は総額の26.9%を占めます。
津市と並べる
類似団体類型区分(人口と産業構造による区分)も、どちらもⅣ-3です。
| 項目 | 町田市 | 津市 |
|---|---|---|
| 平均年齢 | 42.9歳 | 42.9歳 |
| 類似団体類型区分 | Ⅳ-3 | Ⅳ-3 |
| ラスパイレス指数 | 98.3 | 98.9 |
| 平均給料月額 | 327,300円 | 325,800円 |
| 地域手当(実支給) | 16% | 6% |
| 諸手当月額 | 120,316円 | 102,647円 |
| 平均給与月額 | 447,616円 | 428,447円 |
指数では津市が0.6ポイント上。ところが給料月額では町田市が1,500円上です。
前回書いたことの、範囲を狭めます
佐賀市の回で、平均年齢が43.4歳から43.9歳に収まる5市を並べ、指数の高い順に給料月額も高い順に並ぶことを示しました。そのときの指数の幅は4.7ポイント、給料月額の幅は16,700円で、1ポイントおよそ3,553円という換算になりました。
この2市の指数差0.6ポイントは、その換算でいえばおよそ2,100円にあたります。
実際の給料月額の差は、逆向きに1,500円です。
つまり、指数の差が1ポイントに満たないところでは、順序は簡単に入れ替わります。
指数は学歴と経験年数を揃えて国と比べた数字なので、年齢が同じでも、学歴構成が違えば差が出ます。そしてその影響は、外からは読み取れません。
「年齢を揃えれば指数の順=給料月額の順」という前回の書き方は、指数の差が数ポイントある場合に限られます。
19,169円の中身を分解する
| 内訳 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 給料月額の差 | 1,500円 | 町田市が多い |
| 地域手当の差(概算) | 32,820円 | 町田市が多い |
| 地域手当以外の手当の差(概算) | 15,151円 | 津市が多い |
| 差し引き | 19,169円 | 町田市が多い |
地域手当の差32,820円は、総額の差19,169円の1.71倍です。
そして地域手当以外の手当では、津市が15,151円上回ります。
都内の数字は東京都職員の転職に、同じ区分の市は藤沢市職員の転職と津市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
町田市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 消費生活相談、事業者とのあっせん | カスタマーサポート、苦情対応設計 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 商業の振興、中心市街地の活性化 | 販促企画、店舗開発、事業開発 |
| 公共施設の再編、統廃合の調整 | 拠点再編、固定費削減 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「まず受ける」と「渡す」の線を引く実務
町田市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
消費者安全法第1条は、この法律が、消費者の消費生活における被害を防止しその安全を確保するため、都道府県及び市町村による消費生活相談等の事務の実施及び消費生活センターの設置、消費者事故等に関する情報の集約などについて定めることを目的とすると定めています。
核心は第8条です。
第8条第2項は、市町村は、事業者に対する消費者からの苦情に係る相談に応じることなどを行うものとする、と定めています。
一方、第8条第1項は、都道府県の事務として、市町村相互間の連絡調整や市町村への助言・援助に加えて、各市町村の区域を超えた広域的な見地を必要とする苦情相談、専門的な知識及び技術を必要とする調査や分析などを挙げています。
市町村がまず受ける。広域的なものと専門的なものは、都道府県が担う。
役割の分け方が、法律の条文に書かれています。
実務は、次のような形になります。
- どんな相談でも、まず受ける
- 受けた時点では、自分で扱えるかどうか分からない
- 話を聞きながら、扱える範囲かを見極める
- 渡すと決めたら、相手に説明してから渡す
- そして、渡したあとどうなったかを確かめる
「入口を狭めずに、出口を分ける」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
問い合わせ窓口の一次受けと二次受け、営業と技術の引き継ぎ、社内ヘルプデスク、クレームの担当部署への振り分け。どこまでを一次で答え、どこから専門部署に渡すか。
そして多くの企業で、二択になります。一次窓口が全部抱え込んで回答が遅れるか、判断せずに全部を専門部署へ回して、専門部署が一次対応で埋まるか。「どの条件を満たしたら渡す」という線を決めた人がいません。だから担当者ごとに振り分けが変わり、渡された側は毎回いちから状況を聞き直します。
求人票では、カスタマーサポート、業務設計、エスカレーション設計、品質保証、内部統制といった名前で書かれています。
書くときのこつは、相談の中身や相手を書かないことです。どの条件で自分が扱い、どの条件で渡すと決めたか、渡すときに何を引き継いだか、渡したあとどう確かめたか、そして線そのものを見直した場面はあるか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
町田で、どの経験が値になるか
1. 渡す条件を決めた経験
「どの条件を満たしたら渡すか」を決めた人は、企業にほとんどいません。
2. 入口を狭めずに受けた経験
内容が分からない状態で受ける。この構えは、一次窓口の設計でそのまま使われます。
3. 引き継ぎの中身を作った経験
渡された側が聞き直さずに済む。これができると、組織全体の処理量が変わります。
4. 渡したあとを確かめた経験
振り分けて終わりにしなかった経験が、いちばん強く読まれます。
都内・都外の求人を見るときに
町田市は東京都の南部にあり、都内と神奈川県内の両方を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「消費生活相談を担当」では読み手に何も残りません。どの条件で自分が扱い、どの条件で渡すと決めたか。
渡したあとを書く
振り分けて終わりではありません。確かめた話があると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、年間の相談件数、あっせんの件数、解決までの期間。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、建築士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。相談や許認可に関わったなら、年間の件数、解決までの期間、再相談の割合、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 町田市の一般行政職はラスパイレス指数98.3、平均給与月額447,616円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 津市と平均年齢が42.9歳で完全に一致します。それでも指数は津市が0.6ポイント上、給料月額は町田市が1,500円上で、順序が逆です
- 「年齢を揃えれば指数の順=給料月額の順」は、指数の差が数ポイントある場合に限られます
- 総額の差19,169円に対し、地域手当の差だけで32,820円。1.71倍です
- 諸手当120,316円の43.5%は地域手当。引いた残り67,948円は総額の15.2%で、同じ区分の3市でいちばん小さい数字です
- 「入口を狭めずに、出口を分ける」経験は、企業でほとんど誰も設計していません(消費者安全法1条・8条)
よくある質問
年齢が同じなのに、指数と給料月額の順序が逆なのはなぜですか
指数の差が0.6ポイントしかないからです。指数は学歴と経験年数を揃えて国と比べた数字なので、年齢が同じでも学歴構成が違えば差が出ます。1ポイント未満の差は、外から読み取れない要因に埋もれます。佐賀市の回で示した5市では指数の幅が4.7ポイントあり、順序がきれいに一致しました。数ポイントの差があるときに限って使える見方です。
総額が3市で最も高いのは、有利ですか
諸手当の43.5%は地域手当です。地域手当は給料月額に割合を掛けるだけなので、役職や時間外とは関係なく誰にでも同じ割合で付きます。引いた残り67,948円は総額の15.2%で、同じ区分の3市でいちばん小さい。団体の平均と個人の額が近くなりやすい団体で、求人票の想定年収とは比べやすい側です。
諸手当26.9%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当16%ぶんのおよそ52,368円を除いた、67,948円の部分です。総額に占める割合でいうと15.2%。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに違います。まず複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べて、自分の額とぶれ幅を確かめてください。