自治体別 / 中核市
越谷市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
越谷市のラスパイレス指数102.7は、中核市62市のなかで最も高い数字です。
ところが平均給与月額401,681円は、指数が3.1ポイント低い船橋市より16,159円下回ります。
平均年齢は40.0歳と40.2歳で、0.2歳しか違いません。年齢の説明も使えません。
越谷市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、越谷市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 越谷市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 102.7(中核市62市で1位) |
| 平均年齢 | 40.0歳 |
| 平均給料月額 | 319,600円 |
| 諸手当月額 | 82,081円 |
| 平均給与月額 | 401,681円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 366,042円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% |
中核市のラスパイレス指数・上位5市
| 市 | ラスパイレス指数 |
|---|---|
| 越谷市 | 102.7 |
| 大分市 | 102.1 |
| 柏市 | 102.0 |
| 宇都宮市 | 101.7 |
| 川口市・横須賀市 | 101.2 |
年齢がほぼ同じ3市を並べる
越谷市40.0歳、川口市40.4歳、船橋市40.2歳。0.4歳の幅に収まります。
| 項目 | 越谷市 | 川口市 | 船橋市 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 102.7(1位) | 101.2 | 99.6 |
| 平均年齢 | 40.0歳 | 40.4歳 | 40.2歳 |
| 平均給料月額 | 319,600円 | 319,900円 | 307,200円 |
| 諸手当月額 | 82,081円 | 102,142円 | 110,640円 |
| 平均給与月額 | 401,681円 | 422,042円 | 417,840円 |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% | 6% | 12% |
指数の順序は越谷>川口>船橋。総額の順序は川口>船橋>越谷。まったく一致しません。
そして指数が1位の越谷市が、3市のなかで総額は最下位です。
年齢が0.4歳の幅に収まっているので、年齢では説明できません。残るのは諸手当です。越谷市82,081円に対し、川口市102,142円、船橋市110,640円。越谷市は3市のなかでいちばん薄い。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は埼玉県職員の転職に、条件がほぼ一致する市は川口市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 治水・雨水排水の計画と施設整備 | インフラ企画、事業企画 |
| 浸水想定と避難の設計 | 事業継続計画、リスク管理 |
| 開発の許可と流出抑制の指導 | 用地開発、規制対応、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 商業施設の立地に関する調整 | 店舗開発、渉外 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「川だけでは守れない」という前提の実務
越谷市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
特定都市河川浸水被害対策法第1条は、都市部を流れる河川の流域について、河道等の整備による浸水被害の防止が市街化の進展又は当該河川が接続する河川の状況若しくは周辺の地形その他の自然的条件の特殊性により困難な地域を特定都市河川・特定都市河川流域として指定し、流域水害対策計画の策定や雨水貯留浸透施設の整備などの措置を定めるものだとしています。
読んでほしいのは「困難な地域について」という限定です。
川を広げれば守れる場所の話ではありません。川を広げても守れない、あるいは広げられない場所を前提に、流域全体で水を受け止めるという設計に切り替える法律です。
実務は、次のような形になります。
- 川だけでは足りないという前提を、関係者に共有する
- 上流の開発に、雨水の流出を抑える条件を付ける
- 公園、学校、駐車場、宅地に、水を貯める機能を持たせる
- 民間の敷地に協力を求める。強制はできない
- それでも溢れる前提で、逃げる側の設計をする
「一つの対策で守り切れない」という前提から始める仕事です。
企業でも、同じ構造の仕事が増えています。
情報セキュリティ、品質管理、事業継続。かつては入口を固めれば守れると考えられていた領域が、いまは「入られる前提」「止まる前提」で設計されています。
そして多くの企業で、この切り替えが止まっています。入口の対策には予算が付きます。ところが「それでも起きたときにどうするか」の設計は、誰の仕事にもなっていません。しかも対策を分散させるには、直接の担当ではない部署に協力を求めなければなりません。権限がない相手に動いてもらう必要がある。
求人票では、リスク管理、事業継続計画、内部統制、品質保証、セキュリティ企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、計画の名前を出さないことです。一つの対策では足りないとどう判断したか、権限のない相手にどう協力してもらったか、断られた相手には何をしたか、そして守り切れない前提で何を用意したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
越谷で、どの経験が値になるか
1. 権限のない相手に協力してもらった経験
流域の対策は、市の施設だけでは足りません。命令できない相手に動いてもらった経験は、企業の横断的な管理業務でそのまま必要とされます。
2. 「守り切れない前提」で設計した経験
被害をゼロにできないときに、何を優先して守るか。これは事業継続計画の考え方そのものです。
3. 開発の許可に条件を付けた経験
事業者と交渉し、条件を飲ませ、後から守られているか確認する。発注者側の管理業務と同じ構造です。
4. 大規模商業施設を抱える都市の計画
交通、駐車、廃棄物、周辺の生活環境。出店する側の企業から見れば、通る条件を知っている人は貴重です。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
越谷市は東京への通勤圏にあり、都内の求人が現実的な選択肢に入ります。同時に、埼玉県内や県東部を担当エリアとする求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○対策計画を担当」では読み手に何も残りません。計画名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何を優先し、誰に何を求め、断られたときに何をしたか。
断られた話を書く
協力を求めて断られた相手が、必ずいます。そこで何を変えたかを書くと、交渉の実務があったことが伝わります。全部通ったように書くと、かえって薄く読まれます。
規模を必ず書く
市の人口、流域の面積、対象となる施設の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
雨水貯留浸透施設の設計と維持は、扱える人が限られる
地下貯留、浸透ます、透水性舗装。作ったあとに機能が落ちることを前提とした点検と更新の設計は、経験者が多くありません。建設コンサルタントと施設を持つ企業の両方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施設や事業の整備に関わったなら、事業費、効果の範囲、優先順位の付け方で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 越谷市の一般行政職はラスパイレス指数102.7、平均給与月額401,681円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数102.7は中核市62市で1位です
- それでも、年齢がほぼ同じ川口市・船橋市と並べると総額は3市で最下位になります
- 理由は諸手当です。越谷市82,081円(62市で32番目)に対し、川口市102,142円、船橋市110,640円
- 指数は給料表の水準の話、総額は手当まで含めた話。この2つは別の数字です
- 一つの対策では守り切れない前提で、権限のない相手に協力してもらった経験は、企業の横断的な管理業務で必要とされます(特定都市河川浸水被害対策法1条)
よくある質問
ラスパイレス指数が中核市で1位なのに、総額が低いのはなぜですか
指数は給料表の水準を国と比べた数字で、諸手当を含んでいないからです。越谷市の諸手当82,081円は中核市62市で32番目、ちょうど真ん中です。年齢がほぼ同じ川口市(102,142円)、船橋市(110,640円)と比べると2万円以上薄くなります。指数が高いことは、受け取る額が多いことを意味しません。
諸手当が薄いことは、不利になりますか
見方によります。諸手当が厚い団体ほど、勤務条件や担当業務によって年ごとの振れ幅が出ます。越谷市は総額の20.4%なので、去年の支払金額が翌年もほぼそのまま、という読み方がしやすいほうです。求人票の想定年収と比べるときは、この安定性がむしろ基準として使えます。
何も起きなかった仕事を、どう実績として書けばいいですか
起きなかったことは数えられないので、そこは書かなくて構いません。書くのは判断のほうです。一つの対策では足りないとどう判断したか、権限のない相手にどう協力してもらったか、断られた相手には何をしたか、そして守り切れない前提で何を用意したか。企業でも「入られる前提」「止まる前提」の設計が空いているので、この4つはそのまま職務能力として読まれます。