自治体別 / 中核市
松本市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
松本市の諸手当月額69,674円は、中核市62市のうち下から15番目。総額に占める割合は17.8%です。
この薄さが、比較の結果を2つの方向で決めています。
同じ県内の長野市には21,932円下回り、隣県の甲府市には3,489円下回る。甲府市とは、指数も年齢も給料月額も松本市が上回っているのにです。
松本市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、松本市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 松本市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.4 |
| 平均年齢 | 42.8歳 |
| 平均給料月額 | 321,600円 |
| 諸手当月額 | 69,674円(中核市62市で下から15番目) |
| 平均給与月額 | 391,274円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 360,376円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
長野市と並べる(地域手当は同率)
| 項目 | 松本市 | 長野市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.4 | 100.1 | 0.7ポイント |
| 平均年齢 | 42.8歳 | 44.8歳 | 2.0歳 |
| 平均給料月額 | 321,600円 | 339,300円 | 17,700円 |
| 諸手当月額 | 69,674円 | 73,906円 | 4,232円 |
| 平均給与月額 | 391,274円 | 413,206円 | 21,932円 |
| 地域手当 | 3% | 3% | 同率 |
地域手当が同率なので、変数は年齢と諸手当だけです。そしてその2つが同じ方向に効いて、差が21,932円まで開きます。
甲府市と並べる(指数も年齢も松本市が上)
| 項目 | 松本市 | 甲府市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.4 | 97.7 | 1.7ポイント |
| 平均年齢 | 42.8歳 | 41.8歳 | 1.0歳 |
| 平均給料月額 | 321,600円 | 307,000円 | 14,600円 |
| 諸手当月額 | 69,674円 | 87,763円 | 18,089円 |
| 平均給与月額 | 391,274円 | 394,763円 | 3,489円 |
| 地域手当 | 3% | 6% | 3ポイント |
指数、年齢、給料月額。3つとも松本市が上回っています。
それでも総額では甲府市が3,489円上回ります。諸手当18,089円の差が、3つの差を全部ひっくり返す形です。
諸手当が薄いと、何が変わるか
諸手当が薄いというのは、総額のうち条件で動く部分が小さいということです。
時間外、住居、扶養、管理職手当は、担当業務と家族構成と役職で変わります。この部分が薄ければ、年ごとの振れ幅も小さくなります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は長野県職員の転職に、同じ県内の中核市は長野市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 保護区域内の行為の許可・審査 | 規制対応、コンプライアンス |
| 私有地に制限をかける調整 | 渉外、用地開発、法務 |
| 山岳の安全対策と救助体制 | リスク管理、事業継続計画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「自分のものなのに、自由に使えない」を成立させる実務
松本市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
自然公園法第1条は、この法律が、優れた自然の風景地を保護するとともに、その利用の増進を図ることにより、国民の保健、休養及び教化に資するとともに、生物の多様性の確保に寄与することを目的とすると定めています。
この法律の特徴は、土地を買わずに守ることです。
区域を指定し、その中では、自分の土地であっても建てる・伐る・掘るといった行為に許可が要るという形をとります。所有権はそのまま残ります。
つまり「持っている人の自由を制限して、全体の価値を保つ」仕組みです。
実務は、次のような形になります。
- 制限の範囲を、区域ごとに説明する
- 建てたい、直したい、伐りたいという申請を審査する
- 認めない場合、何が理由かを具体的に示す
- 認める場合、形・色・高さ・時期に条件を付ける
- そして制限を受ける側に、続ける理由を残す
最後がいちばん難しいところです。制限だけをかければ、手入れをやめる人が出ます。手入れをやめた土地は、結局守れません。
企業でも、まったく同じ構造の仕事があります。
ブランドの使用ルール、加盟店の店舗基準、共有システムの利用規約、取引先への品質要求。どれも「相手のものなのに、相手の自由にはさせない」仕組みです。
そして多くの企業で、ここが片側だけになっています。本部は基準を配り、違反を指摘します。ところが基準を守ることが相手にとって得になる設計がないので、現場では形だけ守られ、見ていないところで崩れます。
制限と、続ける理由。この2つを同時に設計できる人がいません。
求人票では、フランチャイズ本部、ブランド管理、品質保証、コンプライアンス、パートナー管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、区域や制度の名前を出さないことです。何を制限したか、認めなかった事例の理由、認めるときに付けた条件、そして制限を受ける側に何を残したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
松本で、どの経験が値になるか
1. 相手の財産に制限をかけた経験
所有権はそのままで、使い方だけを縛る。この交渉をやった経験は、ブランド管理と加盟店管理で直接必要とされます。
2. 認めなかった理由を説明した経験
断ること自体は簡単です。なぜ断るのかを、相手が納得できる形で示した経験が値になります。
3. 制限を受ける側に続ける理由を残した経験
基準を守ることが相手の得になる設計。ここができる人は、本部機能でほとんど見つかりません。
4. 山岳地域の安全と救助に関わった経験
装備、通報、体制、費用。起きる前提で組んだ仕組みは、事業継続計画と同じ考え方です。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
松本市は長野県中信地域の中心にあり、県内や中信・南信を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○区域の許認可を担当」では読み手に何も残りません。何を制限し、どの申請を認めず、その理由をどう示したか。
認めた事例も書く
断った話だけを並べると、基準の厳しさしか伝わりません。条件を付けて認めた事例のほうが、判断の幅を示せます。
規模を必ず書く
市の人口、区域の面積、処理した件数、関係する地権者の数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
山間部での工事と維持管理は、扱える人が限られる
搬入路、天候、期間の制約、資材の置き場。通える期間が限られる場所で工程を組む経験は、山岳地域を抱える事業者から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。許認可や区域の管理に関わったなら、件数、処理期間、認めた割合、条件を付けた割合で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 松本市の一般行政職はラスパイレス指数99.4、平均給与月額391,274円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 諸手当69,674円は中核市62市で下から15番目、総額の17.8%です
- 長野市とは地域手当が同率3%。年齢と諸手当が同じ方向に効いて21,932円差になります
- 甲府市には指数・年齢・給料月額の3つで上回りながら、総額では3,489円下回ります
- 諸手当が薄いぶん、去年の支払金額が翌年もほぼそのままという読み方がしやすい水準です
- 制限と、続ける理由。この2つを同時に設計できる人は、本部機能でほとんど見つかりません(自然公園法1条)
よくある質問
甲府市より指数も年齢も給料月額も高いのに、総額が低いのはなぜですか
諸手当です。松本市69,674円に対し、甲府市87,763円。18,089円の差があります。地域手当は松本市3%、甲府市6%ですが、給料月額307,000円に対する3ポイントの差はおよそ9,210円。残りの約8,900円は、地域手当以外の手当の積み上がりです。指数は給料表の水準の話で、手当を含んでいません。
諸手当が薄いことは、不利になりますか
比較の基準としては、むしろ使いやすいほうです。諸手当が厚い団体ほど、担当業務や家族構成や役職で年ごとの振れ幅が出ます。松本市は総額の17.8%なので、去年の源泉徴収票の支払金額が翌年もほぼそのままという読み方がしやすく、求人票の想定年収と比べるときの基準にしやすくなります。
許認可で断る役ばかりで、実績として書けるものがありません
断ること自体には値が付きません。値が付くのは、断った理由を相手が納得できる形で示せたことと、制限を受ける側に続ける理由を残せたことです。企業でもブランドの使用ルールや加盟店の基準で、本部は基準を配って違反を指摘するだけになっており、守ることが相手の得になる設計をできる人がいません。制限、断った理由、付けた条件、相手に残したものを書いてください。