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自治体別 / 市

諫早市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

この連載では、見る項目を移すほど順位が下がる市と、上がる市を扱ってきました。

諫早市は、どちらでもありません。

指数47番目、給料月額15番目、総額48番目。

一度上がって、また落ちます。

諫早市の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、諫早市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目諫早市59団体での順位
ラスパイレス指数97.347番目
平均年齢44.0歳7番目(高い側)
平均給料月額324,800円15番目
諸手当月額63,069円49番目
平均給与月額387,869円48番目
平均給与月額(国ベース)357,681円41番目
地域手当以外63,069円32番目

地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。だから諸手当63,069円のすべてが人ごとに違う部分になります。総額の16.3%です。

上がる理由と、落ちる理由は別のものです

指数47番目から給料月額15番目へ、32ランク上がります。

理由は年齢です。平均年齢44.0歳は59団体で7番目に高い。指数は職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えて計算するので、年齢構成の違いが消えます。実額は消えません。

給料月額15番目から総額48番目へ、33ランク落ちます。

理由は2つです。地域手当が0%であることと、諸手当が49番目と薄いこと。

上げているのは年齢、落としているのは給料表の外側。

まったく別の要素が、同じ市のなかで逆向きに働いています。

地域手当のない16団体で並べ直すと

この59団体のうち、地域手当0%の団体は16あります。

見る項目59団体での順位0%の16団体での順位
平均給料月額15番目6番目
平均給与月額48番目7番目
地域手当以外32番目7番目

総額が48番目から7番目まで上がります。

落ちていた理由の半分は、地域手当を持つ43団体と混ぜていたことでした。

乗るものがない団体どうしで比べれば、諫早市は上位です。

県内の数字は長崎県職員の転職に、同じ県の市は長崎市職員の転職に、同じ区分の市は木更津市職員の転職に整理しています。

市は、どういう団体か

諫早市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。

ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。

社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。

市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。

そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。

6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。

職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。

市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか

市役所での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
用地の取得・交渉、補償の算定用地開発、資産管理、渉外
企業との立地・操業に関する調整渉外、事業開発、法人営業
生活保護、児童・障害・高齢の措置ケース管理、審査業務、与信管理
課税・徴収、滞納整理債権管理、与信、回収
農地・干拓地の管理、農業振興資産管理、生産管理
都市計画、市街地の整備用地開発、開発企画、都市開発
上下水道など公営企業インフラ運営、事業運営
市有施設の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
窓口・住民対応の業務設計カスタマーサポート、業務設計
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

「同意がなくても進める。ただし埋め合わせる」実務

諫早市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。

土地収用法第1条は、この法律が、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とすると定めています。

「調整を図り」と書いてあります。

どちらかを優先する、とは書いていません。

公共の利益も、私有財産も、どちらも守るべきものとして置かれています。

そのうえで、同意がなくても土地を取れる仕組みを作っています。

そのかわり、損失を補償します。

「同意を取る」ことをあきらめて、「埋め合わせる」ことで釣り合いを取る。

これが、この法律の構造です。

実務は、次のような形になります。

企業でも、同じ形の判断があります。

制度の変更、拠点の統廃合、担当の入れ替え、システムの切り替え、取引条件の見直し。どれも「全員が賛成することはない」ものです。

そして多くの企業で、こうなります。全員の同意を取ろうとします。

取れないので、説明会を重ねます。

重ねても、反対する人は反対のままです。

そして、決められないまま時間が過ぎます。

あるいは逆に、説明を打ち切って強行します。

このとき、埋め合わせの設計がありません。

進めるか、待つか。この二択で考えているうちは、どちらを選んでも後味が悪くなります。

「進める。そのかわり、失うものをこう埋め合わせる」という3つめの形が、ほとんど検討されません。

求人票では、渉外、事業企画、人事企画、用地開発、経営企画といった名前で書かれています。

書くときのこつは、合意を取り付けたと書かないことです。誰が何を失うと見たか、その埋め合わせをどう設計したか、埋め合わせても納得しない相手にどう向き合ったか、そして進めたあと関係が続いたかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。

行政が相手の求人を見てみる

諫早で、どの経験が値になるか

1. 誰が何を失うかを先に出した経験

進める前に、失う側を特定する。これができる人は、企業にほとんどいません。

2. 埋め合わせを設計した経験

進めるか待つかの二択にしなかった経験は、強く読まれます。

3. 納得しない相手と続けた経験

最後まで反対だった人と、そのあとも付き合った話は、めったにありません。

4. 補償の額を算定した経験

失うものを金額にする。この作業は、そのまま資産管理や渉外で効きます。

県内・県外の求人を見るときに

諫早市は長崎県の中央部にあり、長崎市と佐賀方面の両方に出やすい位置です。県内全域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。

まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「用地交渉を担当」では読み手に何も残りません。誰が何を失うと見て、埋め合わせをどう設計したか。

まとまらなかった話を書く

最後まで納得されないことがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。

規模を必ず書く

市の人口、対象の件数、面積、補償の金額。数字を添えないと規模が伝わりません。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

低地と排水を見てきた技術者は、扱える人が限られる

排水機場、水門、干拓地の地盤、河川の氾濫。水がたまる土地を扱ってきた経験は、建設コンサルタントや防災関連の各社から求められます。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。用地や施設に関わったなら、対象の件数、面積、補償の金額、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

指数47番目なのに給料月額15番目なのはなぜですか

平均年齢44.0歳が59団体で7番目に高いからです。指数は職員の学歴と経験年数の構成を国と同じに揃えて計算するので年齢構成の違いが消えますが、平均給料月額は在職者の実額なので消えません。

給料月額15番目なのに総額48番目なのはなぜですか

地域手当が0%で、諸手当も49番目と薄いからです。同じ区分の43団体には地域手当が乗ります。0%の16団体だけで並べ直せば、総額は7番目です。

諸手当63,069円のうち、自分に関係するのはどこですか

全部です。地域手当が0%なので、時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。この金額は、0%の16団体のなかでは7番目です。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等・市区町村)|総務省
  2. 土地収用法 第1条(この法律の目的)|e-Gov法令検索
  3. 社会福祉法 第14条(設置)|e-Gov法令検索
  4. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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