自治体別 / 中核市
高松市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
高松市の地域手当は6%。同じ四国の松山市は0%です。
それなのに総額では、松山市が5,247円上回ります。405,804円と411,051円。
地域手当を持っている側が、持っていない側に負ける。内訳を追うと、理由がはっきり出ます。
高松市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、高松市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 高松市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.2 |
| 平均年齢 | 41.9歳 |
| 平均給料月額 | 319,900円 |
| 諸手当月額 | 85,904円 |
| 平均給与月額 | 405,804円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 365,039円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% |
松山市と並べる
| 項目 | 高松市 | 松山市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.2 | 98.5 | 1.7ポイント |
| 平均年齢 | 41.9歳 | 43.8歳 | 1.9歳 |
| 平均給料月額 | 319,900円 | 326,700円 | 6,800円 |
| 諸手当月額 | 85,904円 | 84,351円 | 1,553円 |
| 平均給与月額 | 405,804円 | 411,051円 | 5,247円 |
| 地域手当 | 6% | 0% | 6ポイント |
注目してほしいのは、諸手当の差が1,553円しかないことです。
高松市の給料月額319,900円に対する地域手当6%は、およそ19,194円。この金額は、諸手当のなかに含まれています。
つまり高松市の諸手当85,904円には19,194円の地域手当が入っていて、松山市の84,351円には0円しか入っていません。
それでも差は1,553円。ということは、地域手当を除いた部分では、松山市がおよそ17,600円厚いことになります。
地域手当は、総額の一部でしかない
ここまでの記事でも、同じ形を何度か確かめてきました。
| 比較 | 地域手当 | 総額で上回るのは |
|---|---|---|
| 八尾市 − 高槻市 | 10% < 15% | 八尾市 |
| 倉敷市 − 東大阪市 | 0% < 10% | 倉敷市 |
| 松山市 − 高松市 | 0% < 6% | 松山市 |
地域手当が高いほうが総額も高い、とは言えません。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は香川県職員の転職に、比較した市は松山市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 水源の確保と渇水時の調整 | 調達、サプライチェーン、リスク管理 |
| 県外の事業者・団体との協議 | 渉外、アライアンス |
| 上下水道の運営と料金の設計 | インフラ運営、料金企画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 中心市街地・商店街の再生 | 店舗開発、エリアマネジメント |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「自分の管轄の外にあるものに、依存する」実務
高松市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
水資源開発促進法第1条は、この法律が、産業の開発又は発展及び都市人口の増加に伴い用水を必要とする地域に対する水の供給を確保するため、水源の保全かん養と相まつて、河川の水系における水資源の総合的な開発及び利用の合理化の促進を図り、もって国民経済の成長と国民生活の向上に寄与することを目的とすると定めています。
注目してほしいのは「河川の水系における」という言い方です。
水は、行政の区域ではなく水系で動きます。上流と下流は同じ水系でつながっていて、下流にいる側は、上流で起きることを自分では決められません。
そして必要な量が足りないとき、実務はこうなります。
- 供給量は、自分の市では増やせない
- 増やすには、水系全体の枠組みに入る必要がある
- 枠組みには、他の自治体も事業者も入っている
- 全員が必要としていて、全員が足りていない
- そして足りない年は、配分を決めなければなりません
「自分の管轄の外にあるものに依存しながら、足りないときの配分を決める」という仕事です。
企業でも、まったく同じ構造があります。
親会社が握っている予算、他部門が持っている人員、社外のベンダーが持つ技術者、共通の生産ラインの枠。自分では増やせないものに依存しながら、足りないときの取り合いに参加する。
そして多くの企業で、ここが力関係だけで決まります。声の大きい部門が取り、あとは早い者勝ちになる。ところが「足りないときの配分を、どういう順序で決めるか」を先に合意しておいた人がいません。だから足りなくなるたびに、毎回同じ争いが起きます。
求人票では、調達、サプライチェーン、事業企画、アライアンス、PMOといった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業や水系の名前を出さないことです。自分で増やせないものは何だったか、依存を減らすために何をしたか、足りないときの配分をどう決めたか、そして決めた順序を誰に合意させたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
高松で、どの経験が値になるか
1. 足りないときの配分を、先に決めておいた経験
足りてから決めるのでは間に合いません。先に合意させた経験は、企業の調達と事業企画でそのまま必要とされます。
2. 自分で増やせないものへの依存を減らした経験
依存そのものは消せません。それでも減らすために何をしたかが値になります。
3. 管轄の違う相手と同じ枠組みを作った経験
他の自治体、事業者、国。指揮命令の関係がない相手をまとめた経験は、アライアンスに直結します。
4. 四国の玄関としての広域の実務
県境をまたぐ人と物の動きを前提にした計画は、物流と商業の企画で効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
高松市は四国の玄関にあたり、四国全域を担当エリアとする求人で、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。本州側の求人も現実的な距離です。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○の協議を担当」では読み手に何も残りません。自分で増やせないものは何で、足りないときの配分をどう決めたか。
まとまらなかった協議を書く
全員が足りていない場では、まとまらないことがあります。何が足りなくてまとまらなかったかを書けると、構造を見ていたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、必要な量、参加した団体の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、水道技術管理者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
供給が細るときの運用設計は、扱える人が限られる
減圧、時間帯の制限、優先する用途の順序。足りない状態で回すという条件の運用は、経験者が多くありません。同じ条件を抱える事業者から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。上下水道などの公営企業に関わったなら、そのまま収支で答えられます。独立採算が原則なので、収入、費用、収支、必要な量と確保できた量を数字で語れる公務員は多くありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 高松市の一般行政職はラスパイレス指数100.2、平均給与月額405,804円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当6%を持ちながら、0%の松山市に総額で5,247円下回ります
- 諸手当の差は1,553円しかありません。高松市の諸手当には地域手当およそ19,194円が入っています
- つまり地域手当を除いた部分では、松山市がおよそ17,600円厚い計算になります
- 地域手当が高いほうが総額も高い、とは言えません(八尾市と高槻市、倉敷市と東大阪市でも同じ形です)
- 足りないときの配分を、足りる前に合意させた経験は、企業の調達で必要とされます(水資源開発促進法1条)
よくある質問
地域手当が6%あるのに、0%の松山市に総額で負けるのはなぜですか
地域手当以外の手当の差です。高松市の給料月額319,900円に対する地域手当6%はおよそ19,194円で、これは諸手当85,904円のなかに含まれています。松山市の諸手当84,351円には0円しか含まれていません。それでも差は1,553円なので、地域手当を除いた部分では松山市がおよそ17,600円厚いことになります。
地域手当が高い団体のほうが、総額も高いのではないですか
そうとは限りません。八尾市(10%)は高槻市(15%)を上回り、倉敷市(0%)は東大阪市(10%)を上回ります。地域手当は、総額を決める要素の1つでしかありません。団体の平均ではなく、複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べて、自分の数字で比べてください。
協議ばかりで、自分で決められることがありませんでした
決められないものに依存する場所にいた、ということです。そこでやっていたのは、足りないときの配分を、足りる前に合意させる仕事でした。企業でも親会社の予算や他部門の人員に依存しながら取り合いに参加していて、配分の順序を先に合意しておいた人がいません。自分で増やせないもの、依存を減らすためにしたこと、配分の決め方、誰に合意させたかを書いてください。