自治体別 / 施行時特例市
宝塚市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
宝塚市の平均給料月額314,700円は、三重県四日市市とまったく同じ数字です。1円も違いません。
それでも平均給与月額は433,433円と440,264円で、6,831円離れます。
給料月額を完全に揃えた2市を並べると、差がどこで作られているかがはっきり出ます。この回で、そこを開きます。
宝塚市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、宝塚市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 宝塚市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.9 |
| 平均年齢 | 41.8歳 |
| 平均給料月額 | 314,700円(施行時特例市23市で16番目) |
| 諸手当月額 | 118,733円(23市で3番目に厚い) |
| 平均給与月額 | 433,433円(23市で6番目) |
| 平均給与月額(国ベース) | 391,772円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 15% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 15%(23市で唯一) |
諸手当は総額の27.4%を占めます。
四日市市と並べる
| 項目 | 宝塚市 | 四日市市 |
|---|---|---|
| 平均給料月額 | 314,700円 | 314,700円 |
| ラスパイレス指数 | 99.9 | 101.6 |
| 平均年齢 | 41.8歳 | 40.5歳 |
| 地域手当(実支給) | 15% | 10% |
| 諸手当月額 | 118,733円 | 125,564円 |
| 平均給与月額 | 433,433円 | 440,264円 |
給料月額が一致しているので、総額の差6,831円はすべて諸手当から来ています。
6,831円の中身を分解する
| 内訳 | 金額 | 向き |
|---|---|---|
| 地域手当の差(概算) | 15,735円 | 宝塚市が多い |
| 地域手当以外の手当の差(概算) | 22,566円 | 四日市市が多い |
| 差し引き | 6,831円 | 四日市市が多い |
地域手当では宝塚市が15,735円多い。ところが地域手当以外では四日市市が22,566円多く、差し引きで四日市市が6,831円上回ります。
2つの向きが逆で、しかもどちらも6,831円という結果より大きい。総額の差だけを見ても、中で何が起きているかは分かりません。
諸手当の中で、地域手当が占める割合
| 市 | 諸手当月額 | 地域手当(概算) | 地域手当の割合 |
|---|---|---|---|
| 宝塚市 | 118,733円 | 47,205円 | 39.8% |
| 四日市市 | 125,564円 | 31,470円 | 25.1% |
宝塚市は、諸手当のおよそ4割が地域手当です。施行時特例市23市のなかで、つくば市の42.3%に次いで2番目に高い割合になります。
そして地域手当を引いた残り71,528円は、23市で13番目。総額は6番目なのに、給料表の外側で人ごとに違う部分は、中位です。
県内の数字は兵庫県職員の転職に、給料月額が同額の市は四日市市職員の転職に整理しています。
施行時特例市とは、どういう市か
特例市という制度は、2015年(平成27年)4月1日に廃止されました。
そのときに特例市だった市が、「施行時特例市」として、それまでと同じ事務を引き続き処理しています。宝塚市もその1つです。
中核市との違いは、はっきりしています。中核市は保健所を設置しますが、施行時特例市は設置しません。食品衛生や感染症対策は、都道府県の仕事として残ります。
一方で、施行時特例市が処理している事務も小さくありません。
- 都市計画法の開発許可
- 建築基準法の特定行政庁としての事務
- 騒音、振動、悪臭の規制
- 屋外広告物の規制
「建てる」「造る」「出す」に関わる許認可が中心です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 高齢者施策、地域包括ケアの調整 | サービス企画、事業開発 |
| 介護・福祉の給付と事業者指導 | 保険金査定、品質管理、加盟店管理 |
| 開発許可、建築確認の審査 | 規制対応、用地開発、品質保証 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 騒音・振動・悪臭の規制 | 環境管理、規制対応 |
| 文化施設の運営、催しの企画 | 施設運営、イベント企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「症状が出てから」ではなく「全部の期間」を扱う実務
宝塚市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
高齢社会対策基本法第1条は、この法律が、高齢化の進展に適切に対処するための施策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、高齢社会対策の基本となる事項を定めることを目的とすると定めています。
核心は第2条です。基本理念として3つの社会が挙げられているのですが、3つとも同じ言葉で始まります。
- 国民が生涯にわたって就業その他の多様な社会的活動に参加する機会が確保される公正で活力ある社会
- 国民が生涯にわたって社会を構成する重要な一員として尊重され、地域社会が自立と連帯の精神に立脚して形成される社会
- 国民が生涯にわたって健やかで充実した生活を営むことができる豊かな社会
「高齢期において」ではありません。「生涯にわたって」です。
この法律は、高齢期だけを切り出した施策として設計されていません。就業、社会参加、健康、住まい。そのどれも、高齢期に入ってから手を打っても間に合わないものとして扱われています。
実務は、次のような形になります。
- いま困っている人への給付や支援を回す
- 同時に、10年後・20年後に何が起きるかを推計する
- いま困っていない層に、先に手を打つ
- 先に打った手の効果は、すぐには数字に出ない
- それでも続けるために、議会と住民に説明する
「効果が出るまでに時間がかかることを、毎年の予算で続ける」仕事です。
企業でも、同じ構造の場面が増えています。
顧客の解約対策、設備の更新、人材の育成、負債の圧縮。解約を申し出た顧客に値引きを出すのは、いちばん遅い手です。故障してから設備を直すのも、管理職になってから研修をするのも同じで、症状が出た時点の施策しか持っていない組織は、同じ問題を毎年出し続けます。
そして多くの企業で、こうなります。先に手を打つ施策は、効果がすぐ数字に出ないので、予算の見直しで真っ先に削られます。「やめても今期は困らない」からです。
求人票では、サービス企画、事業開発、リテンション施策、保全計画、人材開発といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業名をそのまま書かないことです。いま困っている人への対応と、先に打つ手を、どういう配分で置いたか、先に打つ手の効果をどう測ったか、数字が出ないものをどう説明して続けたか、そして途中で配分を変えた場面はあるか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
宝塚で、どの経験が値になるか
1. 効果が遅れて出る施策を続けた経験
「やめても今期は困らない」ものを続けた経験は、企業でほとんど誰も持っていません。
2. いまの対応と先手の配分を決めた経験
両方は同時にやれません。配分を決めた経験が値になります。
3. 数字に出ないものを説明した経験
説明できなければ、予算は付きません。この経験は、社内提案でそのまま使われます。
4. 開発許可と建築確認の実務
審査する側にいた経験は、そのまま職種になります。
県内・県外の求人を見るときに
宝塚市は大阪市と神戸市の間にあり、両方の都市圏を担当エリアとする求人が、通勤の範囲に入ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「高齢者施策を担当」では読み手に何も残りません。いまの対応と先手を、どういう配分で置いたか。
削られそうになった場面を書く
効果が遅れて出るものは、必ず削減の対象になります。そのとき何をしたかを書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象者の数、事業費、関係した事業者の数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、建築基準適合判定資格者、建築士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施策や許認可に関わったなら、対象者の数、事業費、関係した事業者の数、予算の執行率で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 宝塚市の一般行政職はラスパイレス指数99.9、平均給与月額433,433円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額314,700円は、四日市市とまったく同じ数字です。1円も違いません
- それでも総額は6,831円離れ、その全部が諸手当から来ています
- 中身は、地域手当で宝塚市が15,735円多く、地域手当以外で四日市市が22,566円多い。どちらの数字も、残る6,831円より大きい
- 諸手当118,733円の39.8%は地域手当。引いた残り71,528円は23市で13番目、総額の16.5%です
- 「効果が出るまでに時間がかかることを、毎年の予算で続けた」経験は、企業でほとんど誰も持っていません(高齢社会対策基本法1条・2条)
よくある質問
給料月額が同じなのに、総額が6,831円違うのはなぜですか
すべて諸手当の差です。地域手当では宝塚市が15,735円多く、地域手当以外では四日市市が22,566円多い。向きが逆で、どちらも結果の6,831円より大きい数字です。総額の差だけを見ても、中で何が起きているかは分かりません。
諸手当が23市で3番目に厚いのは、有利ですか
その39.8%は地域手当です。地域手当は給料月額×割合で決まるので、役職や時間外とは関係なく動きます。引いた残りの71,528円は23市で13番目、総額の16.5%。人ごとに動く部分はむしろ小さい側です。裏を返せば、去年の支払金額が翌年も近い値になりやすく、求人票と比べやすいということでもあります。
地域手当15%は、宝塚市が決めているのですか
国が地域ごとに示した基準をもとに、団体が条例で支給率を決めます。宝塚市は23市で唯一の15%です。総額の順位は、その市がどう給与を決めたかを、ほとんど表していません。