自治体別 / 市
古河市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
前回とりあげた石巻市は、平均給与月額24番目、国ベース63番目。39ランク落ちました。
古河市は、総額37番目、国ベース12番目。25ランク上がります。
同じ101団体のなかで、正反対の動き方をする2市です。
古河市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、古河市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 古河市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 95.6 | 77番目 |
| 平均年齢 | 43.5歳 | 19番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 317,800円 | 39番目 |
| 諸手当月額 | 59,164円 | 41番目 |
| 平均給与月額 | 376,964円 | 37番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 362,033円 | 12番目 |
| 地域手当以外 | 40,096円 | 77番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも6%です。給料月額にかけると、概算で19,068円。諸手当59,164円からこれを引くと、残りは40,096円。総額の10.6%になります。
この10.6%は、この連載で扱ってきたなかでいちばん低い割合です。
石巻市と、正反対に動きます
| 項目 | 古河市 | 石巻市 |
|---|---|---|
| 地域手当 | 6% | 0% |
| 平均給与月額 | 376,964円(37番目) | 391,249円(24番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 362,033円(12番目) | 335,129円(63番目) |
| 国ベースとの落ち幅 | 14,931円(86番目) | 56,120円(3番目) |
| 地域手当以外 | 40,096円(77番目) | 76,249円(5番目) |
総額では石巻市が14,285円上。国ベースでは古河市が26,904円上です。
逆転の幅は41,189円。この連載で見てきたなかで、いちばん大きな入れ替わりになります。
そして、地域手当を持っているのは古河市のほうです。
それでも落ち幅は古河市のほうが小さい。理由は、地域手当以外が77番目という薄さです。
同じ6%の11団体でも、外側は53,504円開きます
この101団体のうち、地域手当が6%の団体は11あります。
そのなかで、地域手当以外がいちばん厚い団体は93,600円、いちばん薄いのが古河市の40,096円。
差は53,504円です。
同じ率で揃えても、給料表の外側だけでこれだけ開きます。
古河市は、この11団体のなかで総額も10番目。下から2番目です。
県内の数字は茨城県職員の転職に、同じ県の市は土浦市職員の転職とひたちなか市職員の転職に、比較した市は石巻市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
古河市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 他団体との協議会・広域の事務 | 渉外、アライアンス、事業企画 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 農業振興、農地の調整 | 資産管理、生産管理 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「組織を作らずに、一緒にやる」実務
古河市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
地方自治法第252条の2の2第1項は、普通地方公共団体は、普通地方公共団体の事務の一部を共同して管理し及び執行し、若しくは普通地方公共団体の事務の管理及び執行について連絡調整を図り、又は広域にわたる総合的な計画を共同して作成するため、協議により規約を定め、普通地方公共団体の協議会を設けることができると定めています。
第3項では、この協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならないとされています。ただし、連絡調整を図るために設ける場合は、この限りでないという但し書きが付いています。
議決が要る場合と、要らない場合が分けてあります。
共同して執行する、あるいは共同で計画を作る。ここまでやるなら議決が要ります。
連絡調整だけなら、要りません。
関わりの深さで、手続きの重さが変わる。
そして、協議会には法人格がありません。新しい組織を作るわけではないのです。
別の団体のまま、一部の仕事だけを一緒にやる。
実務は、次のような形になります。
- 境目のあたりでは、行政の線と暮らしの線がずれる
- 通勤も通学も買い物も、市の外に出る
- それでも、制度は市ごとに切れている
- だから、切れ目をまたぐ仕組みを別に用意する
- そして、参加する団体ごとに得る量が違います
企業でも、同じ形の問題があります。
部門をまたぐプロジェクト、複数社の共同事業、グループ会社間の連携、拠点をまたぐ運用。どれも「新しい組織を作るほどではないが、一緒にやる必要がある」場面です。
そして多くの企業で、こうなります。会議体が作られます。
ところが、決める権限が会議体にありません。
参加者はそれぞれの部門を代表しているので、持ち帰らないと決められません。
持ち帰った先で反対されると、次の会議でまた振り出しに戻ります。
そして、何回か繰り返したところで、会議だけが残ります。
組織を作らずに一緒にやるには、「どこまでを持ち帰らずに決めていいか」を先に決めておく必要があります。
そこを決めずに始めるから、会議体が形だけになります。
求人票では、事業企画、渉外、アライアンス、プロジェクト管理、経営企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、協議会を運営したと書かないことです。どこまでを持ち帰らずに決めてよいと取り決めたか、参加する側で得る量が違うことをどう扱ったか、決まらないときに何をしたか、そして実際に一緒にやれたかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
古河で、どの経験が値になるか
1. 決めていい範囲を先に決めた経験
持ち帰らずに決められる線を引く。これができる人は、企業にほとんどいません。
2. 得る量が違う相手をまとめた経験
同じ負担で、得るものが違う。そこを納得させた経験は強く読まれます。
3. 組織を作らずに済ませた経験
新しい部署を作らないで回した経験は、そのまま事業企画で効きます。
4. 県や制度の境目を扱った経験
行政の線と暮らしの線がずれる場所を扱った経験は、めったにありません。
県内・県外の求人を見るときに
古河市は茨城県の西端にあり、埼玉県と栃木県に接しています。北関東から東京北部までを担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「広域連携を担当」では読み手に何も残りません。どこまでを持ち帰らずに決めてよいと取り決めたか。
決まらなかった話を書く
持ち帰った先で反対されて止まることがあります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、関係した団体の数、扱った事務の範囲、続いた年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
県境をまたぐ施設を見てきた技術者は、扱える人が限られる
川を挟んだ道路や橋、隣県と共用する処理施設、管理の分担。管理者が分かれる構造物を扱ってきた経験は、建設コンサルタントや設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。連携や施設に関わったなら、関係した団体の数、扱った金額、対象の人数、続いた年数で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 古河市の一般行政職はラスパイレス指数95.6、平均給与月額376,964円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 総額37番目、国ベース12番目。25ランク上がります
- 石巻市は総額24番目で国ベース63番目。逆転の幅は41,189円で、この連載でいちばん大きい入れ替わりです
- 地域手当を持っているのは古河市のほうなのに、落ち幅は古河市のほうが小さくなります
- 地域手当以外40,096円は総額の10.6%。この連載で扱ったなかでいちばん低い割合です
- 同じ6%の11団体でも、地域手当以外は53,504円開きます
よくある質問
地域手当があるのに、落ち幅が小さいのはなぜですか
落ち幅は地域手当の厚さではなく、給料表の外側全体の厚さを映しているからです。古河市の地域手当以外は101団体で77番目。率が乗っていても、外側が薄ければ落ち幅は小さくなります。
総額37番目と国ベース12番目、どちらを見ればいいですか
答えたい問いによります。実際に受け取る額を知りたいなら総額、団体の制度を国と比べたいなら国ベースです。ただし、あなたが受け取るのは総額のほうの世界です。
諸手当59,164円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当6%の概算19,068円を除いた、40,096円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は10.6%です。