自治体別 / 市
唐津市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
唐津市は、同じ類似団体類型区分の67団体のなかで、どの項目を見ても17番目から31番目のあいだにいます。
飛び出た項目が、ひとつもありません。
この連載では「どこかが飛び出て順位が動く」話を続けてきました。
唐津市は、その反対の例です。
唐津市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、唐津市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 唐津市 | 67団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.8 | 26番目 |
| 平均年齢 | 42.1歳 | 31番目 |
| 平均給料月額 | 313,900円 | 25番目 |
| 諸手当月額 | 56,020円 | 21番目 |
| 平均給与月額 | 369,920円 | 21番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 335,993円 | 29番目 |
| 地域手当以外 | 56,020円 | 19番目 |
| 落ち幅 | 33,927円 | 17番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。したがって諸手当56,020円は全額が地域手当以外で、これは総額の15.1%にあたります。
8つの項目が、14ランクのなかに収まります
いちばん上が落ち幅の17番目、いちばん下が平均年齢の31番目。
その間は14ランクしかありません。
67団体のなかで、全部が真ん中よりやや上のところに固まっています。
この連載で扱ってきた市は、たいていどこかが飛び出ていました。指数が50番目なのに国ベースが8番目だった大東市。給料月額が42番目なのに総額が9番目だった松原市。給料月額が6番目なのに総額が37番目だった会津若松市。
唐津市には、そういう動きがありません。
だから、順位の話をしてもほとんど何も出てきません。
この区分は、地域手当がほとんど効きません
唐津市が属する区分の67団体のうち、地域手当0%が64団体です。
3%が1団体、6%が2団体。
つまり、この区分ではほぼ全員が0%です。
地域手当の差で順位が動く余地が、そもそもありません。
この連載でこれまで見てきた「率の違いで総額が入れ替わる」話は、この区分では成り立ちません。
では、何を見ればよいか
動くところがないなら、見る対象は残りひとつです。
諸手当56,020円。
地域手当が0%なので、全額が地域手当以外です。
総額の15.1%。
時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。
団体の順位がどこにも動かない市では、この部分の差が、そのまま人ごとの差になります。
県内の数字は佐賀県職員の転職に、県庁所在市は佐賀市職員の転職に、同じ区分の市は鶴岡市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
唐津市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 水産業の振興、漁港の管理 | 事業開発、施設運営、調達 |
| 地場産業の振興、販路の支援 | 事業開発、法人営業、ブランド企画 |
| 観光の誘客、受け入れの整備 | 販促、事業企画、施設運営 |
| 離島の交通・生活の維持 | 事業運営、物流管理、拠点管理 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「増やすことと、増やした状態を保つことは別」という実務
唐津市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
唐津市は、玄界灘に面し、いくつもの離島を抱える市です。そして海を相手にする仕事には、必ず「採りすぎると来年がない」という条件がついてきます。
水産資源保護法第1条は、この法律が、水産資源の保護培養を図り、且つ、その効果を将来にわたつて維持することにより、漁業の発展に寄与することを目的とすると定めています。
2つのことが「且つ」でつながれています。
1つめは、保護し、増やすこと。
2つめは、その効果を将来にわたって維持すること。
この2つは、同じ仕事ではありません。
増やすのは、やることがはっきりしています。
保つのは、やることがはっきりしません。
何もしないでいると、増えた状態は元に戻ります。
そして、戻っていく速さは、増やすときの速さより遅い。
遅いので、しばらくは気づきません。
実務は、次のような形になります。
- 取り組みを始めると、数字が改善する
- 改善したところで、成果として報告される
- 報告が済むと、人と予算が別のところに移る
- 移ったあと、数字はゆっくり戻りはじめる
- そして、元の水準に戻ったころには、最初にやった人はもういません
企業でも、まったく同じことが起きます。
品質の改善、離職率の低下、顧客満足の向上、在庫の適正化、負債の圧縮。どれも「改善した」という報告までは、必ず誰かがやります。
保つ仕事には、報告する場面がありません。
何も起きていないからです。
だから人が付かず、予算も付かず、担当も決まりません。
そして、静かに戻ります。
改善した経験を持つ人はたくさんいます。
改善したあと、5年その水準を保った経験を持つ人は、ほとんどいません。
求人票では、事業企画、品質保証、業務改善、カスタマーサクセスといった名前で書かれています。
書くときのこつは、改善したと書いて終わらせないことです。どこまで改善したか、改善したあと何年その水準にあったか、戻らないようにするために何を仕組みとして残したか、そして誰が続けているか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
唐津で、どの経験が値になるか
1. 改善したあとを何年か見た経験
成果が出たところで終わらせず、その後を追った経験は、企業にほとんどありません。
2. 戻らないための仕組みを残した経験
人が替わっても続く形にした経験は、そのまま業務設計の話になります。
3. 戻りはじめたのを見つけた経験
何も起きていないように見える段階で、ずれに気づいた経験は、めったに書かれません。
4. 離島や遠隔地の現場を回してきた経験
行き来に時間がかかる場所で、人と物と情報を切らさずに回した経験は、物流や多拠点の運営で直接使えます。
県内・県外の求人を見るときに
唐津市は佐賀県の北部にあり、福岡市にも出やすい位置です。福岡エリアを担当する求人でも、通勤の選択肢が残ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
改善だけで終わらせない
「水産振興を担当」では読み手に何も残りません。どこまで改善し、そのあと何年その水準にあったか。
残した仕組みを書く
人が替わっても続く形にした部分。そこが書けると、業務設計の経験として読まれます。
規模を必ず書く
市の人口、事業者数、扱った量、続いた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海に面した施設を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
塩による傷み、波の当たり方、砂の動き、船が着く場所の水深。潮を浴びる構造物を設計し、点検し、直してきた経験は、建設コンサルタントや港湾の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。水産や観光に関わったなら、事業者数、扱った量、来訪の規模、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 唐津市の一般行政職はラスパイレス指数97.8、平均給与月額369,920円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 8つの項目がすべて67団体の17番目から31番目のあいだに収まり、飛び出た項目がありません
- この区分は67団体のうち64団体が地域手当0%で、率の違いで順位が入れ替わる余地がありません
- だから順位の話をしても、ほとんど何も出てきません
- 残るのは諸手当56,020円、総額の15.1%。全額が地域手当以外です
- 団体の順位が動かない市では、この部分の差が、そのまま人ごとの差になります
よくある質問
すべての順位が中位だと、どう読めばよいですか
順位からは何も出てこない、と読んでください。唐津市は8つの項目が14ランクのなかに収まっており、どこかが飛び出て総額が動くという形になっていません。
地域手当がほぼ全団体0%だと、何が変わりますか
率の違いで順位が入れ替わらなくなります。唐津市が属する区分は67団体のうち64団体が0%なので、地域手当の話は比較の材料になりません。
諸手当56,020円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当が0%なので、56,020円が全部です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は15.1%です。