自治体別 / 施行時特例市
加古川市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
加古川市と埼玉県熊谷市は、平均年齢が42.5歳と42.4歳で、0.1歳しか違いません。
地域手当はどちらも3%。しかも給料月額は熊谷市のほうが4,000円多く、ラスパイレス指数も熊谷市が0.8ポイント上です。
それでも平均給与月額は、加古川市が37,065円多くなります。この回で、その中身を最後まで分解します。
加古川市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、加古川市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 加古川市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.4 |
| 平均年齢 | 42.5歳 |
| 平均給料月額 | 326,800円(施行時特例市23市で7番目) |
| 諸手当月額 | 98,827円(23市で10番目) |
| 平均給与月額 | 425,627円(23市で8番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 368,309円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
諸手当は総額の23.2%を占めます。
熊谷市と並べる
| 項目 | 加古川市 | 熊谷市 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平均年齢 | 42.5歳 | 42.4歳 | 0.1歳 |
| 地域手当(実支給) | 3% | 3% | 一致 |
| ラスパイレス指数 | 100.4 | 101.2 | 熊谷市が0.8上 |
| 平均給料月額 | 326,800円 | 330,800円 | 熊谷市が4,000円多い |
| 諸手当月額 | 98,827円 | 57,762円 | 加古川市が41,065円多い |
| 平均給与月額 | 425,627円 | 388,562円 | 加古川市が37,065円多い |
揃えられる条件は、ほとんど揃っています。年齢差0.1歳、地域手当は同率。そのうえで指数も給料月額も、熊谷市のほうが上です。
それでも総額は、加古川市が37,065円多くなります。
37,065円の中身を分解する
| 内訳 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 給料月額の差 | 4,000円 | 熊谷市が多い |
| 地域手当の差(概算) | 120円 | 熊谷市が多い |
| 地域手当以外の手当の差(概算) | 41,185円 | 加古川市が多い |
地域手当以外の手当の差だけで41,185円。総額の差37,065円の111.1%です。
差の大きさが、総額の差を超えています。給料月額と地域手当で熊谷市が取った4,120円を、地域手当以外の手当が押し戻して、なお37,065円残る、という形です。
地域手当3%の4市を並べる
| 市 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 地域手当以外(概算) | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 加古川市 | 42.5歳 | 326,800円 | 89,023円 | 425,627円 |
| 富士市 | 43.4歳 | 337,500円 | 84,655円 | 432,280円 |
| 太田市 | 43.4歳 | 332,700円 | 50,858円 | 393,539円 |
| 熊谷市 | 42.4歳 | 330,800円 | 47,838円 | 388,562円 |
給料月額の幅は10,700円しかありません。ところが総額の幅は43,718円。4.1倍です。
そして地域手当以外の手当は、2つのかたまりに割れています。加古川市と富士市が8万円台、太田市と熊谷市が5万円前後。平均でいうと86,839円と49,348円で、37,491円の開きです。
県内の数字は兵庫県職員の転職に、23市の手当から地域手当を引いた総括は四日市市職員の転職に整理しています。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。加古川市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 計画の策定、庁内の取りまとめ | 経営企画、制度設計、推進事務局 |
| 相談窓口の設計と運営 | カスタマーサポート、社内相談 |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 河川・防災に関する調整 | 危機管理、事業継続計画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | 業務設計、オペレーション改善 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「上に合わせる」と「ここに合わせる」を同時にやる実務
加古川市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
男女共同参画社会基本法第1条は、この法律が、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体及び国民の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることを目的とすると定めています。
核心は第9条です。
地方公共団体は、基本理念にのっとり、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有する、と書かれています。
「国の施策に準じた施策」と「区域の特性に応じた施策」が、同じ一文に並んでいます。
どちらか一方ではありません。
国に準じるだけなら、どの市も同じ計画になり、その市で実際に起きていることに届きません。逆に地域の事情だけで組み立てれば、国の制度や予算の枠から外れて、続けられなくなります。
実務は、次のような形になります。
- 国の計画や指針を読み、外せない骨格を取り出す
- その市で実際に何が起きているかを、数字と相談内容で確かめる
- 骨格を崩さずに、足すところと厚くするところを決める
- どこを国どおりにし、どこを変えたかを、説明できるようにしておく
- そして、変えた部分は毎年見直しを求められます
「標準に乗りながら、ここの事情を足す」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
本社が決めた制度の現場への展開、全社共通のシステムと拠点ごとの運用、グループ標準と子会社の実態、業界のガイドラインと自社の商習慣。「全社統一です」と言えば、その場は早く終わります。ところが現場の事情に合わないまま運用すれば、形だけ守って実態は別に回ります。
そして多くの企業で、二択になります。本社は統一したがり、現場は例外を求める。ところが「どこまでが崩せない骨格で、どこからは足してよいか」を線引きした人がいません。だから拠点ごとに勝手な運用が生まれ、統制が効かなくなります。
求人票では、制度設計、推進事務局、プロジェクト推進、業務標準化、内部統制といった名前で書かれています。
書くときのこつは、計画の名前をそのまま書かないことです。国や上位の方針から何を外せない骨格として取り出したか、地域の実態をどう確かめたか、どこを変えてどこを変えなかったか、その理由をどう説明したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
加古川で、どの経験が値になるか
1. 骨格と可変部分を切り分けた経験
「どこまでは崩せないか」を決めた経験は、業務標準化と制度設計でそのまま使われます。
2. 上位の方針を読み解いた経験
国の指針を実務の言葉に翻訳した経験は、本社方針を現場へ展開する職種と同じ構造です。
3. 変えた理由を説明した経験
例外は、説明できて初めて例外になります。この経験が強く読まれます。
4. 開発許可と建築確認の実務
審査する側にいた経験は、そのまま職種になります。
県内・県外の求人を見るときに
加古川市は兵庫県南部にあり、神戸・大阪方面を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「計画の策定を担当」では読み手に何も残りません。どこを国どおりにし、どこを変えたか。
変えなかった部分を書く
変えた話だけでは、判断の基準が伝わりません。変えなかった理由まで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、関係した課の数、相談の件数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。計画や許認可に関わったなら、関係した課の数、相談の件数、事業費、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 加古川市の一般行政職はラスパイレス指数100.4、平均給与月額425,627円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 熊谷市とは年齢差0.1歳、地域手当は同率3%。指数も給料月額も熊谷市が上です
- それでも総額は加古川市が37,065円多く、地域手当以外の手当の差41,185円が総額差の111.1%を占めます
- 地域手当3%の4市では、給料月額の幅10,700円に対し、総額の幅は43,718円。4.1倍です
- 諸手当98,827円のうち、給料月額に連動する地域手当は9,804円だけ。残る89,023円は人ごとに違う部分です
- 「標準に乗りながら、ここの事情を足す」経験は、企業でほとんど誰も線引きしていません(男女共同参画社会基本法1条・9条)
よくある質問
指数も給料月額も熊谷市が上なのに、総額が加古川市のほうが多いのはなぜですか
地域手当以外の手当です。その差だけで41,185円あり、総額の差37,065円を上回っています。給料月額で熊谷市が4,000円、地域手当で120円を取っていますが、それを押し戻してなお37,065円残る、という形です。時間外、住居、通勤、管理職といった積み上げの違いです。
ラスパイレス指数100.4は、何を意味しますか
学歴と経験年数を揃えて国と比べた指数が、国とほぼ同じ水準だということです。金額ではありません。熊谷市は101.2で0.8ポイント上ですが、総額では加古川市が37,065円多くなります。指数の上下と総額の上下は、別の話です。
諸手当23.2%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当3%ぶんのおよそ9,804円を除いた、89,023円の部分です。総額に占める割合でいうと20.9%。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で人ごとに違います。団体の平均と自分の額がずれやすい側なので、まず複数年ぶんの支払金額を並べてください。