自治体別 / 市
東海市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
東海市の平均給料月額308,100円は、同じ類似団体類型区分の101団体のなかで70番目です。
ところが平均給与月額420,186円は3番目。
67ランク上がります。
この連載で見てきたなかで、いちばん大きい動きです。
東海市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、東海市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 東海市 | 101団体での順位 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.7 | 20番目 |
| 平均年齢 | 38.9歳 | 99番目(下から3番目) |
| 平均給料月額 | 308,100円 | 70番目 |
| 諸手当月額 | 112,086円 | 1番目 |
| 平均給与月額 | 420,186円 | 3番目 |
| 平均給与月額(国ベース) | 367,863円 | 8番目 |
| 地域手当以外 | 93,600円 | 1番目 |
| 落ち幅 | 52,323円 | 7番目(大きい側) |
地域手当は国の指定基準・実際の支給割合とも6%です。給料月額にかけると、概算で18,486円。諸手当112,086円からこれを引くと、残りは93,600円。総額の22.3%になります。
下がって、大きく上がる
1段目。指数20番目から、給料月額70番目へ。50ランク落ちます。
落としているのは平均年齢38.9歳(101団体で99番目、下から3番目)です。指数は国と同じ年齢構成にそろえて計算するので年齢の違いが消えますが、平均給料月額は実際の在職者で計算するので残ります。
2段目。給料月額70番目から、総額3番目へ。67ランク上がります。
押し上げているのは地域手当以外93,600円(101団体で1番目)です。
地域手当6%の概算は18,486円しかありません。
外側のほうが5.1倍あります。
3段目。総額3番目から、国ベース8番目へ。5ランク下がります。
外側が厚い団体は、国の制度に合わせ直したときに落ちる部分も大きくなります。
総額に占める割合は、101団体で1番目です
地域手当以外93,600円は、総額420,186円の22.3%です。
101団体でいちばん高い割合。
2番目は早島町の22.2%、3番目は藤枝市の19.9%です。
そして東海市の地域手当は6%。
この連載では、地域手当15%で外側が総額の11.9%しかない市も見ています。
率が高いほうが外側が薄く、率が低いほうが外側が厚い。
彦根市と並べると、はっきり出ます
同じ区分に、同じ地域手当6%で、給料月額がほとんど同じ市があります。
| 項目 | 彦根市 | 東海市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.0 | 99.7 | 1.7 |
| 平均年齢 | 40.8歳 | 38.9歳 | 1.9歳 |
| 平均給料月額 | 307,600円 | 308,100円 | 500円 |
| 地域手当(概算) | 18,456円 | 18,486円 | 30円 |
| 地域手当以外 | 68,080円 | 93,600円 | 25,520円 |
| 平均給与月額 | 394,136円 | 420,186円 | 26,050円 |
給料月額は500円差。地域手当は30円差。
それでも総額は26,050円違います。
そして地域手当以外の差が25,520円。
総額の差の98.0%です。
県内の数字は愛知県職員の転職に、県内の市は半田市職員の転職と瀬戸市職員の転職に整理しています。
市は、どういう団体か
東海市は、中核市でも施行時特例市でもない市です。開発許可や建築確認をどこまで市が処理するかは、市によって扱いが異なります。保健所は設置しないので、食品衛生や感染症対策は都道府県の仕事として残ります。
ところが、町村との間にははっきりした線が1本あります。
社会福祉法第14条第1項は、都道府県及び市(特別区を含む)は、条例で、福祉に関する事務所を設置しなければならないと定めています。一方、同条第3項では、町村は、条例で、その区域を所管区域とする福祉に関する事務所を設置することができるとされています。
市は必ず置く。町村は置いてもよい。ここが分かれ目です。
そして同条第6項によれば、市町村の福祉に関する事務所は、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法に定める援護、育成、更生の措置に関する事務のうち、市町村が処理することとされているものをつかさどります。
6つの法律にまたがる給付と措置を、1つの事務所で扱う。これが、市になった団体に必ずある仕事です。
職務経歴書に書くときは、「市役所の仕事」ではなく、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 人事、給与制度の設計と運用 | 人事企画、労務、報酬設計 |
| 工場との操業・環境に関する調整 | 渉外、事業開発、法人営業 |
| 港湾・工業用地の管理 | 資産管理、施設運営 |
| 生活保護、児童・障害・高齢の措置 | ケース管理、審査業務、与信管理 |
| 課税・徴収、滞納整理 | 債権管理、与信、回収 |
| 農業の振興、産地の支援 | 事業開発、調達、ブランド企画 |
| 都市計画、市街地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「合意で決まる、とわざわざ書いてある」実務
東海市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
労働契約法第1条は、この法律が、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とすると定めています。
「合意の原則」と書いてあります。
契約が合意で決まるのは、当たり前のことです。
当たり前のことを、法律がわざわざ書いている。
書かなければならなかったのは、現実にはそうなっていない場面があるからです。
そして、もうひとつ。
「自主的な交渉の下で」と言いながら、「労働者の保護を図りつつ」も入っています。
自主的な交渉に任せるだけでは、片方が不利になる。
だから保護を添えている。
実務は、次のような形になります。
- 条件を変えるときは、相手の合意が要る
- ところが、対象が多いと全員から取るのは難しい
- だから、説明会を開いて周知する
- 周知は、合意ではない
- そして、周知したという記録だけが残ります
企業でも、まったく同じ問題があります。
就業条件の変更、配置転換、評価制度の改定、業務委託の条件変更、取引先への価格改定。どれも「相手が納得したか」ではなく「伝えたか」で進みがちです。
そして、多くの場合こうなります。
変更の内容は、丁寧に作られます。
伝え方も、資料がそろえられます。
ところが、相手が何を心配しているかは聞かれません。
聞くと、変更が止まるかもしれないからです。
止まらないように進めた変更は、そのときは通ります。
通ったあと、現場が従わないという形で出てきます。
「伝えた」と「納得された」は、別の仕事です。
求人票では、人事企画、労務、組織開発、業務改革、渉外といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度を改定したと書かないことです。変更の前に相手が何を心配しているかをどう聞いたか、その心配にどう答えたか、納得しなかった人にどう対応したか、そして変更のあと実際に運用されたかをどう確かめたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
東海で、どの経験が値になるか
1. 変更の前に相手の心配を聞いた経験
止まるかもしれないと分かっていて聞いた経験は、企業にほとんどありません。
2. 納得しなかった人に対応した経験
全員が賛成しなかった場面で、どう進めたか。ここが書けると、実務があったことが伝わります。
3. 変更のあとを確かめた経験
制度が実際に運用されているかを見に行った経験は、めったに書かれません。
4. 若い組織を回してきた経験
経験年数の短い人が多い職場で、判断の基準を残してきた経験は、伸びている会社で直接使えます。
県内・県外の求人を見るときに
東海市は名古屋市に隣接し、名鉄常滑線と伊勢湾岸自動車道が通ります。名古屋市内の求人の多くが通勤圏に入り、知多半島方面も選択肢に残ります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、リモート可や週数日出社の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「人事を担当」では読み手に何も残りません。相手が何を心配していると考え、どう答えたか。
納得されなかった話を書く
反対が出た場面、進めたあとに運用されなかった場面。そこで何を変えたかまで書けると、実務があったことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、職員数、対象になった人数、関わった年数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築基準適合判定資格者、公害防止管理者、エネルギー管理士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
埋立地を扱ってきた技術者は、扱える人が限られる
地盤の沈下、液状化への備え、護岸の傷み、地下水の塩分。海を埋めた土地の上で、沈むことを前提に施設を設計し維持してきた経験は、建設コンサルタントやプラントの各社から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。人事や産業に関わったなら、職員数、対象人数、事業所数、かかった期間で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 東海市の一般行政職はラスパイレス指数99.7、平均給与月額420,186円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額308,100円は101団体で70番目。それでも総額は3番目で、67ランク上がります
- 落としているのは平均年齢38.9歳(下から3番目)、押し上げているのは地域手当以外93,600円(1番目)
- 地域手当6%の概算18,486円に対し、外側は5.1倍あります
- 総額に占める割合22.3%は101団体で1番目。彦根市とは給料月額500円差なのに総額26,050円差で、その98.0%が地域手当以外です
- 地域手当6%の概算18,486円を引くと、残る93,600円(総額の22.3%)が人ごとに違う部分
よくある質問
給料月額が70番目なのに総額が3番目なのはなぜですか
地域手当以外が93,600円と、101団体でいちばん厚いからです。地域手当6%の概算18,486円の5.1倍あります。
彦根市との26,050円の差は、どこから来ていますか
98.0%が地域手当以外です。内訳は給料月額500円、地域手当30円、地域手当以外25,520円になります。
諸手当112,086円のうち、自分に関係するのはどこですか
地域手当6%の概算18,486円を除いた、93,600円です。時間外の量、担当する業務、役職、住んでいる場所で決まります。総額に占める割合は22.3%です。