自治体別 / 施行時特例市
小田原市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
神奈川県の施行時特例市は5市。そのうち4市が、地域手当10%で同率です(厚木市だけ16%)。
条件が1つ揃っているのに、総額の順序も、地域手当以外の手当の順序も一致しません。
小田原市は、その4市のなかで総額2位、地域手当以外の手当は3位です。
小田原市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、小田原市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 小田原市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.3 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 平均給料月額 | 331,000円 |
| 諸手当月額 | 107,273円 |
| 平均給与月額 | 438,273円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 400,702円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
地域手当が同率10%の4市を並べる
| 市 | ラスパイレス指数 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 平塚市 | 99.8 | 42.3歳 | 333,900円 | 117,938円 | 451,838円 |
| 小田原市 | 98.3 | 43.1歳 | 331,000円 | 107,273円 | 438,273円 |
| 茅ヶ崎市 | 97.7 | 41.7歳 | 318,400円 | 118,609円 | 437,009円 |
| 大和市 | 95.9 | 42.7歳 | 312,000円 | 98,799円 | 410,799円 |
総額の幅は41,039円(平塚市451,838円と大和市410,799円)です。地域手当は4市とも同じなのに、これだけ開きます。
諸手当から地域手当を引く
地域手当は給料月額×10%なので、給料月額が違えば金額も少しずつ違います。
| 市 | 諸手当月額 | うち地域手当(概算) | 地域手当以外 |
|---|---|---|---|
| 茅ヶ崎市 | 118,609円 | 約31,840円 | 約86,769円 |
| 平塚市 | 117,938円 | 約33,390円 | 約84,548円 |
| 小田原市 | 107,273円 | 約33,100円 | 約74,173円 |
| 大和市 | 98,799円 | 約31,200円 | 約67,599円 |
地域手当以外の手当は、茅ヶ崎市がいちばん厚い。
それでも総額では、茅ヶ崎市は3位です。給料月額318,400円が4市で3番目に低いためです。
地域手当を揃えても、給料月額と他の手当は別々に動きます。だから順序は一致しません。
県内の数字は神奈川県職員の転職に、地域手当が同率の市は平塚市職員の転職と大和市職員の転職に整理しています。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。小田原市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 耐震化の計画と補助制度の運用 | 設備投資計画、リスク管理 |
| 五箇年計画の作成と進捗の管理 | 事業計画策定、PMO |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 水産・食品加工など地場産業の支援 | 技術営業、調達、商品企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「5年で、どこまでやるかを先に決める」実務
小田原市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
地震防災対策特別措置法第1条は、この法律が、地震による災害から国民の生命、身体及び財産を保護するため、地震防災対策の実施に関する目標の設定並びに地震防災緊急事業五箇年計画の作成及びこれに基づく事業に係る国の財政上の特別措置について定めるとともに、調査研究の推進のための体制の整備等について定めるものだとしています。
注目してほしいのは「目標の設定」と「五箇年計画」です。
いつまでに、どこまでやるかを先に決める。それがこの法律の中心です。
耐震化は、やろうと思えばいくらでも積み上がります。学校、庁舎、橋、水道管、民間の住宅。全部を一度にはできません。
だから実務は、こうなります。
- 目標を数字で決める。何%までやるか
- 5年でできる量から逆算して、順番を決める
- 先にやるものと、次の5年に回すものを分ける
- 回したものについて、その間の危険をどう説明するか
- そして5年後、達成できたかを検証されます
「全部はできないと認めたうえで、どこまでやるかを数字で約束する」という仕事です。
企業でも、同じ構造の場面があります。
設備の更新計画、システムの刷新、人員の補充、負債の圧縮。どれも全部は一度にできません。
そして多くの企業で、目標が数字になりません。「順次進める」「計画的に実施する」と書かれ、いつまでに何%かが決まらない。だから進んでいるのか遅れているのかも分からず、毎年同じ計画が出てきます。
そして回したものについて「その間の危険をどう説明するか」まで決めた人は、さらに少ない。
求人票では、事業計画策定、経営企画、設備投資計画、PMO、リスク管理といった名前で書かれています。
書くときのこつは、計画や施設の名前を出さないことです。目標をどの数字で置いたか、5年でできる量をどう見積もったか、後回しにしたものの危険をどう説明したか、そして達成できなかった部分は何が理由だったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
小田原で、どの経験が値になるか
1. 目標を数字で置いた経験
「順次進める」ではなく「いつまでに何%」。この置き方ができる人は、企業の計画部門にほとんどいません。
2. 後回しにしたものの危険を説明した経験
全部はできません。回したものについて説明した経験が、いちばん値になります。
3. 達成できなかった部分を検証した経験
5年後に検証されるという前提で計画を作った経験は、そう多くの人が持っていません。
4. 城下町と観光地の玄関を抱える都市の実務
保存の制限と、暮らしや商売の都合。その間で線を引いた経験は、渉外で効きます。
5. 開発許可と建築確認の実務
審査する側にいた経験は、そのまま職種になります。
県内・県外の求人を見るときに
小田原市は神奈川県西部の中心にあり、県西部や静岡県東部を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。都内への通勤も現実的な距離です。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○計画を担当」では読み手に何も残りません。目標をどの数字で置き、後回しにしたものの危険をどう説明したか。
達成できなかった部分を書く
計画どおりに進むことは、まずありません。達成できなかった部分と理由を書けると、検証していたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる施設の数、達成率、事業費、期間。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
耐震診断と補強の設計は、そのまま職種になる
既存の図面がない、使いながら工事する、費用が読めない。新築とはまったく条件が違うため、経験者が限られます。設計事務所と建設会社の双方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。計画や事業に関わったなら、目標の数字、達成率、事業費、期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 小田原市の一般行政職はラスパイレス指数98.3、平均給与月額438,273円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 神奈川県の施行時特例市は5市で、うち4市が地域手当10%で同率です(厚木市だけ16%)
- 地域手当が同じでも、総額の幅は41,039円あります
- 地域手当以外の手当は茅ヶ崎市がいちばん厚いのに、総額では3位。給料月額が低いためです
- 諸手当は総額の24.5%。地域手当を除いた16.9%が条件で動く部分です
- 目標を「いつまでに何%」で置いた経験は、企業の計画部門にほとんどありません(地震防災対策特措法1条)
よくある質問
地域手当が同率なら、総額も近くなるのではないですか
なりません。神奈川の4市は地域手当10%で同率ですが、総額の幅は41,039円(平塚市451,838円と大和市410,799円)あります。給料月額と、地域手当以外の手当は別々に決まっているためです。地域手当以外の手当は茅ヶ崎市がいちばん厚いのに、給料月額が低いので総額は3位になります。
諸手当から地域手当を引くと、何が分かりますか
年ごとに動く部分の大きさが分かります。小田原市は諸手当が総額の24.5%で、そこから地域手当(給料月額331,000円の10%=約33,100円)を引くと、約74,173円(総額の16.9%)。時間外、住居、扶養、管理職手当はこの範囲です。複数年ぶんの源泉徴収票で、自分のぶれ幅を確かめてください。
計画を作るだけで、動かした実感がありませんでした
計画の質は、目標の置き方で決まります。「順次進める」ではなく「いつまでに何%」と書いた瞬間、進捗が測れるようになり、検証されることも確定します。企業でも設備更新やシステム刷新は「計画的に実施する」と書かれるだけで、進捗が分かりません。目標の数字、できる量の見積もり、後回しにしたものの危険の説明、達成できなかった理由を書いてください。