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鎌倉市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
鎌倉市の平均給料月額308,100円は、同じ類似団体類型区分の35団体のなかで29番目です。
ところが平均給与月額431,579円は、14番目。地域手当15%がそれだけ効いています。
その一方で、地域手当15%で揃う5団体のなかでは、総額が最も低い。この回で、両方の見え方を開きます。
鎌倉市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、鎌倉市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 鎌倉市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.5 |
| 平均年齢 | 41.2歳 |
| 平均給料月額 | 308,100円(35団体で29番目) |
| 諸手当月額 | 123,479円 |
| 平均給与月額 | 431,579円(35団体で14番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 389,781円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 15% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 15% |
諸手当は総額の28.6%を占めます。
地域手当15%の5団体を並べる
35団体のうち、地域手当が15%なのは5つです。平均給料月額の高い順に並べました。
| 市 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 地域手当以外(概算) | 平均給与月額 | 総額の順位 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東村山市 | 326,900円 | 111,155円 | 62,120円 | 438,055円 | 2番 |
| 習志野市 | 323,700円 | 128,174円 | 79,619円 | 451,874円 | 1番 |
| 鎌倉市 | 308,100円 | 123,479円 | 77,264円 | 431,579円 | 5番 |
| 府中市 | 307,000円 | 126,888円 | 80,838円 | 433,888円 | 3番 |
| 西東京市 | 306,900円 | 125,686円 | 79,651円 | 432,586円 | 4番 |
鎌倉市は給料月額で3番目、地域手当以外の手当で4番目、総額で5番目です。
注目してほしいのは東村山市です。給料月額は5団体で最も高い。ところが地域手当以外の手当62,120円は、5団体で飛び抜けて薄い。それでも総額は2番目になります。
給料表に乗っている部分が大きければ、外側が薄くても総額は上位に来ます。
幅を比べる
| 項目 | 最も高い | 最も低い | 幅 |
|---|---|---|---|
| 平均給料月額 | 東村山市 326,900円 | 西東京市 306,900円 | 20,000円 |
| 地域手当以外の手当 | 府中市 80,838円 | 東村山市 62,120円 | 18,718円 |
| 平均給与月額 | 習志野市 451,874円 | 鎌倉市 431,579円 | 20,295円 |
この5団体では、給料月額の幅20,000円と総額の幅20,295円が、ほとんど同じです。
これまで見てきた母集団では、総額の幅のほうがずっと大きいのが普通でした。地域手当を揃え、しかも5団体という小さい集まりにすると、こうなることもあります。
県内の数字は神奈川県職員の転職に、同じ区分の市は習志野市職員の転職と府中市(東京都)職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
鎌倉市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 文書管理、歴史資料の保存と公開 | 記録管理、ナレッジ管理、内部統制 |
| 景観・高さ・色の規制、事前協議 | ブランド管理、規制対応 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 観光の受入環境と住民生活の調整 | 渉外、施設運営、リスク広報 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「いま役に立たないもの」を残し続ける実務
鎌倉市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
公文書等の管理に関する法律第1条は、この法律が、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録である公文書等が、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであることにかんがみ、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、その諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とすると定めています。
そして第34条は、地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならないと定めています。
注目してほしいのは「現在及び将来の国民に説明する責務」という一句です。
説明する相手に、まだ生まれていない人が入っています。
記録は、作った瞬間には誰の役にも立ちません。
役に立つのは、何年も経ってから「なぜこうなっているのか」を問われたときです。そのとき、判断した人はもういません。
残っているかどうかだけが、答えを決めます。
実務は、次のような形になります。
- 何を、どれだけの期間、残すかを決める
- すべては残せないので、捨てるものも決める
- 捨てる判断のほうが、残す判断より難しい
- 残すと決めたものを、探せる形で置く
- そして、誰も見ない年が何年も続く
「いま誰の役にも立たないものを、将来のために残し続ける」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
議事録、設計や仕様の判断記録、実験や検証の記録、障害の対応記録、契約交渉の経緯。どれも、その場では作業が増えるだけです。
そして多くの企業で、こうなります。「残しても誰も見ない」ので、省略されます。あるいは形式だけ残して、肝心の「なぜそう決めたか」が書かれません。
そして数年後、担当者が代わったころに問題が起きます。なぜこの仕様なのか、なぜこの条件で契約したのか、誰も説明できません。調べ直すのに、当初の何倍もの時間がかかります。
求人票では、記録管理、ナレッジ管理、内部統制、品質保証、監査対応といった名前で書かれています。
書くときのこつは、文書の中身を書かないことです。何を残し何を捨てると決めたか、その基準をどう作ったか、探せる形にするために何をしたか、そして実際にあとから必要になった場面はあったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
鎌倉で、どの経験が値になるか
1. 捨てるほうを決めた経験
残す判断より、捨てる判断のほうが難しい。基準を作った経験が値になります。
2. 「なぜそう決めたか」を残した経験
結果だけでなく、理由を残す。これができている組織は多くありません。
3. あとから探せる形にした経験
残っていても見つからなければ、ないのと同じ。この設計が強く読まれます。
4. 守る側と使う側を調整した経験
同じ場所を、守りたい人と使いたい人が求めます。渉外の実務と同じ構造です。
県内・県外の求人を見るときに
鎌倉市は神奈川県の南部にあり、横浜市や都内を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「文書管理を担当」では読み手に何も残りません。何を残し何を捨てると決め、その基準をどう作ったか。
あとから必要になった場面を書く
残しておいて助かった場面があるはずです。それを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる文書の量、保存年限の種類、開示請求の件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、建築士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
制約の多い区域で設計できる技術者は、限られる
高さ、色、斜面、埋蔵文化財。制限が幾重にもかかる区域で設計と工程を組んだ経験は、同じ条件を抱える企業から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。管理や許認可に関わったなら、対象となる文書の量、開示請求の件数、処理までの期間、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 鎌倉市の一般行政職はラスパイレス指数98.5、平均給与月額431,579円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 給料月額308,100円は同じ区分の35団体で29番目。ところが総額は14番目です(地域手当15%)
- 一方、地域手当15%で揃う5団体のなかでは、総額が最も低い数字になります
- 東村山市は給料月額が5団体で最も高く、地域手当以外の手当は最も薄いのに、総額は2番目です
- 「どの範囲と比べるか」を決めた時点で、印象は決まります。動かないのは自分の支払金額だけです
- 「いま誰の役にも立たないものを、将来のために残し続ける」経験は、企業でほとんど誰も評価していません(公文書管理法1条・34条)
よくある質問
35団体では14番目なのに、5団体では最下位なのはなぜですか
比べる範囲が違うからです。35団体には地域手当0%から16%までが混ざるので、15%の鎌倉市は上のほうに来ます。同じ15%の5団体だけを並べると、給料月額と地域手当以外の手当で決まるので、最下位になります。どちらも同じ数字から出てきます。
給料月額が29番目なのに総額が14番目なのは、なぜですか
地域手当15%です。給料月額308,100円の15%でおよそ46,215円。給料表の高さと、そこに乗る部分は別に決まります。逆に言えば、総額の高さの多くは地域手当から来ています。
諸手当28.6%のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当15%ぶんのおよそ46,215円を除いた、77,264円の部分です。総額に占める割合でいうと17.9%。地域手当の割合が高い団体なので、昇給すると地域手当も自動的に増えます。複数年ぶんの支払金額を並べて、動き方も確かめてください。