自治体別 / 中核市
高知市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
高知市と長崎市は、平均年齢が41.7歳と41.9歳。0.2歳しか違いません。
総額も386,895円と385,757円。1,138円差です。
ところが地域手当は、高知市0%、長崎市3%。中身を引き算すると、見え方が変わります。
高知市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、高知市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 高知市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.1 |
| 平均年齢 | 41.7歳 |
| 平均給料月額 | 320,100円 |
| 諸手当月額 | 66,795円 |
| 平均給与月額 | 386,895円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 346,064円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
長崎市と並べる
| 項目 | 高知市 | 長崎市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.1 | 97.6 | 1.5ポイント |
| 平均年齢 | 41.7歳 | 41.9歳 | 0.2歳 |
| 平均給料月額 | 320,100円 | 313,500円 | 6,600円 |
| 諸手当月額 | 66,795円 | 72,257円 | 5,462円 |
| 平均給与月額 | 386,895円 | 385,757円 | 1,138円 |
| 地域手当 | 0% | 3% | 3ポイント |
給料月額では高知市が6,600円上回り、諸手当では長崎市が5,462円上回ります。この2つがほぼ相殺して、総額の差は1,138円に収まります。
諸手当から地域手当を引いてみる
長崎市の諸手当72,257円には、地域手当が含まれています。給料月額313,500円の3%は、およそ9,405円。
高知市の66,795円には、0円しか入っていません。
| 項目 | 高知市 | 長崎市 |
|---|---|---|
| 諸手当月額 | 66,795円 | 72,257円 |
| うち地域手当(概算) | 0円 | 約9,405円 |
| 地域手当以外 | 66,795円 | 約62,852円 |
地域手当を引くと、高知市のほうがおよそ3,943円厚い。
表面の数字では長崎市が5,462円上ですが、中身では逆になります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は高知県職員の転職に、年齢がほぼ同じ市は長崎市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 広域にわたる災害対策の計画 | 事業継続計画、リスク管理 |
| 避難施設・避難路の整備 | インフラ企画、施設企画 |
| 他の自治体・国との連携体制 | 渉外、アライアンス |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 一次産業の支援と担い手の確保 | 調達、産地開発、人材支援 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「自分のところだけ備えても意味がない」実務
高知市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法第1条は、この法律が、南海トラフ地震による災害が甚大で、かつ、その被災地域が広範にわたるおそれがあることに鑑み、推進地域の指定、基本計画等の作成、津波避難対策特別強化地域の指定、緊急事業計画の作成と財政上の特別の措置について定めるものだとしています。
注目してほしいのは「被災地域が広範にわたるおそれ」という前提です。
一つの市が備えても、足りません。
隣が同時にやられれば、応援は来ません。物資も、電力も、通信も、道路も、広い範囲で同時に止まります。だからこの法律は、国が地域を指定して、枠組みごと作るという形をとっています。
実務は、次のような形になります。
- 自分の市の被害だけを想定しても足りない
- 助けに来る側も被災している前提で組む
- 物資の経路が、どこで途切れるかを考える
- 復旧の順序を、他の自治体と合わせておく
- そして、その調整は起きる前にしかできません
「自分の範囲の外まで見て、起きる前に合わせておく」という仕事です。
企業でも、この構造が課題になっています。
供給網の途絶、広域の停電、同時多発の障害。自社の拠点だけを守っても、部品が来なければ止まります。そして取引先も同時に被災します。
そして多くの企業で、ここまで見ている人がいません。各拠点は自分の建物を守ります。調達は代替先を名簿に載せます。ところが「その代替先も同時に止まる範囲にいないか」を確かめた人がいません。だから計画はあるのに、実際には同じ場所で全部止まります。
求人票では、事業継続計画、リスク管理、サプライチェーン、調達、PMOといった名前で書かれています。
書くときのこつは、計画や地域の名前を出さないことです。自分の範囲の外で何が起きると想定したか、助けに来る側も動けない前提で何を用意したか、他の組織とどこまで事前に合わせたか、そして合わせられなかった部分はどこか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
高知で、どの経験が値になるか
1. 自分の範囲の外まで想定した経験
隣も同時に止まる前提で組む。この見方は、企業の事業継続計画でほとんど抜けています。
2. 起きる前に他の組織と合わせた経験
起きてからでは合わせられません。事前に合意を作った経験は、そう多くの人が持っていません。
3. 合わせられなかった部分を把握していた経験
全部は合わせられません。どこが残っているかを言えることが、そのまま値になります。
4. 一次産業を支えた実務
担い手、出荷、販路。産地の事情を知っていることは、仕入れる側の企業で直接効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
高知市は四国の南側にあり、高知県内を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。移動に時間がかかる地域ほど、リモート可の求人は選択肢として大きくなります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○計画を担当」では読み手に何も残りません。自分の範囲の外で何が起きると想定し、何を用意したか。
合わせられなかった部分を書く
すべての調整が付くことはありません。どこが残っているかを書けると、把握していたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、想定される被害の規模、整備した施設の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
浸水を前提にした施設の設計は、扱える人が限られる
想定される高さ、浮力、電気設備の位置、避難のための階。浸水することを織り込んで建てるという設計は、経験者が多くありません。沿岸部や低地に施設を持つ企業から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。防災の事業に関わったなら、対象となる区域や施設の数、事業費、効果の範囲、優先順位の付け方で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 高知市の一般行政職はラスパイレス指数99.1、平均給与月額386,895円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 長崎市とは平均年齢0.2歳差、総額1,138円差です
- 諸手当では長崎市が5,462円上回りますが、そこには地域手当およそ9,405円が入っています
- 引き算すると、地域手当以外では高知市がおよそ3,943円厚い
- 諸手当は総額の17.3%で、地域手当0%なのですべて条件で動く部分です
- 自分の範囲の外まで想定した経験は、企業の事業継続計画でほとんど抜けています(南海トラフ地震特措法1条)
よくある質問
諸手当では長崎市が上なのに、中身では逆になるのはなぜですか
地域手当が入っているからです。長崎市の諸手当72,257円には、給料月額313,500円の3%=およそ9,405円の地域手当が含まれています。高知市の66,795円には0円しか入っていません。引き算すると、地域手当以外では高知市がおよそ3,943円厚くなります。諸手当を比べるときは、給料月額×地域手当の割合で概算を出して、引いてから比べてください。
地域手当が0%だと、総額でも不利になりますか
なりません。高知市は地域手当0%ですが、長崎市(3%)との総額差は1,138円です。ここまでの記事でも、倉敷市(0%)が東大阪市(10%)を、松山市(0%)が高松市(6%)を総額で上回る例が出ています。地域手当は、総額を決める要素の1つでしかありません。
移動に時間がかかる地域にいることは、転職で不利ですか
近年はリモート可、週数日出社の求人が増えていて、むしろ距離のある地域ほど選択肢が広がります。ただし勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。職種で絞ってから勤務形態と担当エリアを見る順序に変えてください。