自治体別 / 中核市
いわき市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
いわき市のラスパイレス指数100.2は、中核市のなかでは高いほうです。平均給料月額332,400円も同様。
ところが諸手当64,981円は薄く、比率は16.4%。平均給与月額397,381円は、同じ県内の郡山市412,072円を14,691円下回ります。
給料表では近いのに、総額で差がつく。その理由から読み解いてください。
いわき市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、いわき市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | いわき市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.2 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 平均給料月額 | 332,400円 |
| 諸手当月額 | 64,981円 |
| 平均給与月額 | 397,381円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 358,278円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
県内3市を並べる
| 市 | ラスパイレス指数 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 郡山市 | 100.6 | 44.6歳 | 341,400円 | 70,672円 | 412,072円 |
| いわき市 | 100.2 | 43.1歳 | 332,400円 | 64,981円 | 397,381円 |
| 福島県(参考) | 100.0 | 42.8歳 | 326,500円 | 81,193円 | 407,693円 |
3つとも地域手当0%です。それでも総額は、郡山市412,072円からいわき市397,381円まで14,691円開きます。
注目してほしいのは福島県との比較です。いわき市は指数が0.2ポイント高く、給料月額も5,900円高い。それなのに総額では10,312円下回ります。諸手当が16,212円薄いためです。
給料表の水準が高くても、諸手当が薄ければ総額は下回る。中核市62市は地域手当が7段階に分かれるうえ、諸手当も49,341円から133,290円まで開くため、この種の逆転が頻繁に起きます。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は福島県職員の転職と郡山市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 復興・移住定住の計画と進行管理 | PMO、事業企画、拠点戦略 |
| 風評への対応・情報発信 | 広報、ブランド戦略、渉外 |
| 広い市域の施設配置・統廃合 | 拠点戦略、施設企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・工業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 水産業・農業の再生支援 | 事業開発、産地開発、調達 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「事実と、受け取られ方のずれ」を扱った経験
いわき市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
福島復興再生特別措置法第1条は、この法律が、原子力災害により深刻かつ多大な被害を受けた福島の復興及び再生が、その置かれた特殊な諸事情とこれまで原子力政策を推進してきたことに伴う国の社会的な責任を踏まえて行われるべきものであることに鑑み、必要な措置を定めるものだとしています。
県の名前が、法律の題名に入っています。
そして復興の実務には、施設や産業の再建だけでなく、「実際の状態」と「外からの受け取られ方」のずれを扱う仕事が含まれます。
- 検査の数値と、買う側の判断が一致しない
- 事実を示しても、印象がすぐには変わらない
- 説明の回数を重ねるほど、かえって注目される場合もある
- 相手によって、必要な情報の粒度がまったく違う
- 時間が経つほど、関心そのものが薄れていく
「数字で示せることと、人が受け取ることのずれ」を、長期にわたって扱うという仕事です。
企業でも、同じ性質の場面が増えています。
製品の不具合、労働環境への批判、取引先の問題、SNSでの拡散。事実関係を正確に示しても、受け取られ方は別に動きます。そして対応を誤れば、事実以上の損害が出る。
そして多くの企業では、この経験を持つ人が社内にいません。広報は発信を担当し、品質部門は事実を確認しますが、両者のずれを設計として埋める役割が空いています。
求人票では、広報、ブランド戦略、渉外、リスクマネジメントといった名前で書かれています。
書くときのこつは、出来事そのものを説明しないことです。相手ごとに何をどの粒度で示したか、示しても変わらなかったときに何を変えたか、そして時間の経過をどう織り込んだか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
いわきで、どの経験が値になるか
1. 事実と受け取られ方のずれを扱った経験
説明、発信、関係づくり。示しても変わらなかったときに何を変えたかは、企業の広報とリスクマネジメントで直接必要とされます。
2. 長期の計画を、途中の批判のなかで進めた経験
期限があり、関係者が多く、あとから検証される。この構造は企業の事業再編やPMOと同じです。
3. 広い市域の施設配置を扱った経験
合併で市域が広い市です。どこに何を残し、何を集約するかを決めた経験は、企業の拠点戦略と同じ判断です。
4. 企業誘致と工業団地の実務
用地、インフラ、支援制度。進出や増設を考える企業から見れば、これは自分たちが最も苦労する部分です。
5. 保健所を持つ市としての実務
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
いわき市は市域が広く、担当エリア型の求人であれば、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。首都圏との行き来がしやすい位置でもあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
変わらなかったときに何を変えたかを書く
説明や発信の仕事では、うまくいった話より、示しても動かなかったときの対応が読まれます。そこに設計の質が表れるからです。
規模を必ず書く
市の人口、市域の広さ、施設の数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、環境計量士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
測定と説明の実務は、そのまま職務になる
測定、記録、データの公表、事業者や住民への説明。測った経験だけでなく、その数値をどう説明したかまで書いてください。規制を受ける側の企業と、環境計量を事業とする企業の両方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- いわき市の一般行政職はラスパイレス指数100.2、平均給与月額397,381円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 福島県とは指数が0.2ポイント高く給料月額も5,900円高いのに、総額では10,312円下回ります。諸手当が16,212円薄いためです
- 給料表の水準が高くても、諸手当が薄ければ総額は下回ります
- 諸手当の比率16.4%は薄め。条件で動く部分が小さく、去年の源泉徴収票が物差しになります
- 事実と受け取られ方のずれを扱った経験は、企業の広報とリスクマネジメントで必要とされます(福島復興再生特措法1条)
- 示しても変わらなかったときに何を変えたかを書いてください
よくある質問
福島県より指数も給料月額も高いのに、総額が低いのはなぜですか
諸手当が16,212円薄いからです。いわき市は指数が0.2ポイント高く、給料月額も5,900円高い。それでも総額では10,312円下回ります。中核市62市は地域手当が7段階に分かれるうえ、諸手当も49,341円から133,290円まで開くため、この種の逆転が頻繁に起きます。
何を言っても届かなかった時期があり、成果と言えません
企業側が探しているのは、まさにその経験をした人です。製品の不具合、労働環境への批判、取引先の問題。事実関係を正確に示しても、受け取られ方は別に動きます。多くの企業は正しい情報を出せば伝わると考えていて、届かなかったときに何を変えればよいかを知りません。届かなかった話があるほうが、信用されます。
市内に希望する職種の求人が見当たりません
勤務地から探すのをやめてください。いわき市は市域が広く首都圏との行き来もしやすい位置です。担当エリアが福島県全域という求人であれば、本社の近くに住む必要はありません。まず職種で絞り、そのあとに出社頻度と担当エリアを確認する。この順序に変えるだけで、見える求人が変わります。掲載中の求人を見てみることもできます。