自治体別 / 中核市
長崎市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
長崎市の諸手当72,257円は、高知市より5,462円厚く、久留米市とは1円しか違いません。
ところが、この72,257円には地域手当が含まれています。給料月額313,500円の3%で、およそ9,405円。
両市とも地域手当は0%です。引き算すると、見え方が変わります。
長崎市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、長崎市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 長崎市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.6 |
| 平均年齢 | 41.9歳 |
| 平均給料月額 | 313,500円 |
| 諸手当月額 | 72,257円 |
| 平均給与月額 | 385,757円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 348,769円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
2市と並べる
| 項目 | 長崎市 | 高知市 | 久留米市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.6 | 99.1 | 99.7 |
| 平均年齢 | 41.9歳 | 41.7歳 | 43.2歳 |
| 平均給料月額 | 313,500円 | 320,100円 | 329,700円 |
| 諸手当月額 | 72,257円 | 66,795円 | 72,258円 |
| 平均給与月額 | 385,757円 | 386,895円 | 401,958円 |
| 地域手当 | 3% | 0% | 0% |
諸手当だけを見ると、長崎市は高知市を5,462円上回り、久留米市とは1円差です。
地域手当を引いてから比べる
長崎市の諸手当には、給料月額313,500円の3%=およそ9,405円の地域手当が入っています。高知市と久留米市には、0円しか入っていません。
| 項目 | 長崎市 | 高知市 | 久留米市 |
|---|---|---|---|
| 諸手当月額 | 72,257円 | 66,795円 | 72,258円 |
| うち地域手当(概算) | 約9,405円 | 0円 | 0円 |
| 地域手当以外 | 約62,852円 | 66,795円 | 72,258円 |
引き算すると、順序が入れ替わります。
表面では長崎市が高知市より5,462円上ですが、中身では高知市が3,943円上。久留米市とは1円差だったものが、9,406円の差になります。
計算のしかた
給料月額 × 地域手当の割合で、概算が出ます。
長崎市なら313,500円 × 3% = 9,405円。自分の給与明細でも、地域手当の欄を見れば実額が分かります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は長崎県職員の転職に、比較した市は高知市職員の転職と久留米市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 宅地造成・盛土の許可と検査 | 規制対応、品質保証、監査 |
| 斜面地の住宅と生活基盤の維持 | アセットマネジメント、施設管理 |
| 観光の受入と生活の両立 | 観光事業企画、CS企画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 造船・機械など地場産業の支援 | 技術営業、調達、事業開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「作る段階で止める」ほうが安い、という実務
長崎市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
宅地造成及び特定盛土等規制法第1条は、この法律が、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もって公共の福祉に寄与することを目的とすると定めています。
注目してほしいのは「宅地造成に伴う」という限定です。
すでにある斜面ではなく、これから作る斜面を対象にしています。
つまり作る段階で止めるという設計です。理由は単純で、できてしまってからでは、直すのに何十倍もかかるからです。
- 造成の計画を、着工前に審査する
- 擁壁の構造、排水、地盤の処理を確認する
- 工事の途中でも検査する
- できたあとの維持は、所有者の責任になる
- そして、法律ができる前に造られたものは対象外です
「入口で止めるか、あとから直すか」の選択で、入口を選んだ仕組みです。
そして実務の難しさは、入口で止めると事業者の予定が狂うことにあります。着工を待たせる、設計をやり直させる。その場では、必ず抵抗が出ます。
企業でも、まったく同じ構造があります。
設計審査、コードレビュー、契約書の事前チェック、購買の事前承認。どれも「作る前に止める」仕組みです。そしてどれも、現場からは「遅れる」と言われます。
そして多くの企業で、この機能が形だけになります。止めれば怒られ、通せば楽になる。「ここは止める」という線を持っている人がいないと、審査は通過儀礼になります。そして問題が出るのは、直すのに何十倍もかかる段階です。
求人票では、品質保証、内部統制、規制対応、購買、業務設計といった名前で書かれています。
書くときのこつは、案件や制度の名前を出さないことです。どこまでなら通し、どこからは止めると決めていたか、止めたときに何を言われたか、それでも止めた根拠は何か、そして通してしまって後から問題が出た事例はあるか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
長崎で、どの経験が値になるか
1. 入口で止めた経験
止めれば、その場では必ず抵抗が出ます。それでも止めた根拠を説明できる人は、企業の中にほとんどいません。
2. 通してしまった事例を覚えている経験
後から問題が出たものを覚えていることが、次の基準を作ります。これを語れる人は多くありません。
3. 斜面地の生活基盤を維持した経験
道が狭く、高低差があり、車が入らない。普通のやり方が使えない条件での維持管理は、同じ条件を抱える事業者から求められます。
4. 観光と生活を両立させた経験
来る人と住んでいる人。両方の負担を見た経験は、施設運営と地域事業で効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
長崎市は長崎県の中心にあり、県内や県南部を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。福岡方面の求人も選択肢に入ります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。移動に時間がかかる地域ほど、リモート可の求人は選択肢として大きくなります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○の許可を担当」では読み手に何も残りません。どこまでなら通し、どこからは止めると決めていたか。
通してしまった事例を書く
後から問題が出たものを覚えていることが、基準を持っている証明になります。すべて正しく止めたように書くと、かえって薄く読まれます。
規模を必ず書く
市の人口、申請の件数、審査した面積、是正を求めた件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
擁壁と排水の審査は、そのまま職種になる
高さ、構造、背面の土、水の抜き方。造成の可否を判断する技術は、経験者が限られます。宅地開発を扱う企業と建設コンサルタントの双方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。許認可や検査に関わったなら、申請の件数、処理にかかった期間、止めた割合、是正までの期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 長崎市の一般行政職はラスパイレス指数97.6、平均給与月額385,757円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 諸手当72,257円は、高知市を5,462円上回り、久留米市とは1円差です
- ところが地域手当およそ9,405円が含まれています(給料月額313,500円の3%)
- 引き算すると、地域手当以外では高知市が3,943円、久留米市が9,406円上回ります
- 計算は「給料月額×地域手当の割合」だけ。自分の給与明細でも実額を確認できます
- 入口で止めた経験と、通してしまって後から問題が出た事例は、企業の審査部門で必要とされます(宅地造成及び特定盛土等規制法1条)
よくある質問
諸手当では上回っているのに、中身では下回るのはなぜですか
地域手当が入っているからです。長崎市の諸手当72,257円には、給料月額313,500円の3%=およそ9,405円の地域手当が含まれています。高知市と久留米市は地域手当0%なので、0円しか入っていません。引き算すると、地域手当以外では高知市が3,943円、久留米市が9,406円上回ります。
自分の数字でも、同じように確かめられますか
確かめられます。計算は給料月額×地域手当の割合だけです。そして給与明細の地域手当の欄を見れば、実額がそのまま分かります。求人票の想定年収と比べるときは、地域手当を含んだ総額で比べたうえで、内訳も把握しておくと判断しやすくなります。
審査で事業者を止める仕事ばかりでした
遅らせていたのではなく、後から直すコストと比べていたはずです。できてしまった斜面を直すには、作る前に止めるより何十倍もかかります。企業でも設計審査やコードレビューは「作る前に止める」仕組みですが、止めれば怒られ通せば楽になるので、線を持っている人がいないと通過儀礼になります。どこまで通しどこから止めると決めていたか、止めたときに言われたこと、止めた根拠、通してしまった事例を書いてください。