自治体別 / 市
小松市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
小松市のラスパイレス指数96.6は、同じ類似団体類型区分の101団体のなかで60番目です。
下半分です。
ところが平均給料月額330,900円は7番目。
53ランク上がります。この連載で見てきたなかで、いちばん大きい動きです。
小松市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、小松市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 小松市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 96.6 | 60番目 |
| 平均年齢 | 43.5歳 | 21番目(高い側) |
| 平均給料月額 | 330,900円 | 7番目 |
| 諸手当月額 | 64,595円 | 33番目 |
| 平均給与月額 | 395,495円 | 18番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 360,812円 | 16番目 |
| 地域手当以外 | 64,595円 | 27番目 |
| 落ち幅 | 34,683円 | 30番目 |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも0%です。したがって諸手当64,595円は全額が地域手当以外で、これは総額の16.3%にあたります。
押し上げているのは、年齢と分布の両方です
平均年齢43.5歳は101団体で21番目。高い側です。
指数は国と同じ年齢構成にそろえて計算するので、年齢の違いが消えます。
平均給料月額は実際の在職者で計算するので、残ります。
これが1つめの理由です。
もう1つあります。
この区分では、ラスパイレス指数が96台から100台に密集しています。
密集しているところでは、わずかな差で順位が大きく動きます。
一方、給料月額は幅が広いので、同じだけの差でも順位はあまり動きません。
指数で60番目でも、給料月額では7番目に来る。
順位の動きには、この2つが重なっています。
同じ0%の桐生市とは、指数が39ランク違います
この回では、同じ区分で地域手当0%の桐生市も扱っています。
| 市 | ラスパイレス指数 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 落ち幅 |
|---|---|---|---|---|
| 桐生市 | 99.5(21番目) | 42.8歳 | 329,200円(12番目) | 20,108円 |
| 小松市 | 96.6(60番目) | 43.5歳 | 330,900円(7番目) | 34,683円 |
指数の順位は、21番目と60番目。39ランク離れています。
ところが給料月額は329,200円と330,900円で、1,700円差。
しかも指数が低い小松市のほうが高い。
平均年齢が0.7歳違うだけで、指数2.9ポイントの差が打ち消されています。
そして落ち幅は20,108円と34,683円で1.7倍。率は2市とも0%です。
県内の数字は石川県職員の転職に、県庁所在市は金沢市職員の転職に、同じ区分の市は白山市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
小松市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 中小企業の支援、制度融資 | 与信、金融法人営業、事業開発 |
| 企業との立地・操業に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 空港・港湾に関する調整 | 渉外、拠点企画、物流企画 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 地場産業の振興、販路の支援 | 事業開発、法人営業、ブランド企画 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「土地を持っていなくても、借りられる道を作る」実務
小松市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
小松市は、機械の産業とともに大きくなってきた市です。そして機械を扱う仕事には、最初の1台をどうするかという問題があります。
建設機械抵当法第1条は、この法律が、建設機械に関する動産信用の増進により、建設工事の機械化の促進を図ることを目的とすると定めています。
短い条文です。
「動産信用の増進」と書いてあります。
動産とは、土地や建物ではないもののことです。
普通、お金を借りるときの担保は土地や建物です。
ところが、建設の会社が持っているのは機械のほうです。
機械は動きます。
動くものは、どこにあるか分からないので担保にしにくい。
だから、登記できる仕組みを作って、担保にできるようにした。
実務は、次のような形になります。
- 機械を買わないと、仕事の効率は上がらない
- 効率が上がらないと、機械を買うお金も稼げない
- 抜け出すには、最初の1台を借金で買うしかない
- ところが、担保にできるものがない
- そこで、これから買う機械そのものを担保にできるようにした
持っているものの種類が違う相手に、別の道を作っています。
企業でも、まったく同じ問題があります。
実績のない相手への与信、形のない資産の評価、経験のない人の採用、担保を出せない取引先との契約。どれも「いつもの基準では判断できない相手を、どう扱うか」という形で起きます。
そして、多くの場合こうなります。
基準は、扱いやすい相手に合わせて作られます。
土地を持っている、実績がある、前例がある。
それ以外の相手は、基準に当てはまりません。
当てはまらないので、断ります。
断った理由は「基準を満たさない」です。
基準が相手に合っていないのか、相手が足りないのかは、区別されません。
そして、別の道を作る仕事には、誰も予算を付けません。
求人票では、与信管理、審査、事業開発、人材採用、パートナー開拓といった名前で書かれています。
書くときのこつは、審査基準を運用したと書かないことです。いつもの基準では判断できない相手にどう出会ったか、その相手の何を見れば判断できると考えたか、別の道をどう作ったか、そしてその道を通った相手がその後どうなったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
小松で、どの経験が値になるか
1. 基準に当てはまらない相手を扱った経験
断らずに、別の見方を探した経験は、企業にほとんどありません。
2. 何を見れば判断できるか考えた経験
いつもと違うものさしを作った経験は、そのまま与信や審査の実務です。
3. 通した相手のその後を見た経験
例外的に通したあと、どうなったかを追った経験は、めったに書かれません。
4. 最初の1台を支えた経験
動き出す前の相手に関わった経験は、事業開発で直接使えます。
県内・県外の求人を見るときに
小松市は石川県の南部にあり、北陸新幹線の駅と空港があります。金沢方面はもちろん、福井県方面も通勤の選択肢に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「企業支援を担当」では読み手に何も残りません。基準に当てはまらない相手を、何を見て判断したか。
通したあとの話を書く
例外的に通した相手が、その後どうなったか。そこまで追えると、読まれ方が変わります。
規模を必ず書く
市の人口、事業者数、扱った件数、扱った金額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
雪と空港が重なる土地を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
滑走路の除雪、短時間での再開、周辺道路の確保、飛ぶ前提での設計。止められない施設を、雪が降るなかで動かし続けてきた経験は、建設コンサルタントや設備の各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。産業振興や融資に関わったなら、事業者数、扱った件数、扱った金額、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 小松市の一般行政職はラスパイレス指数96.6、平均給与月額395,495円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数は101団体で60番目(下半分)なのに、平均給料月額330,900円は7番目。53ランク上がります
- 理由は2つ。平均年齢43.5歳が21番目と高いことと、指数が96台から100台に密集していることです
- 密集している項目では、わずかな差で順位が大きく動きます
- 同じ0%の桐生市とは指数の順位が39ランク離れているのに、給料月額は1,700円差です
- 諸手当64,595円は全額が地域手当以外。総額の16.3%が、人ごとに違う部分です
よくある質問
指数が60番目なのに給料月額が7番目なのはなぜですか
平均年齢43.5歳が101団体で21番目と高いことと、指数が96台から100台に密集していることの2つです。密集している項目では、わずかな差で順位が大きく動きます。
順位の差は、金額の差と同じですか
違います。桐生市とは指数の順位が39ランク離れていますが、給料月額の差は1,700円です。
諸手当64,595円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当が0%なので、64,595円が全部です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は16.3%です。